24話 シズネと会話
「ただいまー」
「おお、おかえりルシア。エル君も」
「お帰りなさいませエルザーク様、ルシア様」
ハウロたちと別れ、オレたちは家に帰ってきた。
「ねぇねぇお爺ちゃん、エルが友達遊びに連れてきたいんだって、いいかな!?」
「おお、エル君が友達を。もちろんじゃとも」
「エルザーク様のお友達が………」
やめろ。上を向いて涙を堪えるな。
オレが可哀想な子みたいじゃないか。
「よかったね、エル」
「ふん、オレの休日が無くなったか」
「そんなこと言わないの。本当は嬉しいんでしょ」
「ただ家がやかましくなるだけだ。のんびり茶でも飲みながら過ごすのが正しい休日の過ごし方」
「年寄り臭いわねぇ。あっ、お爺ちゃんあたしの友達も連れてきていい?ミッちゃんって言うんだけど」
「ああ、いいとも。連れておいで」
「ゼベット様、こんな言い方はあれなんですが、よろしかったのですか?」
「うむ。この地に来た時は色々と警戒するものがあったものの、ルシアも学校に通うようになった今余計な気遣いはむしろ育成の邪魔じゃろうて」
「そうですか。ならば、わたくしもできることは協力いたしますのでご安心を」
「それは心強い。よろしく頼みますぞ」
「じゃあ、エルはみんなに教えてあげてね。あたしもミッちゃんに伝えておくから」
「はいはい、わかりましたよ」
まぁ、1日くらいいいか。
そんなしょっちゅう来るわけでもないし。
ーーーーーーーーーー
「ーーーというわけで、許可がおりた」
「やったぁ!明日何着て行こうかな。ね、シズネ」
「…………ウンウン」
「おいおい、パーティーでも始める気か?普段着でいいよ」
「ああ、ルシアちゃん可愛いよなぁ。俺近くで見たら緊張しちゃって。ルシアちゃんのお友達も可愛いのかなぁ」
「ハウロったらスケベ根性出し過ぎ。エルザ、ハウロは危険よ。しっかり見張っておかないと」
「いや、大丈夫だろ」
ハウロはいざって時に何もできないチキン野郎だからな。
なぜわかるかって?
オレがチキンだからさ。
教室で昨日のことをみんなに伝え、オレたちはガヤガヤ騒いでいた。
そんなオレたちのそばを通り過ぎる数人の影。
「明日の休日は僕の家の大広間でパーティーをするからね。ああ、気軽な服装で構わないからね。他の貴族たちも集まるが僕たち子供は自由に遊びなさいってパパが言ってたからさ」
「うわーなんかすげー」
「うまいもん食えそう」
「流石マコーレさん」
などと数人のマコーレ集団が喋っていた。
あいつは何に対抗してるんだ?
と思いながらもマコーレがこちらに送って来た視線をスルーする。
「はいはーい、そろそろ授業を始めまーす」
そして、今日の学校が始まった。
ーーーーーーーーーー
魔法講座、実践講座も終わり最後のHRがきた。今日も1日魔力を練っていたが、だいぶスムーズに練れてきた気がする。相変わらずカラカラ回ってる感じだが。
「はーい、それじゃあ今日の学校はこれで終わりでーす。最後にみなさんに一つお知らせ、というより注意事項があります。町の南端の森にある魔影石はみんな知ってるわね?そこに最近魔獣が現れるようになったと報告があったから、決して近づかないように!森自体子供だけで行くのは禁止されているから大丈夫だと思うけど、特にね!何かあれば大人たちに知らせること。以上!」
それから、ワラワラと席を立ち帰り始める生徒たち。
「なぁハウロ、魔影石ってなんだ?」
「んぁ?そうか、エルザはまだ知らないのか。いや、大したものじゃないんだけど、その昔ここいらで暴れていた魔族を封じ込めた石が南の森の中にあるんだよ。森といってもほぼ町の敷地内だから魔獣が現れるなんて聞いたことなかったんだけどな」
「ふーん」
(魔族、か………)
「んなことより、明日だよ明日!朝から行くからな!」
「えっ?朝から来るのか?」
「何言ってんの、当たり前でしょ?シズネなんか今日の夜から弁当作るって張り切ってるんだから」
「…………グッ!」
それは、自分の分だよな?
