城ヶ崎一族の断罪
ざまぁ回の最後
ダイジェストの伏線を回収しています
「えっ!な、なんで!どうしてなの!?」
取り乱す城ヶ崎希桜。そんな彼女を横目に、そっと溜息を吐くのは、私そっくりの人物。
「姉さ~ん、その煽り方ドSだよ~。って言うかさ、俺じゃなくて、兄さんで良かったんじゃないの?」
「個人的に、雪が適任だったの!って言うか、月兄が『下っ端で遊びたい』って言ったからね。」
私の姿をしていたのは、弟の新雪。月兄は個人的に誘拐犯をボコりたかったらしく、強制的に雪になりました~。
「さすが雪だよね~。咄嗟に、『川之宮家長子』って云うんだもん。長子って、主に男児の事言うから、雪の言ってること間違っていないんだよね~」
「まぁ、髪の毛が偶然姉さんと同じ長さで、姉さんに無理やり女物の制服着させられたら、姉さんと本当に瓜二つだっただけだもんね?」
周りに同意を求める雪。その目が笑っていないことに気がついた生徒たちは、慌てて首を縦に振る。…雪が年下であることを忘れているけど、命が大切なんだろうねぇ~。
喉の奥で笑いながら、胸元から扇子を取り出し、パサッと広げる。その瞬間、空気が凍った。これこそが、氷の女神と言われた私の本性の登場。この扇子を閉じるそのときまで、私は氷の女神。その間、空気を絶対零度にしてしまう。
「さてさて、小娘さん?貴女は、私の事を誰に言わそうとしたのかな?」
「な、なによ!そんなの決まってるでしょ!あんたを陥れる事ができる身分の持ち主よ!」
「へぇ~。では、貴方様方はどうなのでしょう」
「紫苑ちゃん。…こんな事したくないよ!」
私の問いかけに答えてくれたのは、御三方の中で一番歳が上な宮内庁長官補佐の、九十九勇人。勇人様は、川之宮&水之宮のお偉いさん(現当主と元当主)と同級生で、幼い頃からお世話になってます。だから、ちゃんとそんな事をしないと分かってるよ~。ちょっとした、確認ね。
「うわぁ~。そうなると、お馬鹿さん☆は何したの?」
「誰がお馬鹿さんよ!しかも、☆つけてんじゃないわよ!」
「どのように脅迫したか、公表しちゃうよ!どうぞ、ご入場ください!!」
「なによ!無視してんじゃないわよ!!」
お馬鹿さんは、うるさいね!外野も口を揃えて、『鬼』って言わない!!
それはそれとして、私の声で入ってきたのは、九十九家・九家・九星家のご令嬢。つまり、この御三方の娘さん。まぁ、感の良い人は分かったかな?お馬鹿さん☆が何をしたか。
「九十九家・九家・九星家は、『九家』って呼ばれているよね?それってさ、川之宮&水之宮のお偉いさんが、呼び始めたんだよ~。
だからさぁ~。『九家』の方が、川之宮家であり、水之宮である、私に喧嘩売るわけ無いでしょう?」
「な、な、何でよ!何で、ここに居るのよ!誘拐したのに!!」
…なに?マジで馬鹿なの?人の問いに答えろよ。ってか、勝手に自爆すんなよ。私の面白み消えるだろうが?
「紫苑。それに関しては、怒ってあげないでください」
「それは――誘拐した人物が目の前に居るのに取り乱すなとか――、流石に鬼だろ?」
「乾に白。(人の心読んで)五月蝿いよ。ってか、居たんだ?」
「そりゃぁ、こんだけ大人数居たらな(思いっ切り居たよな?考えような。後で、説教。)」
いやぁ~!白の鬼!なによ、副音声で、後で説教とか酷すぎるでしょう!!
「鈴愛!」「美鈴!」「玲香!」
「なんかごめんね!感動の再開!」
「「「お気になさらず!!」」」
私がキレてる真横では、『九家』が感動の再会してました。なんか、本当にごめんね!まぁ、感動の再会も終わったので、イジリにかかりましょうか!
「城ヶ崎家現当主の娘、城ヶ崎希桜。貴方は、『九家』である、九十九家・九家・九星家のご令嬢を誘拐し、『九家』に、私、川之宮紫苑であり、水之宮紫苑に対し、名誉毀損にあたる証言をさせようとしました。このことで、彗星高校理事長代理として、貴方をこの場で断罪し、社交界での評判を下げ、警察にて社会的に殺害しようと思います。殺すわけではなく、城ヶ崎家を無くすだけです。これに、賛成致しますか?生徒会長藤條憐殿に、生徒副会長十六夜飛鳥殿?」
急に雰囲気と口調に変えた私に、憐と飛鳥は冷静に対応してくれる。ありがとうね。まぁ、氷の女神様は解除していないから、何人かは真っ青なかおしてるけどね。
「生徒会長、藤條憐、賛成します」
「生徒副会長である、十六夜飛鳥は、その意見に賛成します」
「では、風紀委員長であり、『色家』代表子息、後、私の従兄である白河虎。貴殿は、どう思われますか?」
白に対して、言葉をかけた時、ザワッと空気が変わるのを感じた。『色家』代表子息に驚いたのか、私の従兄に驚いたのか。まぁ、両方かな?
「白河家次期当主、『色家』代表子息、後、貴女様の従兄と致しましては、『御三家』の血が強い貴女様に喧嘩を売った時点で有罪ですよ。川之宮家現当主の娘で、水之宮現当主の孫。後、六之篠宮家の現当主、つまり、天皇陛下を大伯父に持つ貴女様ですよ?それでいて、彗星高校の本当の理事長なのだから反対する理由ありませんよね」
「白~!人が楽しみながら言おうとした所を、言うんじゃないの!」
「急にキャラ変すんな!」
「うっさい!こっちの台詞だ!」
「そんなの、聞いてないわよ!!」
白と言い争いしていた所に入ってくるのはお馬鹿さん☆。ごめんねぇ~。ガチで忘れてた。
「えっ?なにを?」
「今、白河様が仰った内容よ!」
「それって、社交界に出てたら、知っとかないと駄目なことだよ!てか、白は様付けなの~?
