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File97 数学は机上の空論か

数学者の方がいたら、またまた叱られそうなテーマである。でも、実物世界に数学を当てはめようとすると、無理が生じる、あるいは適当なところで辛抱する必要が出てくる。

まず、身近な例から。スーパーで1個100円のリンゴを2個買ったとしよう。数学(と言うよりこの程度なら算数かな)では、代金は2個×100円=200円となる。ところが、リンゴは一つとして同じものは存在しない。1個は100グラムちょうどだったかもしれないし、もう1個は98グラムだったかもしれない。

この場合、厳密には「=(イコール)」ではなく「≒(ニアリイコール)」が正解となる。でも、それくらいのことで198円に負けろと文句を言う人はいない。皆、その程度の違いは、誤差として許容している。だから、スーパーでの買い物は問題なく成立している。

くだらないと言われそうなので、今度はもう少し数学的な例。1辺が1センチの正方形の対角線の長さはと尋ねると、小学生でも√2と答えそうである。そこで、本当にそうなっているか実際に調べてみよう。紙の上に1辺が1センチの正方形を慎重に描いてみる。そして対角線を引いてその長さを測ってみると、確かに1.4ぐらいにはなっている。ただ、1.41か1.39かと言われると、もう普通の定規では判別できない。

では、もっと正確な測量装置を使って測ってみる。でも、せいぜい1.414くらいまでで、それより下は分からない。そもそも、√2自体が無理数(際限なく続く数字)なので、正確な長さを測ることは文字通り「無理」なのである。だから、実物世界では、1辺が1センチの正方形の対角線の長さはと聞かれると「不明」というのが正しい答えになる。

でも、それではお話にならないので、机上では「√」という記号を使って表すことになる。同じように、円周についても正確な長さは不明であるため、「π」という記号を使って表すことになる。まさに、机の上だけ、いや頭の中だけで描きうる架空の長さなのである。

こんなことを言い出すと、「1+1=2」だって怪しげである。数学では、この式の左辺と右辺を同値、つまり同じものとして扱う。しかし、現実には左辺は1に1を加えるという動作を表しており、右辺はその結果である答えを表している。だから厳密には、右と左は違った内容のモノである。これを正しく言い表すには「1+1⇒2」としなければならない。

このことは、この式を「2=1+1」と反対にしてみるとよくわかる。2は、必ずしも1+1にはならない。0.5+1.5かもしれないし3+(-1)かもしれない。右辺の答えは無限にある。でも、数学は移項と称して、この式を簡単にいじくってしまう。1=2-1、0=2-1-1、これらはすべて現実世界では違った意味を持つのだが、数学の世界では同じものということになる。

何だか割り切れない気分だが、細かいところはネグるということで満足しよう。

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