楽しいお遊戯
紫苑さんが、銀紅と言われる理由が出てきます
女性を否定する発言・暴力行為が出てきますので、ご注意ください
廊下のど真ん中に立つと、ついつい喉を鳴らして笑ってしまう。ここまで来た、努力だけは認めてあげようかな。
檻の前に立ち、相手の反応を伺う。どうやら、あれは、ここを大広間だと勘違いしているよう。幻覚を物色していた。まっさか、御三家の一家である川之宮家が、そんなに狭いはず無いでしょ?だから、努力だけは認めてあげるのよ。
寧ろ、努力しか認められそうなものが無いわね。
いい加減、真実を見せて上げるために、檻に触れ結界を解き、この空間すべてに結界を張った。
檻から現れたのは、整っている分類に入る容貌の男性。外見年齢は月兄と同じくらい。その髪と目の色は、墨汁を被ったような墨色。けど、黒を身に纏えるのは、神という存在に達した者だけ。案の定、墨色に見えるけど、私にとっては山吹色に見える。あっ、悠輔はね烏天狗だから。烏天狗も神格化されているから、黒を身に纏える。烏は、神の使いであったし。
それは、私の姿を確認し、表情を整えた。くくっ!何、取り繕ってんだ?せいぜい、無駄足を踏んで苦しめ。
「お嬢さん。迷子かい?」
「ええ・・・。迷ってしまったようで」
私がしとやかに振る舞うと、それは、今にも舌舐めずりしそうな笑顔で微笑んだ。
「私は、川之宮家の長男。川之宮新雪です。お嬢さん、私に名前を教えてくださる権利を頂けませんか?」
雪と大違いの良い声じゃない声で、私に声を掛けてくる。名前を教えたら最後、いいように扱われるのだろう。名前で縛り上げて。そんな事するわけ無いし。させる訳が無い。そもそも、雪は新雪だ。決して、新雪なんぞではない。
「ねぇ、お嬢さん」
「・・・っは!」
私が鼻で笑うと、それは、顔を歪めた。こんなに直ぐ感情に左右される奴に、雪の名前を騙らせる訳にはいかないんだよ。
「だから、俺はっ!」
「いい加減にしろ!発情狐が!!」
近づいてくるそれの腹を、膝を蹴り上げた。そして、くの字になったそれに、踵落としをくらわす。それは、床とアツいキスをしたが関係なしに、しゃがんでそれ胸ぐらを掴み、視線の位置と合わせる。
「ど、どうして!!み、りょ、うが!!」
「あぁん!?魅了だと?貴様、何処まで絡んでやがるんだぁ?」
それが、顔を真っ青にして震えて居るが、そんな事知ったこっちゃない。それが、何処まで知っていたか。重要なのはそこだけだ。
「おい。答えやがれ、ド腐れ変態発情狐で鼠野郎が」
「か、絡んでるって!お、俺は、川の宮には良い女が居るから遊んでこいって言われて!」
「誰に」
「い、言えない!!」
ガッ ガコンッ
狐が壁に叩きつけられ、私がその横の壁を思いっきり蹴り飛ばし、ヘコました。後で、神力で修復しよう。
「おい、てめぇの頭は腐ってんのか!?人に聞かれたことだけ、答えろよ!!」
「め、女神を名乗る奴に、魅了の力を授かりまして!!それで、川の宮には良い女が居るから遊んでこいって言われて!!」
「それで、魅了は効いたのか?」
「はいっ!外では、女達は俺に征服されましっ!!ゲホッ・ゲホッ・・カハッ」
屑なやつの台詞につい手が出、髪や壁に血が飛び散った。
「・・・それで、川の宮が何だか知っているか」
「ゲホッ・・いえ、綺麗な・・・女が・・沢山いる・・事、しか!!」
「川の宮はなぁ、水之宮と合わせて、海之宮を名乗っているんだ」
「海之宮って、ま、まさか。関西の万喜路と並んで、術者を纏め上げる・・・」
「あぁ・・。その海之宮だ。良かったなぁ、今直ぐに消してもらえんぞ」
狐野郎が、顔を真っ青にしながら見上げてくる。気配が消えかけてる。存在が危ない証拠だな。
「あぁ、直ぐじゃないな。少し聞きたいことがあってな。その女神とか言う女、銀髪に鉛色の目をして無かったか?」
「はいっ!していました」
ガゴンッ
拳を壁に叩きつけると、思いっきりヘコんだ。狐が真っ青になったが、興味ない。
「後、・・・・を知っているか?」
「どうしてそれをっ!」
「やっぱりか。精々、それについて吐いてくれよ」
「もう、知らないんだ」
「そう?じゃあ、さようなら」
「・・・いやだっ!」
「この世を自分の物にしようとする奴は、それなりの罰を受けるべきだろ」
狐は、どんどん小さくなっていく。そもそも、あの女に操られている者を、生かしておけるはずがないだろう。
「まぁ、魂が清められたら、ちゃんと転生できるから安心しな」
喉を震わせ、声を出す。それに伴って、銀髪も綺麗に発光する。
『我の名の下に、彼の者を清める』
目がくらむほど光り、目を開いたときには、そこには何もなかった。
けど、赤く彩られた壁と、ヘコんでいる壁はあった。まぁ、今の私だったら、神力で直せるから良いけど!でも、神力で直したら、後々白とかに怒られるんだよなぁ!まっいっか!
まぁ、将太お祖父様や光三郎お祖父様。後、廉太郎大叔父様と真紅大叔父様にも、報告しとかないといけないね。
だって、大切な人だから。
口調が変わっているのは、わざとです。紫苑が、多重人格と言われる理由みたいなものです。
簡単に、言ってしまえば、チンピラになります!




