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私を心の底から愛して  作者: 湊 悠美
天才教授は誰?
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黒い人の兄弟について

少し短めです

「あら。貴菜氏の次男様だわ」

「まぁ!優秀なご長男に瓜二つなご容貌で…」

「婿になられたお兄様と似通っているあまり、後継から外されたのでしたっけ?」

「そして、次の後継はお人形()……なんと嘆かわしい…」

「優秀な長男は、24歳。同じく優秀な次男が今年で17歳。そして、お人形(弟君)は14歳」

「周りからの期待に耐えきれず、劣等感に押し潰れされ、親の言いなりになるだけだったら良かったのに…」

「まさか、義務教育の年で大学(ここ)に乗り込んで来て、()()()()を侮辱するなんて」

「まぁ!あの容貌で義務教育のお年だったの?……中身と外見が伴っていませんわ」



 一瞬だけ見えた黒髪を追いかけると、段々と彼に関する話が聞こえてきた。けど、近くに居る本人は、その会話を聞くことが出来ない。彼以外の周りの人は、その言葉に動揺を隠せないが、私の姿を見て残念そうに去ってるけどね。



「それにしてはお粗末ではありません?()()()()を術に嵌めようとしているのであれば」

「えぇ。術者の総本山、海之宮を相手にしていると想定するならば。これほど侮辱に値する行為はありませんわ」

「……もうそろそろ限界ですね。今まで、力をお借りしてなんとかやって来ましたが、さすがに…」

「では、(わたくし)達は失礼させていただきます。………貴女様の恋愛話、楽しみにしておりますわ」


 ふふっと笑って去って行く、四人の女性。誰に向けられたがはっきりすることなく、彼女達はお礼を言う。彼女達は、私の味方で部下でありながら教え子である人達。前、お母様達の誕生日パーティーで、飛鳥達に絡んでいた人ね。まぁ、あれは彼らを試す為だったらしいけど。

 でも、おかしいなぁ?彼女達に、情報収集頼んでいたけど、今さっき大叔父様の話では、彼らの兄だったはず。なのに、悠輔の場合は弟。私の感では、多分光の兄弟も兄ではない。

 はぁ。またあのクソ女神が絡んでるの?そうでもしないと、(わたくし)達の血を引く皇族が騙される程の術がかけられる筈がないしね~?


「悠輔〜!」

「紫苑!?」


 走るスピードをすこしは緩めたものの、結構なスピードで飛び付いた私をしっかり受け止めてくれる悠輔は、少しの困惑を顔に乗せている。そんなの関係無しに抱きつくけどね?クソ女の事を考えたせいで、気分が悪いもの。


 遠目からでもはっきりとした黒髪は、私達()以外の人物としては珍しい色。暗黒色の瞳も小鳥遊家の人達と比べて、黒が濃いすぎる。やっぱり悠輔は烏天狗なんだなぁ〜。烏天狗は神の使いとも言われているから、皇族だけが持つとされている黒を持つことができるし〜。

 怖いとか言われる外見は、精悍過ぎて、常に睨みつけているような顔立ち。それでいて、雰囲気も鋭いし、ガタイがいいから余計遠巻きにされるけど、どっちかというとイケメンなんだよな〜。寝てる時とかの顔は、普通に整ってるし。


「…紫苑?もうそろそろ良いか?」

「…うん。もう少し抱きついときたいけどね?」


 もう少し、現実逃避したかったのに。溜息をついて悠輔を見上げる。悠輔達って、皆180㎝は普通にあるから、見上げるのしんどいんだよね。光だって、160後半あるし。親族も大体高いし。月兄とか雪とかは、合わせてくれてるのか何なのか、そんなに変わらないけど。私より低いのって、紫と桜と葵だけだよ?寧ろ、私とそんな身長変わらないからね!


「紫苑、どこかで座って話すぞ?だから、縮めばいいのにって呪詛の様に呟くな。呪われそうだ」

「…ごめん。無意識。次、外国文学の講義するからそこ入ろう?…大叔父様も速く~!」」


 少し青ざめた顔の悠輔に謝り、指差したのは、次に使う講義室。そして、丁度良いタイミングで、文学部長と仲良く話しながら現れた大叔父様達。


「紫苑。貴女、また走ったでしょう?部下から文句が来てるよ?」

「ごめんなさ〜い」


 童顔で年齢不詳な、物静かな雰囲気のこの人は、文学部部長様。いつ見ても、弱冠20歳のようにしか見えない、頼れるお方です!


「悠輔。貴方も、弟に苦労させられて」

「いえ。こちらこそ、ご迷惑をおかけいたしまして申し訳ございません」


 穏やかに悠輔の肩に手を置いて話すおじ様に、頭を下げる悠輔。あれ~?


「もしかしなくても、知り合いだった?」

「……紫苑。最近昇進した、准教授の名前は?」

「……?確か、高梨(たかなし)桃李(とうり)様ですよね?昇進してすぐ、おじ様の次に、私達に挨拶にいらした。優しそうな雰囲気と声と眼差しなのに、精悍な顔立ち過ぎてほんのりこわ…い………」

「ん?どうした紫苑?気にせず言えよ?ほら、言え?」

「ごめんっ!桃李様って、悠輔の兄君なんだね〜。言われてみればそっくり〜」


 あははっと笑い、視線をそらせば、頭に強い衝撃が!


「悠輔~!私の、私の頭がメシって言ってるよ!メシッて!!」

「黙れ。嫌な音立てているのは、俺の手だ!なんで、外見そっくりな兄貴がほんのり怖くて、俺は物凄く怖いんだよ!?」


 悠輔が怖くて、桃李様が怖くないのか。……う~ん。


「雰囲気と目付きの悪さ?」

「紫苑?本気で良い声を聞きたいようだな?」

「やだっ!使い物にならなくなるもん!良ちゃん~!HELP ME~!」


 助けを求めるも、顔を背ける三人。良ちゃん、何?オーラが怖い?私も怖いんだよ!!そして、現れる救世主!!


「悠輔。話が進まないので、その紫苑(馬鹿)を引っ張ってきなさい」


 …って救世主じゃなかった!!ちょっと、助けてください!大叔父様も助けて!諦めたようにみないで!

 ちょっと、悠輔!痛いから。手がミシッて言ってるよ!このまま連れてかないで~!


次はおじ様の説明会かとおもいます

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