お揃い
車へと戻っていった私達は、以前に行ったことのあるショッピングモールへと向かった。
私はただただ、気を紛らわしたかったのかもしれない。
色んな気持ちを胸に抱いたまま、前へ進むことだけを見ていた。
「 あかりちゃん、ショッピングモール着いたら、何買おっか? 」
「 私、なっちゃんとお揃いがしたい 」
「 お揃いかぁ、いいね 」
「 じゃあ、私もいいかしら? 」
「 三人でお揃いかぁ、それはちょっと……」
車の中は、笑顔で溢れていた。
こんなにみんなが、笑顔でいれる。
コウちゃんは、いつも私達みんなを笑顔にしてくれる。
あかりちゃんの事だって。
あんなに辛そうだったあかりちゃんが、いつの間にか笑顔でいつも楽しそうで。
凄い人だな……。
私は、お店に戻ったらたくさんの人達を笑顔にできるだろうか。
毎日毎日が苦しくてたまらなかった。
安西さんもきっと、私が現れた事で、毎日苦しくて不安でたまらなかったのかもしれない。
そんな私が、一人の人も苦しめて笑顔にできてなかった私が、笑顔にして癒すことなんてできない。
もう一度、もう一度だけ。
こんな私でも、大好きな人達を苦しめないように。
幸せを運べる、私になりたい。
色んな人を幸せにしてあげられる。そんな人になりたい。