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File96 ネット依存症の恐怖

「小説家になろう」のアクセス件数を見ていていつも心配になることがある。時間ごとのアクセス件数表示を見ると、夜中の1~2時頃に毎日のようにアクセスがある。この人たちは夜寝ないでネットを見ているのであろうか。

最近、「ネット依存症」なる病気があるという話が新聞に出ていた。1日15時間、朝起きてから夜寝るまで、というか夜も眠らずにネットにふけるほど、のめり込んでしまうという。依存症の人いわく、「ネットにつながっていないと何か自分だけ取り残されたような感じがして不安だ」ということらしい。

確かに、ブログやツイッタ―によるチャットを見ていると文字通り秒単位で更新されてゆく。誰かがつぶやくとすぐに何人かが書き込みを入れてくるし、黙っていると自分だけが仲間から外されたような感覚に陥る。あるいは、自分のつぶやきに対して誰かが意見や反論を投げかけてきたら、言い返さないではいられないという人もいる。

このシリーズではさまざまな依存症について取り上げてきた。依存症は何も薬物に限ったものではない。ギャンブル依存症、買い物依存症、ゲーム依存症は言うに及ばず、ストーカーやイジメも依存症ではないかと考えられる。その多くに共通しているのが、脳内麻薬と呼ばれる天然の快感物質である。ドーパミンやセロトニンといった誰の頭の中にもあるごく普通の脳内物質が依存症の原因になりうる。

ただ、ブログやツイッタ―は、ゲームやギャンブルとは違い、それだけでは快感物質は分泌されないような気がする。ネットに書き込みをしたから頭がスーッとしたという感覚はあまりないと思う。ネット依存症の人は、むしろ自分だけ取り残されるという恐怖心あるいは自己主張しないと落ち着かないという自負心から、ネットにハマってしまっている。

最近、「エゴネット」なる新語を目にした。正確な意味は知らないが、直訳するとネットの利己的使用というような意味になる。つまり、自分という存在を、ネットを使って広く世の中にアピールしようとする行為を指していう言葉のようだ。自分がつぶやく。すると何人もの人から賞賛の言葉が返ってくる。それが嬉しくて、またつぶやく。その繰り返しである。

だんだん怖くなってきたので、自身が依存症に陥る前にこのお話は終わりにします。もし真夜中にこのお話を読んでいる人がいたら、ご自身がネット依存症に陥っていないか一度自己診断してみてください。

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