*覚悟*
「お前ら、明日は色んな覚悟をした方が良いぞ」
紫苑と龍と朱が食堂から出ていき、虎がそう切り出した。
「紫苑のお母さん、社交界の花。絶世の美女に会う覚悟か?」
「いや、女王と女帝とだろう?」
飛鳥と悠輔が、首を傾げながら聞き返す。すると、勝亀が首を振りながら肩を竦める。
「それもありますけど。一番の問題は、紫苑様も恰好と言う事ですよ」
「紫苑様は、目立つのが面倒だから、普通にしているだけで。夜会とかは、化粧までするからな」
「その、色気とかその他もろもろに耐えられるかという問題ですよ」
「そこまで?」
光が恐る恐る、聞く。化粧していなくても、男が狙っているのに、化粧なんてしてしまったら終わりだろうと、思ったからである。
「絶世の美女も男に付きまとわれたからな。その娘の紫苑様も、解放したら凄いからな」
「性別なんて関係なしですし」
その言葉を聞いた瞬間、飛鳥達の顔が引き攣る。それはそうだろう。愛しい人が、性別関係無しに言い寄られる姿なんて、見たくないし、聞きたくもない。
「紫苑様は、スタイルが良いからな」
「理性を無くして、襲わないでくださいね」
「「「「「うるさい!」」」」」
「「ははは!」」
男同士、仲が良いのである。
次は、誕生日パーティーの日の話です




