19話 従兄弟は美少女
次の日、学校に行く時昨日と同じくお弁当を受け取った。
「………なぁゼベット。食費もバカにならないんだからオレも何か………」
子供ながらに、そんな事を考えてみると、
「いいえエル殿。子供はそんな気遣い無用でございますよ。さ、今日も元気に行ってらっしゃい」
「ありがとうお爺ちゃん、行ってきます」
「………行ってきます」
「行ってらっしゃいませエルザーク様、ルシア様」
二人に見送られて家を出た。
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「ねぇエル、学校まで手を繋いでいかない?」
「っ!?」
いきなりの爆弾発言。
なんてやつだ。。。
「んなことできるか!?な、何考えてるんだお前!?」
「えー、別にいいじゃない。こんなに天気も良いんだしさ」
空を見ると確かに快晴だ。
「天気と手を繋ぐのになんの関係もない」
「ちぇー。あ、そっか。エルも友達出来たし見られたら冷やかされちゃうもんね」
その通り。
何言われるかわかったもんじゃない。
特にハウロに。
なんて事を考えながら歩いてると。
「………隙あり!」
「あっ!?」
ルシアがサッとオレの手を握ってしまった。
(こいつ、、、柔らか。あったか。やば、手に汗かいてきた。ヤバたん………)
「えへへ〜、ちょっとだけ。ね?」
ルシアが満面の笑みで言った。
少し顔が赤い。
「………学校見えてきたら離せよ」
「うんうん、わかってる♪」
随分とご機嫌になったものだ。
ヤバい、恥ずかしすぎて心臓16ビート。
恥ずかしいし、照れ臭くて、顔もロクに見れないけど、嫌な気持ちにはならなかった。
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「見たぜーエルザ。どういうことか説明してもらおうか?」
ハウロが凄い形相で問い詰めてきた。
「えっ?なになに?なんかあったの?」
「………」
(はぁ、、、見られてたか)
お約束か?と思ってしまう。
「今日はたまたま家のお使いで寄るとこがあってさ、そしたら!エルザがさー、あの女の子と手を繋いでラブラブ登校してたんだよチキショー!」
お前そんなキャラだったか?
爽やかな風はどこいった。
「えーっ!なにそれウチも気になるー!その子とできてんの?恋人?付き合ってるの?どーなのよー!?」
アカネが猛烈にはやしたてる。
「………ジーーー!」
シズネがめっちゃ目で訴えてる。
「はぁ、、、お前らの想像してることは一つもねーよ。アレは家主の孫のオレの従兄弟だ。二つ年上だから面倒見のいいお姉ちゃんみたいなもんだよ。オレと同じく学校に通うようになったから、一緒に来ただけだ」
「へー、そう。。。」
「な、なんだよ」
「なら、今度遊び行った時に紹介してよ!な!?」
「っ!?ま、マジで?」
「マジよ大マジ!独り占めなんていけないと思うなー俺」
「そうよそうよ!」
「………コクコク」
「、、、はぁ、わかったよ。まだ許可もらえてないから、もらえたらな」
「まだ聞いてなかったのか?早く聞いてくれよー」
ハウロがゴリゴリ押してくる。
まぁ、ルシアはかなり可愛いからな、男の子の目を惹くだろう。ていうかアカネもシズネもかなりレベル高いと思うのはオレが世間知らずなだけか?
「えっ?待って。それじゃあ昨日中学校に転校してきて三段階目まで水晶玉を光らせた謎の美少女ってまさか。。。」
やはり、目立ってたか。
「………恐らくルシアだ。。。」
「ちょっ、凄くない!?なんなのその血筋」
「………ウンウン」
「ルシアちゃん、かー。。。見た目に劣らず綺麗な名前だなぁ………」
ハウロ、放心してないで帰ってこい。
「でもよ、三段階目ってことは対極魔法だよな?どっちなんだ??」
「たしか『闇』って言ってたな」
「………ピクッ!!」
「ん?どうしたシズネ」
「っ!?………サササ」
アカネの後ろに隠れてしまった。
「たはは、まだ慣れないかぁ。いやね、ウチも噂や話でしか聞いたことがないんだけど、対極魔法は『聖』をもつ人が大抵聖職者の家系に生まれることが多いらしいんだけど、『闇』はどちらかといえば魔族のようなイメージが人々についてるんだ。もちろんなんの解明もされてないし信憑性もないんだけどね」
ふむ、言われてみればそうか。
『闇』は確かに縁起の良いものを連想させる響きではないからな。
どちらかといえば魔族寄りというのわからなくはない。
オレ、魔族ですからぁ〜。
「はーいみんな席についてー、始めるわよー」
話に華が咲いたところでプラン先生がバインバインと教室に入ってきた。
みんな散らばり席に戻る。
「さて、昨日の続きからねーーーー…」
今日も1日が始まった。
(にしても、謎の美少女か。やっぱあいつ可愛いもんな。モテモテ街道真っしぐらだな。ま、オレには関係ないか……)




