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桜の木に寄り添う  作者: 月乃結海
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エレベーターで

 前に見つけたレトロな骨董品店。

 中にはお爺さんが店番をしていたのがみえたんだ。

 まだあのお店あるかな。


 私とリエは、支度をして外に出た。

 エレベーターを待ちながら、私はそわそわしている。


 あの絵にピッタリ合う額縁を早く見つけてあげたい……


 エレベーターが、私達が待ってる階で開き誰かが降りてきた。


 髪の長い女性だった。

 あれ。前にどこかで会ったような……


 その女性は私達の事を気にも止めず、スタスタと歩いて行ってしまった。


 リエは、私の車いすを押してエレベーターに乗った。


 誰だっけ……


「 リエ、今の人見たことあるよね? 」


「 ん?そうだった?」


 リエも誰かわからないのなら、きっと私の見間違えかもしれない。私はそう思うことにした。


 エレベーターが1階で止まり、私達は外に出た。


「 わぁ!今日いい天気だけど。寒いなぁ 」


 もうすっかり季節は冬に向かっている。

 息も白くなり、本格的な寒さになっていた。


「 うん。そうだね 」


 私達は、レトロな骨董品店がある方へ向かった。


 向かっている途中、やっぱり私は歩いてるカップルが気になって仕方がなかった。


 幸せそうな人でも何かを抱えて生きていたりする。

 それでも羨ましくて。


 今の私は、昔の私とは違うから……


 気にしても仕方がないのも分かってはいる。

 だから、誰にも言えない……


 私のこんな思いを誰か気づいてくれる時がくるのかな。


 ふと寒さの中、私はぼーっとこんな事を考えていたのであった。

 私のちょっとした思いで何かが変わってしまうのも怖くて怖くてたまらなかった。


 今が幸せな分、失ってしまいそうで言えない。

 そんな臆病な自分もいることが改めて気づいてしまった。


 前向きになろうとしている自分と……


 反対に臆病で何も言いたいことも言えない自分。


 私は、この先どちらを選び生きていくのだろう。





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