*緊急な緊急集会の案内*
短めです
その日。登校すると、教室の黒板に文字が書かれていた。
『緊急集会を行う為、全員教室で待機しているように。
これは、理事長命令である』
1年だけでは無く、全学年のS組の生徒は、首を傾げる。彼らは、理事長がどのような人物か、家族付き合いにより知っていたのである。2,3年の他クラスでは、各委員会の委員が取り乱している事により、これが狂言だと言うことが広まっていた。1年の全クラスでは、これを書きそうな人物が居ないことで、嘘の内容だと広まった(普通に登校している生徒は、紫苑が御三家の人間なのは有名。寧ろ、何故家柄が低く見られるのか分からない)。
皆が首を傾げている中、一年S組では、ちょっとした事件が起きていた。これを見た瞬間の光が、おどろおどろしい雰囲気をを出しているのである。余りにも雰囲気が怖いため誰も近寄れない。
S組の生徒が、光と黒板の対処に困っていると、
バタン
と、教室の前のドア(因みに、観音扉である)が急に開かれた。もしかして紫苑様が!っと、希望を見つけたように見ると、そこに立っていたのは、放送委員長だった。
「申し訳ございません!紫苑様はいらっしゃいますか!?」
流石は、鳴き声は音楽の音階に一致すると言われている麒麟の化身。声を聞いただけて光が落ち着いた。
「紫苑の居場所が分かんないの!?」
・・・少しだけ。
「その様子ですと、光くんも何も知らされていないようですね」
「うん。紫苑からは何も」
「やはりそうですか・・・・」
麟が、手を頭に当て黙り込むと、教室には沈黙が訪れた。その空気に耐えられなかったのか、依織が麟に声を掛けた。
「麟様」
「・・・どうかしましたか?依織」
何人かの生徒が微かに表情を動かした。水原家のご令嬢は、本当に心を許した相手しか呼び捨てにしない。つまり、鳴原依織とは、紫苑のファンクラブ『星の少女』の会長と、紫苑の従姉という関係だけではないということに気づいたからだ。
「・・・紫苑様がいらっしゃらないのだとしたら、今こちらにいらっしゃるのは・・・・」
「貴女の想像どおりの人物ですよ」
「・・・戦争が起きそうですね」
可愛らしい容姿の二人が溜息を吐き、周りの人間が震え上がった。紫苑が居なくても周りが気づかないほど、似通っている人物。どちらにしても、紫苑に態々変装しているのだしたら・・・。その先を考えるだけで全員に寒気が走った。誰も、恐ろしい結果なんて考えたくないからである。
「ねぇねぇ、麟さん。僕達は、このことは知らない方が良いんだよね」
「えぇ。私達のそばに居るのは、紫苑様にそっくりのある御方です。紫苑様そっくりですものね。誰も分かりませんよね」
麟が、独り言のように言う。周りに言い聞かせているのだ。いくら、紫苑ではないように見えても、外見は紫苑のそのもの。紫苑がそこに居るように振る舞うように言っているのである。
「えぇ。紫苑様そっくりの髪の長さに、そっくりの背丈ですもんね」
依織の言葉に、全員が頷いた。
「・・・では、私は失礼させてもらいますね。まだ、他のクラスでお話することありますし」
「頑張ってくださいね。麟様」
「貴女も、あてられないようにしてくださいね」
「勿論ですよ」
そして、麟と『星の少女』により、この話は直ぐに全生徒に知らされたのである。犯人を除いての全生徒に。
お次は、緊急集会の話をします
そして、主人公は不在ですよ☆
紫苑「ふぇっ!?」




