17話 勇者達の決意
〜リベンジール城内会議室〜
「、、、それは誠かルイス?」
「はい、確かにこの耳で」
「うぬぅ、、、魔王か。。。」
リベンジール国王は神妙な面持ちで呟く。
大臣のルベウス始め政治的役職についた面々が一堂に顔を伏せる。
「オレ達じゃあ、まだ手も足もでねぇな」
「そうね、配下の魔族に近寄ることすら出来ないなんて。。。」
回復したシュウとエリンが下を向く。
それはルイスも同意見だった。
「父上、我らはまだまだ強くならなければいけません。『審判の門』へ行こうと考えています。どうか許可を」
「なっ、、、!!『審判の門』だと!?ならぬ、あそこは人ならぬものの住処。いわばこの世とあの世の境目。生きて帰れたものなど建国600年の歴史の中一人も居らぬのだ!」
「いきなりね、、、ルイス。確かに、あの魔族の相手をするようなら『審判の門』でハイキングでもできるようにならなければいけないわね」
「あそこ、か。。。親父殿にと口を酸っぱくして行くなと言いつけられていたが、そうするしかねぇみたいだな」
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『審判の門』
リベンジール国の最南端に位置する活火山、スウェール火山の噴火口にあると言われている地の底まで続くような洞窟。一説によると魔獣はそこから生まれ出てくるのではないか、と言われている。一般的に現れる魔獣はC〜Dランクばかりだが、そこには最弱でもBランク以上の魔獣しかいない。それ以上弱い生き物は生きていけないからだ。
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「はい、承知の上です。ですが、あの強さの魔族が現れたならば人類の生存は最早時間の問題。どうせ死を待つくらいならば、ただ手をこまねいているより抗ってみようかと」
「いや、しかし。。。」
ルイスが強い光を浴びた目で言い放つ。
それを聞いた大臣達もザワザワと動揺を隠せない。
「いいんじゃない好きにさせたら?どうせこの国にはルイスにかなう奴は居ないし止められんだろ。それに、オレも親友の形見の槍を壊されちまったからなぁ。あの火山には普通ならお目にかかれない希少な鉱石もあると聞く。新しい武器も手に入れねぇとな」
シュウが諦めなよというような感じで頭の後ろで両手を組み言った。
「そうね。私も二人に同意見ですわ。あんな目に合わされて屈辱ったらありゃしない」
そう言ったエリンの体から魔力が溢れ出しテーブルの上のティーカップがカタカタと震える。
「おいおいエリン、病み上がりだし会議室ぶっ壊れるから止めろよ」
シュウの一言に気を落ち着かせ魔力を抑えるエリン。
「………そうね。『審判の門』くらいの場所じゃなきゃ私も全力をだせそうにないし、行くしかありませんわね」
「と、いうわけですが父上?」
「………わかった。人類の希望、そなた達に託そう。だが、シュウ王子とエリン姫に関しては直筆の文を各国に送るように。王と言えども人の親、心配するはずだからの」
「りょーかい」
「はい、わかりましたわ」
「では父上、早速準備をして出立します」
「うむ、くれぐれも無茶はせぬようにな。少しずつ進んで行くのだ。何かの役に立つかもしれぬ、数少ない『審判の門』に関する文献を持ってこよう」
「はい、ありがとうございます!」
こうして、三国の勇者は己を強くするために人里離れた地獄の入口への出発を決めたのであった。
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「なるほど、そういうことでしたか。大変驚きでございます。しかし、上手くやれている様子で何よりです」
「………はい」
「ではそうなると、『審判の門』には今は誰も?」
「はい、そういうことになります。ですので今はそこは無法地帯に………」
「ふむ、エルザーク様がもう少し成長されましたら良い遊び場になるかも知れませんね」
白い執事服を着た男が顎に手を当てよからぬ笑顔で微笑んでいた。。。




