逆鱗に触れた少女
ついに、本性の一面が出てきます。
今日は、全員揃ってご飯です。将太お祖父様と麗衣お祖母様、お父様とお母様。それと、光三郎お祖父様と蘭お祖母様と私を合わせた七人です。それにしても水之宮当主が家に居なくていいのでしょうか。まぁ、この世には便利な言葉があります。『気にしたら負け』うん。便利ですね。
「今日は何があったの?しおちゃん」
「大丈夫?紫苑?何て変な渾名で呼ぶの!あなた!」
変な渾名で呼ばないで欲しいですね、光三郎お祖父様。蘭お祖母様、私は大丈夫です。
「今日は、先生の紹介をして、生徒会に入れられました」
「生徒会?じゃあ、顧問は、鬼渇か!」
「無駄に怒鳴るな!」
将太お祖父様が、半分怒鳴りながら聞いてきます。少し怒っている麗衣お祖母様、怖いです。
「はい。顧問は鬼渇先生です」
「父さんはおいといて、それはそうと、何か言われなかった?紫苑?」
「いえ、何も言われていません」
「じゃあ、なにもされなかったの?」
「なにもされていません」
急に話を変えたお母様とお父様の問いに笑顔で返します。すると、お父様は、お祖父様2人を見ます。
「明日ですね。お義父さん、父さん?」
「うん、そうだね。一聖君、将太?」
「あぁ。一聖、光三郎」
この人達何、言っているのだろう。
「あなたは、もう寝なさい」
私を遠ざけようとするお母様の言葉を素直に聞き、私は、寝ます。
今日も1番乗りです。誰かが来るまで寝ときましょう・・・
パコーン。
「痛い!」
うぅーデジャヴです。案の定、目の前には、教科書を持った神林さんが居ました。今日は、見知らぬ男の子も居ます。
「今すぐ、立ちなさい」
神林さんにいわれ、しぶしぶ立ちます。すると、男の子が私の髪をつかみ、思いっ切り後ろになげます。いつもならば体制を立て直すのですが、そうすると逆上しそうですもの。
「キャッ!」
壁に思いっ切り頭をぶつけて、悲鳴を上げました。後頭部から血が出ている感じがします。あまりにも痛いので、しゃがみ込んだままでいると、いろんな声が聞こえます。
「自惚れるんじゃないわよ!この平民!!」
高笑いする神林さん。
「紫苑様!」
「キャァァ!紫苑様!」
「あぁ、変わりとして飛び出せばよかった」
泣き、怒り、後悔が混ざった声の令息と令嬢の人達。
「川之宮さん?大丈夫?」
「紫苑だいじょう・・君は、生徒会の子かい?」
「はい。そうですが?」
私の横でしゃがん私を心配してくれる藍原君と、なにか聞くお父様。んっ?お父様!バッと顔を上げるとそこには、藍原君と笑顔のお父様が居ました。その後ろには、
「おい鬼渇これは、一体どういう事だ?紫苑傷付かないって言っていただろう?なぁ鬼渇。これがどういう事が説明してもらおうか」
「ぎゃあ、光・・三郎。首が・・・閉まる。将太、助けてくれ!」
「すまないが、そうなった光三郎は、俺では止められない。諦めてくれ」
鬼渇先生の胸倉を掴み、いつもと違う口調で怒る光三郎お祖父様、助けを求める鬼渇先生、助けるのを諦めた将太お祖父様が居ました。
「なぜ、こちらに居らっしゃるのですか?」
頭を擦りながら聞きました。
「紫苑は嘘をつく時、笑うからね。でも、目が悲しそうな目をしているんだよ。だから、何か言われていると思って来たんだ。それに生徒会に用事あったし。それで、あれは、だれかな?」
「神林家現当主の孫娘です」
「ふう~ん」
黒い笑みを浮かべながら神林さんの元に行くお父様。怖いです。
「あの子は、川之宮なんだけどね?君は、川之宮の事なんだとおもっているのかな?」
「川之宮なんて、ここ数年でなりあがったくせに。様付けで呼ばないといけないなんて大変ね」
「あなた、紫苑様になんて事を」
「私の気持ちを勝手に分かったように言わないで!」
「紫苑様は、いつも私の事をきにかけてくれますし、紫苑様は、私達より上なので、とうぜんです」
「本人の前だからそう言わないといけないのよね。可愛そうに」
神林さんに人の気持ちを勝手に語られ、怒る、令嬢、令息の皆さんにまた、勝手に喋ります。私を怒らせましたね。覚悟してください。
「ふざけないで」
ピキン。私の地を這う様な低い声で空気が凍ります。その声を聴いた瞬間、神林さんと男の子と私を除いた全員が前列に逃げます。お父様、藍原君、お祖父様達までにげていますね。
「氷の女神が降臨した」
「ついに、出てきたか氷の女神」
あぁ言われたくなかった私の渾名。どうしてここでいうかな?
