同じ人
ソフトクリームを食べ終わった私達は、車へと戻って行った。
「 なっちゃん、楽しかったね! 」
あかりちゃんは、いつもと同じ笑顔で私を見ている。
「 うん!また来ようね 」
「 なつ、ちょっといい? 」
コウちゃんが、真剣な顔をして私を呼び止めた。
「 あかり、車に先に入ってて、なつと話があるから 」
「 うん、わかった!」
私達は、駐車場の隅の方へと移動した。
「 話って、何? 」
「 なつ…… 」
そう言うと、コウちゃんは、私を抱きしめた。
「 ちょっと、何!?いきなり 」
「 あぁ。ごめんごめん。なんか、頑張ってて辛そうだなぁって思ってしまって。話ってのはね、明日だよね?東京に帰るのは 」
「 そうだよ。お店の事、いつまでも任せっきりも良くないし 」
「 そうだよね、わかった! 」
コウちゃん……。表情を無理やり明るくしているような、何かを隠しているようにも見える。
何か他に言いたい事があったの??
友達という関係になって、もう長い年月が経っている。
だから……わかるよ。
きっと、もっと他に言いたい事がある。
やっぱり、ヒロキくんの事だろう。
コウちゃんは、ずっと私とヒロキくんの傍にいる。だから私もわかるよ。
私達、同じ人を好きになってしまったんだよね?
だから、コウちゃん無理に興味無いフリをしてくれてるんでしょ?
「 コウちゃん!待って! 」
そんなコウちゃんの歩いていく後ろ姿が、やけに寂しそうに思えた私は、思わず呼び止めてしまっていた。
「 コウちゃんも、ちゃんと気持ち……伝えるんだよ!後悔しないで 」
「 なつ……ありがとう 」
悲しくて寂しくて、やりきれない気持ちが凄く伝わってくるよ。絶対に後悔しないで……お願いだから。