前を向いて
こんなはずじゃなかった。
そう思っていても、前には進めない。
事故のこと。乗り越えてるふりをしていたのかもしれない。
いつも元気に振舞って、みんなを心配させないように。
人の混みの中には飛び込めない。
昔の私とは違うから。
車いすを後ろに引き、買い物は諦める事にした。
またの機会にしよう。
悲しい気持ちになってしまった。
リエ、どうして電話に出ないの?
何度も何度も、電話をかけた。
メールが入り、また連絡するから待ってて!
との事だった。
ーーーーーー
リエは、その時、彼氏と待ち合わせをしていた。
イケメン好きのリエは、男運がない。
性格重視ではなく、顔を重視しているからだ。
「あー、きたきた!遅い!」
「あぁ。俺たち別れたんじゃないの?」
「納得しないから、来たんだよ!」
いつもの言い合いが始まった。
しばらく、話をして、やっぱり別れる事になってしまった。
リエは、天真爛漫な性格で、別れても悲しむ事はない。
そして長続きもしない。
リエは、なつみに電話をかけた。
「なつ?ごめんね、今どこ?ホテルで待ち合わせしよう!」
「うん。早く来てね!」
2人は、ホテルに一旦戻る事にした。