じいさんとロボット
玄関のベルが鳴った。
機械工のロベルトじいさんは、頭にゴーグルを乗せたままドアを開けた。
「夜分遅くにすみません。」
柔らかく微笑んだ青年が立っていた。ロベルトじいさんは、青年の抱きかかえている人物を見た。青白い顔の美しい、髪の長い女が、抱かれていた。
「彼女が壊れてしまったみたいで…、直して欲しいんです。
お願いします。」
…こいつはロボットか…。よくできているな…。人間と変わらんじゃないか。
澄んだ青い瞳が、真っ直ぐに見つめてくる。
「直せったって無理だよ、兄ちゃん。」ロベルトじいさんは、困惑した声で言った。
「そうですか。どこに行けば、彼女を直せますか。」
ロボットは、言った。
「直せないよ。もう死んじまってるじゃないか。」
「そうです。直すことは可能でしょう?」ロボットは言った。
ロベルトじいさんは、精巧なロボットの青年をじっと見た。
…こいつは、高い性能を持ってるのに、頭のネジが抜けてるらしい…危険なやつには見えないが…
「お前さん、どこから女を持って来たんだ?」
「浜の岬から。」
そんな遠いところから…、女の死体を持ってきたのか。
「まあ、入れ。それから、話を聞くとしよう。」