久しぶりのオムライス
私がマンションを出て、車へ戻るのが見えたのか、コウちゃんとあかりちゃんは、車の外に出てきてくれていた。
「 なつ、大丈夫だった? 」
「 全然、大丈夫だよ 」
いつも通りのコウちゃんは、私に優しく声をかけ車に乗せてくれた。
車の中に入った私達は、それ以上何も話さず、音楽だけが鳴り響いていた。
この音楽……。懐かしい。そう思いながらも、思わず口ずさんでしまっていた。
そんな私を見ていた、あかりちゃんは一緒に歌を歌い始めていた。
二人で顔を見合わせ、少し笑顔で歌っていた。
「 あかりちゃん、この曲知っているの?」
「 うん、いつもコウちゃんが聴いてるから。コウちゃん!そろそろお腹すいた! 」
「 私も! 」
「 はいはい 」
いつまでも続けていられるような、楽しい空間だった。
少し進んだ所で、レストランの駐車場へと車を停めた。
「 ここ、美味しいらしいよ 」
新しくできたお店かな?
ーいらっしゃいませ
店内は、広々としていて白を基調とした明るい雰囲気だった。
席についた私達は、さっそくメニュー表を見る。
「 なっちゃん、ここオムライスが美味しいって 」
「 じゃそれにしよう」
「 決まりだね!オムライス3つ!」
「 オムライスって、昔なつの家でよく食べたよね」
「 お母さんの得意料理だったからね 」
会話をしながら待っていたら、しばらくしてオムライスが私達の目の前に運ばれてきた。
「 お待たせしました 」
「 わぁ、美味しそう 」
ふわふわとした卵にトマトソースが乗っている、オシャレなオムライスだった。
お腹が空いていた私達は、すぐに食べ始めた。
久しぶりに食べたオムライス。
家の味とは違うけれど、ほっこり心が温まる味だった。
そして、オムライスを運んできてくれた店員に、なんとなく見覚えがあった。