写真の様な
「 二人とも何してるの? 」
こうちゃんが、コソコソしている二人に気づき後ろから着いてきていたのだ。
車輪に引っかかってしまった草を取り除きながら不思議そうな顔をしていた。
「 私が来たいって言ってあかりちゃんにお願いしたの。知り合いのアトリエみたいで…… 」
「 そうだったの。言ってくれれば一緒に来たのに 」
「 こうちゃん、またなっちゃんの心配したんだね! 」
あかりちゃんにこう言われ、こうちゃんは少し照れた表情を見せていた。
「 あかり!またって言わないの! 」
「 だって、いつも心配そうにしてるから 」
「 余計な事はいいから、早く行きましょ 」
カタカタカタ……
こうちゃんは、後ろから車椅子を押し始めた。
私はショルダーバッグの中から鍵を取り出し、アトリエの鍵を開ける。
「 随分、古そうじゃない? 」
「 うん…… 」
少し緊張感のある中、あかりちゃんが扉を開けた。
キィーー
扉はだいぶ古くて、ホコリまみれの机を見つけた。
当時の状態のまま残しているのだろうか。
誰かがいるような感じで、絵の具やらその他の道具が使ったそのままになっている。
「 これって…… 」
「 凄いわね 」
まるで美術館の様な立派な絵が沢山飾られている。
私達は、息を飲むように静かに見ていた。
風景の絵は勿論の事、おばあさんの色々な表情をしている姿も飾られていた。
そして、途中まで描いてそのままになってしまっている一枚の絵が机の上にあった。
「 わぁ、凄い 」
こうちゃんは思わず声を出してしまった。
そこに描かれていたのは……小さな子供と綺麗な女性がお花畑で見つめ合い、笑っている写真の様な素敵な絵だった。