1話 初めての魔法を使った日
目指せ完結!
ボッ!
シュバンッ!!
メキ、、、メキメキメキメキ。。。
ズズ…ン!………
「エ、、、エルザーク様。。。ついに、、、ついに、、、、、っ!?」
パチパチパチパチ!!!
「はぁっ、、、はぁっ、、、」
「わたくしダンテ!今日という日をこれほど嬉しく思うことになるとは!?」
「うる、、、さい、、、。お、お前が言うと、、、はぁっはぁっ、、、イヤミにしか聞こえん。。。」
オレは渾身の力を込め練り上げた魔力を炎球と化し目の前の細木に向け放った。
成人男性なら蹴っても折れそうな木だったが、初めて魔法が成功したのだから本当は喜ぶはずであろう。。。だが、、、
「うう、、、エルザーク様と共に過ごして早八年。誠に!喜ばしい限りでございます」
初めて成功した小さな火の玉のせいで疲労感漂うオレを盛大な拍手と共に褒めちぎる真っ白な執事服に身を包んだ黒髪イケメン、ダンテの後ろには、オレに見本として見せるために放った魔法でできた焼け焦げた大地が広がっていた。
「。。。それ、嘘泣きだろ」
「何を仰いますっ!?わたくしがこんなにもエルザーク様の成長を喜んでいるというのに、ヒドい!あんまりです!!」
いつの間に出したのかハンカチを目に当てながらヨヨヨと泣いているがイラっとする。
おい、どっから出したんだそれ?
「お前の後ろの景色がなきゃちったぁ喜んだかもしれんよ!」
「、、、はて?魔力を抑えたはずなのですが。。。」
後ろを振り向き片手を顎に当て首を傾げながら不思議に思うダンテ。
「不思議なのはお前の頭ん中だよ」
たく、、、これだ。
まぁこの男の素っ頓狂で理不尽な力と行動は今に始まったことではないけどな。
物心ついた頃から一緒に居た。
とんでもない力を持ちながらオレを主として接するダンテ。様々なとんでもない魔法を操り、格闘に関しても鬼を相手に赤子を捻るように叩きのめす。
三年くらい前、五歳の時に子供ながら不思議に思い聞いたことがある。
「ダンテ。なんでそんなに強いのにオレみたいな子供に仕えるんだ?」
「おやおやエルザーク様。魔族というのは自分より弱いものには決して頭を下げないのです。エルザーク様が私よりお強いからに決まっております」
いつもの、決して崩れることのない満面の笑みを浮かべながらあいつはそう言った。
ふ〜ん、とその時は特に考えもせずに答えたが年を重ねる毎にダンテの強さが途方もなく感じる。
「ささ!今日はおめでたい日でございます!奮発して竜のステーキでもご用意致しますよ!!」
そう言うと背中から黒く染まった天使の様な羽を出し、一瞬で空の彼方に飛んでいく。
「ちっ、、、腹一杯食べてやるからな……」
オレはその場に座り込み、精一杯の皮肉を吐くしかできなかった。。。