人の気持ち
後悔なんか……もうしたくない。私の中でどんどん気持ちが大きくなっていく。
私の大事な人達も、みんな幸せになれればいいのに。
沢山の人がいる中で、恋愛の形も凄くさまざまで複雑。そんな中でも、私は優しい気持ちでいたい。
「 なっちゃーん!早く早くー! 」
「 お待たせっ! 」
「 二人で何話してたの?? 」
「 ……楽しかったね!って話してたんだよ 」
「 そうなんだ!うん!本当に楽しかった!」
あかりちゃんも、幸せになってね!明るい素敵な未来が訪れますように……。
明日からまた私は、現実に戻され今まで以上に頑張らなければならない。私の出来る限り、恩返しもしていければいいな。上重さんや店長にも何か私が出来ることあるのかな。
運転しているコウちゃんは、あれから何も喋る事もなく、ただひたすら前だけを向いていた。何かをずっと考えているみたいだった。
しばらく車を走らせ、家に着き私とあかりちゃんが車を降りた後、コウちゃんはそそくさと車へと戻り私達にこう言った。
「 なつ、ごめん!今日はあたし、バーの方に顔出さなきゃだから……行ってくるね! 」
「 わかった。大丈夫だよ 」
それだけを言い、車の窓を閉め行ってしまった……。
だいぶ早い時間にバーに着いてしまったコウちゃんは、こんなことを思っていた。
バーに着くなり、慌てるように冷蔵庫から水を取り出し飲み始める。
ーーなつ。ごめんね。あたしの気持ちを知っていたんだね。自分の気持ちにちゃんと向き合わずにいたなんて恥ずかしくてたまらなかった。
いい大人なのに、全然分かっていなかった。
本当に……ごめん……本当に。
コウちゃんは、カウンターの中でうずくまってしまった。




