波瀾万丈のパーティー
少し中途半端です、
キラキラと輝くシャンデリア。沢山並べられた料理。キラキラとした服を着て、歓談している人達。そして、二人の美形に連れられた私。
・・・・・何なの?この公開処刑は!!??周りが温かな視線だから余計ね!まぁ、私が本振袖、月兄と雪が五つ紋の黒紋付羽織袴という第一礼装を着ているからだろうね。いや、だって私もね、第一礼装を着させられるなんて、思っていなかったんだよ!しかも、月兄と雪にエスコートされるなんて聞いてないし!何なんだよ!誰が考えたんだよ!
「まぁまぁ。紫苑、落ち着いて」
「そうそう。ちょっと、確認したいことがあってね」
確認したい事って何だよ!って、そんな事より。二人とも顔を微妙に、変えているよね。私達は、三つ子と言われるレベルで、容貌がそっくり。それは、一部の血縁者(魔王さまとか、川ちゃん)から、3姉弟と称されるほどに。だからこそ、私達が並んで歩いていても、三つ子と認識されるはず。けど、今は微かだけど、私達は似ていない。しかも、血縁として、似ていないんじゃなくて、他人としてのように似ていない。初見の人は、何処と無く似ているかなぁって思うレベル。月兄は神、雪は空狐の力を持っているので、好きなように姿を変えられる。まぁ、私も変えられるけどね。面倒いから、やんないけど。少なくとも、今は変える必要性はないはずなんだよなぁ。
「何時も仲いいよなぁ、3姉弟は」
「ふふっ。これが通常運転ですよ」
「寧ろ、仲が悪かったら怖いよね」
「真紅大叔父様、お誕生日おめでとうございます!」
「姉さん、誕生日おめでとう」
「父さん、誕生日おめでとう」
振り返ると、後ろには真紅大叔父様・お母様・お父様の三人が立っていた。真紅叔父様とお父様も五つ紋の黒紋付羽織袴。お母様は、五つ紋の色留袖。皇族の中で、「黒」は「喪」の為、第一礼装は黒留袖では無く、色留袖。青藤色に桃と鴛鴦の柄が入っている。
「流石、お母様!何を着ても似合いますね!お父様の見立てはやっぱり凄い!」
「よね。私も見た時はそう思ったわ!」
「女性陣は、話が盛り上がるのが上手いな」
「くくっ。それにしても、二人はそこまでも確認したかったのかい?」
「ええ。だって、紫苑を託すんだから」
「ちゃんとした人じゃないと。それに、もう一つのほうもねぇ?」
何か、外野が五月蝿いなぁ。私がどうこう言ってるけど、ちゃんと聞こえないや。
お母様との話に盛り上がっていると、真紅大叔父様が腕時計を確認した。因みに、クォーツ時計じゃなくて機械式時計ね。親族全員が、高級腕時計の大体が機械式時計だから、こういう私的用事の時に使っているとか。時間も少し誤差が出るしね。クォーツ時計は、磁気による影響を受けにくいし、時間の誤差も殆どないから、公的用事の時に使っているらしい。まぁ、用事は、殆どが公的なんだけどね。機械式時計には、社会経済に貢献する為と、芸術的な価値を求めているから、細かい事を気にしちゃいけないんだよ。今、大叔父様が着けている時計が、何千万円以上とか。お父様もそれに劣らない、時計を着けているとか。お母様も女性用の、時計を着けているとか、気にしちゃいけないんだよ。・・・本当に。
「さて、結構長く話し込んだな」
「確かに、他の方々に挨拶しなければ、いけないわね」
「じゃあね。・・・確認するんだよ」
大叔父様達は、他の方々への挨拶するために、優雅に去って行った。いやぁ、それにしても、本当に優雅だよね。それよりさ、二人共?
「確認ってなぁに?」
「「あはははっ!」」
「逃げない!」
月兄と雪が、頬を引きつらせながら笑う。何、笑って逃げようとしているのかなぁ。いや、多分わかっているんだけどねぇ?
「鼠・・いや狐の確認?」
「「あ、うん!それだよ!」」
「何、嘘言ってんの!」
慌てたように、頷いた月兄と雪の反応を見ると、多分それも合っていると言う事もあるんだよね。じゃあ、後もう一つが何がって言うことだね!
「しお~ん!」
「うっ!!光!?」
後ろから、衝撃を受けた。思いっ切り抱きつかれたのは、分かった。けど、声を聴くと光の声なんだよね。光は、こういう事をするような性格じゃ無いのに、どうして?
「あの、光?どうしたの?」
「ちょっと、色々あってね。皆来ているよ」
光の声で後ろを振り返ると、輝かしい笑顔を浮かべた光の姿が。燕尾服が似合っていて凄く格好良い!光の後ろには、大勢の女性に囲まれた4人の姿が。・・・あの女性達、柄にもない事してるの?まぁ、それにしても、光よく逃げてこれたよね。
うんうんと頷いていると、こちらに気づいた4人が女性を振り払ってきた。うん、振り払ってだよ。まぁ、女性達は私を見たら、物凄く顔がニマニマしているんだけどね。後で、詰め寄られるんだろうなぁ。皆さん、知り合いだし。
それは、兎も角。近づいてくる乾の顔が怖い!いや、他の人も怖いんだよ!その中でもだよ!多分あの距離で心を読んでいるよね!
慌てて、後ずさりしたら、両肩を掴まれて止まられた。物凄い笑顔の月兄と雪。・・・何してんの?何?どっちの味方なの?
