表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜の木に寄り添う  作者: 月乃結海
127/138

あのマンション

 あかりちゃんがコウちゃんに話をしてくれて、コウちゃんは車を出してくれる事になり、ドライブがてら買い物へ行く事になった。


 車内では音楽が流れ、明るい雰囲気に包まれている。

 そんな中、私はこの街に来ると、いつも安西さんの事を思い出してしまう。

 考えないようにしていても、何故か頭の中にでてきてしまう。


 最初の頃、お店に来て、私を指名してくれて友達になろうと言ってくれた、安西さんのあの笑顔に嘘は感じなかったからだ。

 もしかしたら私は、安西さんの起こしてしまった行動全てを嘘だったと思いたくなかったのかもしれない……。


 私は、私が歩み寄れば、本当に友達になれるんじゃないかと思い始めていた。

 仕事も始めて間もない頃だった私は、安西さんのあの笑顔に少なくとも救われていた。


「 ねぇ、なっちゃん。何を買いに行くの? 」


 あかりちゃんが私に声をかけてきた。


「 私ね、今までお世話になった人達……みんなに何か出来る事はないかなって、ずっと考えているんだ 」


 それを聞いていたコウちゃんは、運転しながら言った。


「 なつらしいね。とっても 」


 私らしい……。

 私は何度も何度も考えて出した結論だった。

 いつも自分の事ばかりで、周りを全然見ようとしていなかった。

 一人で生きているわけではないのに、色んな人に助けられて今があるという事を気づいていなかった。

 口では言っていた事も、本当に心からそう思っていたのか、ずっと疑問で仕方がなかった。


「 あ!ここで止めて! 」


 突然、私が叫んだ。コウちゃんは、驚きながらも慌ててブレーキを踏んでいた。


「 なつ!びっくりさせないで 」


「 ごめんなさい 」


 そして、私は車内から、とあるマンションを眺めていた。


「 ここって…… 」


 そこは、安西さんが住んでいるマンションだった……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