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私を心の底から愛して  作者: 湊 悠美
理事長は誰?
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*緊急集会 動き出した針*

ざまぁ回

主人公は不在~


 講堂には全生徒が集まっていた。生徒だけで教員は居ない。風紀委員長曰く、「被害を極限まで少なくする為の、手配に追われている」との事。

 講堂の椅子は、講演会などが開かれた場合を想定し、座り心地の良い椅子が設置されている。


 座り心地の良い椅子に座り、舞台を見上げると、大半の人間が固まった。


 各委員長である色家の人々と、鈍色(にびいろ)の髪に薄鼠(うすねずみの目の少女が立っていた。元から紫苑が居ない事は知らされていたため、紫苑が居ないことには誰も動揺しない。動揺したとしたら、少女の出で立ちだろう。鈍色の髪はツインドリルのような髪型をしており、口元を隠すように扇子で隠している。ツリ目でパッチリ睫毛。銀朱(ぎんしゅ)のフリフリのワンピース。どう考えても、ラノベにでてくる高飛車お嬢様。


 その横に並んだ風紀委員長が、首を振って諦めろと口を動かす。何事にも、諦めが肝心なのだ。高飛車お嬢様なんぞ気にしてはいけない。


 のだが…


「皆様、お集まり頂きありがとうございますわ!」


 飽くまでも、この緊急集会開いた彼女は主役。無視するわけにはいけないのだ。…因みにだが、彼女が言葉を発した瞬間、いつも完璧な笑みを浮かべている図書委員長=黒峰勝亀が苦虫を噛み潰したような表情を見せた。


わたくし城ヶ崎(じょうがさき)希桜きさこと、城ヶ崎一族がここの高校の本当の理事長だと宣言させていただきますわ!」


 この瞬間、空気が凍った。


 比喩などではない。この場に居た、全員がピシッという音を耳にしている。恐る恐る発生源を見ると、舞台に立つ委員長達と、舞台のそでで、にこやかな笑みを浮かべる生徒会。彼らの周囲に、微かだが青い物が浮いているのだ。

 いや、生徒会に至ってはそれどころではないのだ。会長の目が妖しく煌めき、副会長の目が金色に光ってり、庶務の周りには、風の軌道――軌道という言葉はおかしいが、本当に軌道が見えるのだ――が見える。後の二人は、寒い笑顔を浮かべている。

 委員長達は、口を動かし何か呟く。生徒達が首を傾げると、ふんわりとした声が聞こえてくる。意識しないと頭に残らない声が。


『理事長は、お前らなんぞに務まるはずがない。何を寝言をほざいているのだ。あの方々を・・・』。あら、思いの外頭にきてらっしゃるようですね。まさか、全員が同じ言葉を仰るなんて」


 声の正体は、成原依織。彼女は、全員の口の動きを読み取っていたのだ。これも、彼女が仕えるべき人物に教えてもらったからである。彼女が、最後を濁したのは他でもない。ファンクラブの生徒もいると言うのに、『あの方々を誘拐しておいて、何を言う』そんな言葉を言えるわけがない。


 ふと、悠輔ゆうすけが表情を変えた。何かに驚愕したかのような表情。その時、空から何か黒いものが降ってきた。悠輔のもとに落ちてきたのは、暗黒色の羽。

 それが何かいち早く理解した、れん飛鳥あすかが表情を変え、悠輔に顔を向ける。悠輔は、一つ頷き、委員長達に顔を向けた。それに対する反応は、溜息をついて頷くもの。しかし、四人は分かってしまったのだろう。溜息をついて、頭を振る。…分からなかったひかるだけは、けんに教えてもらっていたが。


 周りの雰囲気を歯牙にも掛けず、高飛車お嬢様は喋りだした。


「『出自が分からない常識知らず』が、まるで自分が理事長の親族であるかのように振る舞って居ましたが、わたくしこそが、理事長の娘ですわ」


 このお嬢様は、どこまで常識しらずなのだろう。皆が殺気を向けていても、髪の色でさえも気づかないと言うのか?


「そして、その証人になる人達に来てもらっています」


 そう、彼女の声とともに入ってきた人物に、委員長達が固まった。


「桜華大学教授。宮内庁長官補佐。警視総監補佐。やっぱり…」


 そう、呟いた砕亀の言葉に、三人とそれぞれの御婦人が、申し訳なさそうに頭を下げた。


「申し訳ないね。紫華原のお坊ちゃん。流石に、かえられなかったんだ。それに、私共が表に出たほうが、解決できるかと思って」

「そうだな。だが、こちらこそ早期解決出来なくて申し訳ない」

「いえ、謝らないでくれ!」

「なんの話をしてんのよ!なんで、そんなに仲が良いのよ!」


 砕亀と宮内庁長官補佐が、親しげに話しているのを聞き、お嬢様が怒り出す。お嬢様としては、役職を告げ、本格的に宣言するつもりだった。それが、役職を勝手に言われ、それでいて仲が良さげに喋られる。しかも、自分より美人な砕亀にだ。お嬢様のプライドはズッタズタだろう。

 だが、そんなお嬢様にも勝てる要素がある。


「さぁ、あの川之宮紫苑とか言う女の、真実を公表して頂戴!」


 お嬢様の宣言と同時に、声が響き渡った。


「黙って聞いていれば、好き勝手言うんだね」


 現れたのは、綺麗な漆黒のストレートな髪を腰まで伸ばし、漆黒な目を怒りに染めた、美貌の持ち主。


「川之宮家長子として、その喧嘩買おうかな?」


 心が安らぐ声で、首を傾げる川之宮家長子。


 周りが固まる中、お嬢様が叫んだ。


「なんで、あんたが居るのよ!確かに誘拐を頼んだはずなのに!」


「あはははっ!ついに、言ったわね!手間が省けたわ~」


 軽やかな声とともに入ってきた少女。


「さぁ、お望みの通り私の事を断罪できるかやってみたらぁ?

 お・ば・か・さ・ん☆」


 彼女こそ、誘拐されたはずの天才。川之宮家長女の川之宮紫苑。

 そして、紫苑の登場により、針が動き出した。

 城ヶ崎一族への断罪への針が。

主人公が登場しました~

では、化けているのは誰でしょうか?

1,新雪 2,月光 3,お母様


ヒント お母様では無いです


正解は、19時の投稿で

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