「離せ」
「「拒否する」」
「何故だ!?」
「「「「紫苑?」」」」
「いっやぁ~!ごめんなさい!!」
月兄と雪の拘束から逃れようと抵抗したけど、拒否された!酷いよね!!そして、聞こえてくる死刑宣告の声。物凄く良い声なんだけど!いや、そんなこと言ってる場合じゃないよね!兎も角!!だれかぁ~!ここから助けてぇ。
「紫苑、久しぶりだな」
「はい、飛鳥。お久しぶりです」
「紫苑、それより聞きたいことがあるんだが」
「何でしょうか?悠輔?」
「それ、誰?」
「誰って、誰のことですか?憐?」
「だから、横に立っている人だよ?」
「光?横に立っているのって・・・・」
飛鳥が綺麗に微笑み。しゃがんで目を合わせた悠輔は、一切笑ってない笑顔で。憐は、私の髪の毛を弄っていて。光は、私に抱きつく力を強くしてくる。・・・・乾、笑ってないで助けて・はい、すいません。怖い目で、睨まないで。
兎も角、横に居る人だよね。月兄と雪が、どうしたって言うの?
「・・ですから、貴女と、どういう、関係、かと、聞いてるんです」
乾が、一語一句切って、丁寧に冷たい声で言ってくる。お願いだから、耳元で喋らないで!腰が砕けそう!!
「「あははっ!それぐらいないとねぇ!」」
「「「「「!?」」」」」
急に響いた笑い声に、皆が驚く。勿論、私もね。あっ、雪。支えてくれてありがとう。
「初めまして、水之宮月光。紫苑の叔父」
「同じく、姉さんの弟。新雪です」
「それにしては、似ていないなぁ」
にこやかに挨拶した二人に、苛立ちを抑えず悠輔が言う。そうだよねぇ、私とお母様は瓜二つだもん。
「「そう言えば、忘れてた」」
月兄と雪は、今思い出した様に手を打った。下を向き、フィンガースナップをし、顔を上げると・・・・
「「「「「っ!!??」」」」」
顔を見た5人が、息を呑んだ。そこにいたのは、私と瓜二つな二人の男性。中性的な顔立ちの月兄と、どちらかと言うと男性的だけど女性のような顔立ちの雪。少なくとも、今さっきまでいた、何処と無く似ている人達で無くなったのだから、びっくりするよね。
「これでどうかな?」
「疑って申し訳ございません」
月兄の言葉に、憐の謝罪の言葉とともに皆が頭を下げる。それを見て、笑いを深める月兄と雪。周りから見れば、ただ単なるドS「「うるさいよ」」・・・勝手に人の気持ち読むのやめてもらっていいかな?
「それにしても、君たちは本当にピッタリだ」
「何がですか?」
「その独占欲の強さだよ」
「「「「「???」」」」」
飛鳥の問いに答えた、月兄の言葉に、皆の頭の上にクエスチョンマークが飛び交う。
私は、月兄を殴ろうとしたら、雪に肩を抑えられて止められてる。いやぁね、このクズが面白がるから悪いんだよ。私とは、瓜二つ何だから、性格そんな変わんねぇじゃねぇか!
「その人ね、人を信じていないんだ。だからね、物凄い独占欲があれば、信じられるかと思ってね♪けど、神の独占欲は強くてね。君たち5人でやっと、姉さんとおなっ!!・・ケホ!」
「雪!五月蝿い!!」
「それに、お転婆だから。止められる人がいるんだよ。」
雪が巫山戯た事をぬかしやがったのから、思いっきり肘鉄砲を食わせたら、少し咳き込んだだけで、復活しやがった。月兄は、それを見て微笑んで居るし。腹立つ!
「まぁ、何かあったら、来てくれ。川之宮・水之宮には、顔パスで入れるみたいだしね」
「良かったね!周りから見れば、外堀を埋められたみたいだけど。(姉さんがどんだけ)大切にされている事がわかるでしょ?」
「「「「「・・・・・宜しくお願いします!」」」」」
???・・・意味分からない。結局、どういう事になったんだ。・・・色んな人から、生温かい目で見られてる気がする。・・・あっ!青達!相変わらず綺麗だね!何で、貴方達も同じ目なの!ねぇ、どうして!?
ふと、会場の空気が一変した。私達の方を生ぬるい目で見ていた色家が雰囲気を変え、入り口を見据える。川之宮のメイドさんが、お客様達を入り口から遠ざけ始めた。いや、その人達は私達の正体を知っているでしょう?・・・あぁ。私からの影響を少なくするのね。成る程。
お母様達が私達の方を見てきて、私はそれに首を振った。多分、私が色々と覗く方が楽だしね。
はぁ、と溜息を吐き、一歩前に踏み出すと、皆の表情が気になり後ろを振り返る。予想通り月兄と雪は、哀れな表情を、あれに向かって浮かべている。憐達は・・・何か柔らかな笑みを浮かべている。どうして?
「貴女なら絶対に、帰ってくるでしょう?」
「・・・信頼してくれてありがとうね!」
乾の言葉に納得し、私はあれに向かって歩き出した。この、大広間には結界が張られている為、あれはこの中には、入れないはず。と言う事は、丁度、玄関と大広間の中間にある、廊下に居るはず。・・・いや、廊下というより、檻というべきかな。
私が、あれの所に歩きだすと、どんどん人の気配が無くなっていった。そして、どんどん空気が凍っていくのだ。視線を下げると、銀に変化した髪の毛。ふふっ。自分でも気づかないほどに、感情が高ぶっているみたい。
そして檻にたどり着いた。
さぁ、始めましょう!楽しい楽しいお遊戯を!!
次回は、紫苑にとっては楽しい、(本人曰く)お遊びの時間です!