「へいへい。けど、来ても何もないからな?期待すんなよ」
「おっけーおっけー、任せとけって!」
なにをだ?
「んじゃ、明日遊ぶ分家の手伝いする約束親としたから俺先帰るな!」
「あっ、ウチも!洗濯手伝うんだった、じゃあね!」
「…………ばいばい」
「ん?シズネは家の手伝いないのか?」
「…………コク」
「そっか、じゃあオレたちも帰るか」
「…………コク」
オレはシズネと一緒に教室を出た。
ーーーーーーーーーー
「遅いな」
「…………」
オレは校門でルシアを待っていたがなかなか来なかった。何故かシズネも一緒に待っていてくれたが会話はない。
「明日、朝から来るって言ってたけど本当に何もないぞ」
「…………コク」
「そっか」
「…………」
まだ喋るのまでは慣れてないんかな。
「…………しも、、、」
うぉ!喋った。
「……私も学校入るまでは、ずっと一人で遊んでたの」
「そっか、オレやルシアと一緒か。なんか、ワケありなのか?」
シズネの声は小さいが、綺麗な声をしていた。
「私の家、教会だから。神父の孫と遊ぶのは気を使うからってみんな言ってた」
なるほど、間違って怪我でもさせたら罰当たりな!的な感じか。
「ふーん、そっか」
「でも、アカネちゃんは学校で初めて会った時から私にいっぱい喋りかけてくれた。とても嬉しかった」
「あいつは明るいしそんなの気にしなそうだもんな」
「エルザもそんなの気にしなそう」
「もしかしてそれはオレが無神経っぽいとかそんな意味じゃ無いですよね?」
「ううん。エルザは、優しい」
「………」
初めてマトモに会話したと思ったら黙らされてしまった。
「オレは優しくなんかない」
そう言ってもシズネは首を横に振り、
「優しくない人なら、一緒にいない。エルザは普通の人とは違う何かを感じるし」
「変人的な?」
「あったかい」
「…………」
やだ。なに言ってるんだこの子。
マトモに顏見れないようなこと言ってくるんだけど。ルシアはよきて。
「ごめんねエルー、待ったー!?」
よし、ナイス。
「おせーし。ったく」
「だからごめんて!あれ、シズネちゃんも待っててくれたの?」
「エルザ、寂しがるから」
「おいおい」
シズネさんなんてこと。しかもオレより会ってないルシアと喋るの早いし。
「そーなんだ、ありがとねシズネちゃん」
「…………コク。じゃあ、また明日」
「お、おう。気いつけてな」
「ばいばい、シズネちゃん」
ふるふると手を振りながらシズネは家の方へと歩いて行った。
「あの子本当に可愛いよね。お人形さんみたい」
「そっか?」
「えーっ!どっからどう見ても可愛いでしょ!?もう可愛い過ぎて食べちゃいたいくらいなんですけど」
こらこら、危険な発言すな。
「ま、お前も大概だと思うけどな」
そう言ってオレは歩きはじめた。
「……えっ?どど、どういうことそれ!?えっ?えっ?」
なにやら顔を真っ赤にしてプルプルし始めた。
「なにしてんだ?帰らんの?」
先に歩いてるオレは軽く振り向きながらルシアに言った。
「かか、帰るよ!ねぇ、ちょっと待ってよ!それってどういう、、、」
慌ててかけてきたルシア。
可愛いのはお前も一緒だろって意味だと言ったらしばらく固まってしまったが、なんとか家にたどり着くことができた。