ではでは、質問でーす!今、私と白が言った事知ってた人、手を挙げて~!」
私の声で、殆どの手が挙がる。挙がってない奴、覚えとけよ?ファンクラブのメンバーに聞いて教えてもらうから。
「嘘よっ!じゃあ、あんたが偽物なんだわ!電話で聞いてやる!!」
「どうせなら、モニターに繋いでテレビ電話しよう~」
お馬鹿さん☆のスマホを奪い取って、カメラをこちらに向け、モニターに繋いで、テレビ電話にする。丁度後ろに立っている方々に、見えるように。
【…お嬢。す‥みません】
映し出されたのは、スーツが所々破けた男。グラサンで顔が見えにくくなっている。…本当にイタズラ大好きだね?
「なにがあったって言うのよ!」
【誘拐したのが…実は…。くくっ!俺も誘拐していたからな!】
「えっ?」
声が変わり、スーツの男が画面から消えたと思ったら、現れたのは、新品のスーツの上から白衣を着た男性の姿。グラサンも外していて、顔は本当に私とそっくりだね。
【この顔で、眼鏡かけてたら、一緒に誘拐されてな。んで、丁重におもてなしされてた『九家』のお嬢様を解放した後、お前から電話が掛かってくるのを待ってたわけだよ。因みに『九家』のお嬢様は、手を出されていないからな。たぶん、紫苑が後で診断書でも書いてくれると思うけど。まぁ、待ってたのはプライドをズッタズタにするために。後、黒服共は死なない程度に痛めつけてるかな。安心しろ、死んではいない】
「「うわぁっ。兄さん(月兄)、遊んでるね」」
【紫苑が誘拐されるんだぞ。因みにだが、俺は、その馬鹿共の叔父の水之宮月光。まだ、19だから】
「「外見詐欺~」」
【黙れ】
「はぁ!?」
「解説します!この人は、水之宮家現当主のご子息です。お母様の弟です!年齢差は、考えたらイケナイんだよ~」
「そうそう。兄さんは、桜華大学首席の実力主義者だからね。まぁ、一回卒業してるけども」
「巫山戯んな!そんなもの、私の権力で!」
「どうにか出来ると思っているのかい?」
「…っ!」
自棄になったお馬鹿さん☆を黙らせたのは、地の底を這うように低い、勇人様の声。まぁ、自分の大切の娘が誘拐されたらそうなるよね!てか、国家権力を総動員しても、見つからないなんてねぇ~。
「城ヶ崎家の現当主は、城ヶ崎錦さんでしたよね?貴方のお祖父様の?」
「そうよ!何かわ」
「病院で入院中ですよ」
「えっ?」
私の声で空気が固まった。そりゃそうだろうね。城ヶ崎家は、それなりに古いもんね。私達とは、比べ物にならないけど。
「まぁ、色んな人から失望されてて、女癖も悪く、それでいて手術も難しい難病ですもんね~。よく、助けてくれた人が居ましたよ。貴方が、部下だと思っていた人も全員掌を返したんですよ~」
「姉さん。エグい」
「それを、宮森家が助けたんですよ?知ってます?宮森家の天才医師と言われているのは宮森廉太郎ですよね?あの人は、水之宮将太の弟。つまり、月兄の叔父で、私達の大叔父なんですよ?貴方方は、恩人の親族に対して、恩を仇で返すんですかね~?」
「疑問形なのに、疑問形じゃないのが姉さんの怖さ」
「つまり、城ヶ崎家で権力を持っている人物は病に倒れ、その孫は、その恩人の親族に喧嘩を売ったんですね~そんな、貴方方が社交界で生きていけるはずないでしょう?」
「怖い怖い」
「いい加減、黙れ。雪」
「そんなの認め!」
「いい加減認めてくれないかな?連れて行くのが面倒なんだけど」
「まぁまぁ、落ち着いて」
「えっ?イケメン…」
「ごめんねぇ~。鳳に幸~」
お馬鹿さんが目を奪われたのは、背が高く、男性には嫉妬されるほどに凛々しい顔立ちの神篠鳳。あと、宥め役の人懐っこい笑顔の、綺麗な雰囲気を持つ、如月幸矢。二人とも、最初の方から待ってくれたくれたんだよね~。
「まぁ、この宇宙人…お馬鹿…気狂い…失礼、お嬢さんは、強制連行いたしますね~」
「罪状は、紫苑に対する名誉毀損と、九星家のご令嬢の誘拐。他の余罪は追々突き止めますので」
「お疲れ様です。警察庁長官と警察庁長官補佐」
「いやいや、そちらこそお疲れ様です」
「えっ?」
「その二人はね、警察のトップなんだよ~頑張れ~強制連行~」
「いやっ!連れていっぐ!」
「うっせ~よ。いい加減黙れ!」
ご令嬢の態度にキレた、雪が首に手刀を落とした。うわっ!一発で黙ったよ~
「さて、皆様。この度は、彼の者がご迷惑をおかけして申し訳ございません。今日の授業は、無しにさて頂きます。ご迷惑をおかけしたお詫びに、今からホールにて、パーティーを開かせて戴きたいと思います。どうぞ、皆様、楽しんでくださいませ」
正解は、1,新雪
ダイジェストの話は、6日目と10日目の話。病院の手術と、警察のお偉いさんの話の場面が伏線でした~