「あなたさっきから黙っていたら随分と言ってくれたわね。川之宮、水之宮がここ数年のなりあがり?ふざけんじゃないわよ!私達がなりあがりだったら、この国は、どうなる?!皇族が由緒正しくないって言いたいの?!」
「皇族は、由緒正しいに決まっているでしょう。なんでそのことがあんた達に関係あるのよ!それに、川之宮の令嬢は、花の名前のはずでしょう?」
「はぁ?ふざけんじゃないわよ。私達川之宮、水之宮は、継承権をもつ、由緒正しき皇族なのよ!つまり、私達は由緒ある家で、なりあがってきたのは、そっちなのよ。私の名前は、十五夜草という別名をもつ、れっきとした花の名前なの!」
「なによ。私は謝らないわよ!!」
「ふふふ。あはは」
目の前にいる人が馬鹿な事を言っている。私は、胸元にいれていた扇子を広げ、口元にあてて、笑う。この人はなにを言っているのだろう。謝る?それで済むはずがないじゃない。
「僕、保健室にいってきます」
「私もいきたい」
「わたしは、お手洗いに」
次々と皆さん姿を消します。何かあったのかしら?
「ねえねえ、あなた。謝ればすむそんな事で終わるわけ無いわよ。あなたの家は家宅捜索中よ」
「晶子様になんて事を」
怒った男の子が私掴もうとしてきますが、私は、男の子を足を引っかけて転ばします。お父様達が何か言っていますが自業自得ですよ。私は、目の前に居る人を見ます。とても怯えています。
「あなた達親子には、裏口入学と現当主の監禁とそして現当主の名をつかった詐欺など多数の容疑で、逮捕状がでていますよ」
「私は・・」
「私は知らない?ふふふ。そんなわけ無いのよ。あなたの裏口入学を許可した人がお金を持ってきたのは、あなたとあなたのお父様だと証言しているのよ。それに、あなたの家のお手伝いさんがね、当主を監禁しているのは、あなたとあなたのお父様だと言っています。ははは。あなたの味方は、誰もいない。だって、川之宮家と水之宮家の両当主とあなたのお祖父様は友人なのよ。その友人の孫を傷つけるはずがないじゃない。あなたの先にあるのは、破滅。今までした事を悔いればいいの。さぁ、これでよろしいかしら鬼渇校長先生?」
最後に鬼渇先生を見ながら言葉を終わります。持っていた扇子を胸元にいれ、違う扇子を出し、広げます。これは、香木の白檀で、できていて、この匂いを嗅げば少し落ち着きます。鬼渇先生は、嬉しそうにニコニコ笑っています。
「うん。助かったよ。この子達は、警察に任せて、みんなで生徒会室に行こうか。みんなと言っても、紫苑さんと光君だけだから他の子達は、委員会と、委員長をきめちゃってね。この二人は、生徒会だからね。決まったら帰っていいから、決まったら紙に書いて教卓に置いといて」
鬼渇先生は、それだけ言うと私と藍原君の背中を押し、私のお父様方と共に生徒会室にむかいます。
キレました ぶちっときました
氷の女神とは? 次話に書きます。
では May be good from now on




