桜の木に寄り添うように
「 なつー!!お待たせ!! 」
「 急にごめん 」
「 いいよ!今に始まった事じゃないし! 」
「 いつも、ありがとう 」
リエは、私の背後に周り後ろから車椅子を押し始めた。
「 私……行ってきたよ、あの場所へ」
「 そっかぁ、気持ち、スッキリした?? 」
「 うん!自分で決めて、自分で行動したから 」
肌で感じる風も、景色も全てが眩しく見えていた。でも、今は違う。考え方も全てが、あの頃の私ではなくなっていた。
私の中に強くて、前向きな気持ちが生まれていたから。もう何も怖くはない。何があっても、これからの未来を受け入れる事ができる自信が、今の私にはあるから。
ーーーー1年後の春。
私はあの場所へ来ていた……。
わたしの1番大好きなこの季節。いつもと変わらない風景に安心感がある。
空気が優しくて、私には心地の良いこの場所。
桜のポストを覗いてみると『 あの手紙 』は、無くなっている。新しい手紙は、入っていない。
私は、土手へと行き、春の風を感じていた。仕事も順調で、2店舗目を出す予定まできていた。
今まで出会った人達に私は感謝の気持ちで溢れている。みんなが幸せにいれますようにと、私は願い続ける。
私を変えてくれた人達……。
私をずっと支えてくれていた人達……。
そして……。
後ろから私を抱き寄せてくれる、私の愛おしい人……。
シャッターの音。これからもたくさんの素敵な写真と私達の思い出を増やし続けたい。
桜の木に寄り添う私達を、ずっと永遠に……。