現状説明
「賢い人間も大変だな。相手の感情が手に取るようにわかるとか。そこは、一聖さん似か」
白が、溜息を吐きながら答える。想像よりも疲れてるね。でも、肘をついて喋りだしたから、少しはマシになったかな?
「さて、緊急事態の説明だが。・・残念な事だが、頭のネジ抜けた、考えなしの馬鹿が喧嘩売ってきやがった。それ曰く、彗星高校の理事長はそれの親族らしい」
・・・黒がキレて崩れた口調による暴言も含め、幻聴が聞こえたよ。黒の暴言は置いといておくとして、ここの理事長が、川之宮と水之宮じゃないと。・・・幻聴だよね!青と朱、幻聴だよね!
「残念ながら事実「嘘だと言ってよ!」・・事実です」
青に否定されたから、縋るように朱の方を見ると静かに首を振られた。・・・ははは、何か無性に笑いたくなるよね。
「「「「無表情で、笑わないでください(笑うな)!」」」」
「んっ?何処が無表情?ほら、笑ってるでしょ?」
「「「「目が一切笑って無い!!」」」」
「あはは、ごめんね。ちょっと落ち着いた。それで、そのカス・・クズ・・常識知らずは分かったの?」
「・・正体は、分かって無いですね。候補が多すぎて」
皆、引いているけど気にしない!特に黒が元に戻ったのも気にしない!
「少なくとも、この学校の生徒である事は確かだぞ。学校の行事を決まったらすぐに、情報が流れているからな。鬼渇先生を含め、先生方は此方側の人間だから」
「そっか。見つけられてるかもしれないけど、公表できないんだね。人命のために」
「「「「・・・・・・・」」」」
誰に問いかけるわけでもなく、話す。その反応を見るとやっぱりか。本当に屑だね。
「はぁ・・・白、1週間後になると思うけど、何かあったら連絡して」
「「「「どうして、1週間後?」」」」
「委員会委員長が、生徒会のメンバーに会ってたら怪しむでしょ!」
「「「「あっ!」」」」
「そう言う所は本当に似ているよね。・・・唯でさえ私は、『出自が分からない常識知らず』と思われているのに」
幾ら人が少なくても、余り教室に行っていない生徒が、仲良くしていたらおかしいし。私の正確な情報が流れていない事も、怪しいし
「・・・・俺らは、従兄姉なのにか?しかも、貴方様は皇族でもあり、御三家の人間でもあるのに」
「・・・事実として、認めたくないんじゃない?未だに私は、学年最下位と思われているし」
「えっ!?紫苑は学年主席だよね!」
空気が暗くなった場に、明るい声が響く。向日葵色の髪が、光に反射してまぶしいよ。一種の才能だよね、こういうのは。それにしても、
「光、どうしてここに?」
「どうしてって、紫苑がここに居ると聞いたから。憐とかは少ししたらくるんじゃないかな。って、それどころじゃないよ!!紫苑が最下位ってどういうことですか!?勝亀先輩!」
「はぁ?俺?・・いや、俺も今初めて聞いたんだが!と言う訳で、洗いざらい吐けよ。紫苑様?」
物凄い剣幕で怒る光に、同じ様に怒る黒。特に黒はキレてるね。口調が変わってるし。誰かたすけて・・くれそうにないね。皆、同じ様にキレまくってる。もしかしたら、この隙に逃げれるかも・・・・
「『逃げれる』と思って逃げようとしたら駄目ですよ」
その言葉とともに、後ろから腕を回される。お願いだから、耳元で囁くのは止めて欲しい。・・って、そうじゃないよね。勝手に心を読んでるし。
「乾先ぱ「乾です」・・・乾は、どうしてここに?」
「どうしてって、勿論紫苑に会うためですよ。それとも、まさか他に理由があると、思いますか?」
「お、お、思わないです!なので離れて下さい!」
お願いだから、そんな良い声で囁くのは止めて!
「楽しいのは分かるけど、紫苑であんまり遊んじゃだめだよ!」
「まぁ、反応が面白いが」
「・・・お前ら、ドSだろ」
「「悠輔!お前が言うな!!」」
「「遊んでませんよ!」」
仲良く喧嘩しながら近づいてくる声。う~ん、反応した方がいいのかな?
「・・・・兎も角、一旦座りましょうか」
「・・・・・。もうちょっと早く、その言葉が欲しかった!」
青が、微笑みながら助け船を出してくれる。けど、もうちょっと早く欲しかった。
「いえ、仲がよろしかったので、邪魔をするのは野暮だと思いまして」
「いいもん!黒達に嫉妬されても、助けないもん!」
「「それは、助けてください!」」「「何で、俺らを出す!」」
「反論は?」
「「「「・・・・・無いです」」」」
はは!私に口喧嘩で勝てるはずがないじゃないか!
「えっと、憐に飛鳥に悠輔に乾に光。お久しぶりです!」
「「「「久しぶり」」」」
「それで、どうしてここに居ると分かったの?」
「金山君と紫華原君が喋ってたけど?」
「それで、赤鳥さんと水原さんが広がらないように、口止めしていましたよ」
「「「「「はっ!?」」」」」
金と紫!詰めが甘い!そういう所は隠れてやれよ!いくら、憐と乾の穏やかな口調の二人、と言っても破壊力がありすぎる!
「他にも、喋ってる奴らが居たけど、黙らせたぞ」
「ちょっとばかり、怖い思いしてもらったけどな」
飛鳥と悠輔?何をしたの!?
「あっ!そうそう」
笑いながら聞いていた朱が、急に真顔になった。何か恐ろしい発言しそうで怖い。
「明日に誕生日パーティーがあるんですけど、参加しません?」
「「「「「それは、参加しても大丈夫なの?」」ですか?」なのか?」」
「真紅大叔父様と、一聖様と晴菜様です」
「えっ!?」
明日は、二十一日だから真紅叔父様は分かるけど。お父様とお母様って・・・・五日と・・・九日・・・?って
「忘れてたぁ!」
「その時期は、一聖さん達は日本に居なかったから、仕方が無いと言えば仕方が無い」
「白ぅ!そういう問題じゃないんだよ!」
「それでですね、晴菜様が『一度はお会いしたい』と」
「まぁ、真紅大叔父さんの仕事関係者とか来ていますので、目立たないと言えば、目立たないですよ」
「と言うか来てくださいね」
「青ぃ!それって、強制だよね!」
遠回しに『来ないって言うはずありませんよね?』って言っているよね!無言の圧力が怖いよ!
「「「「「勿論、伺わせていただきます!」」」」」
決めるのはやいね!
「じゃあ、紫苑様!」
「青?」
「衣装合わせです!」
「了解!」
「じゃあ、また明日ね」
手をヒラヒラさせながら別れを告げる。ねぇ、青と朱。その恰好は、連行されているみたいに見えるから止めようか!周りの視線が怖い!
次は、男性陣の会話




