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File94 赤信号皆で渡るとやっぱり怖い

「赤信号皆で渡ると怖くない」が正しいのでは、と言われそうである。でも、赤信号は皆で渡ると、いや、皆で渡るからこそ怖いのである。検証してみよう。

まず考えられるのは、大勢で渡ると目立つので車の運転手もさすがに止まらざるを得ないであろうというもの。これは運転手の行動に期待した判断である。しかし、現実には運転手の視野は車の速度が速くなればなるほど狭くなるので、信号ばかりを見ている運転手の目には横断歩道上の人影が映っていないかもしれない。交通事故の大半が運転手の前方不注意で起きていることからしても、大勢で渡るから絶対安全ということにはならない。ましてや運転手が泥酔状態や居眠り状態なら、そもそも大勢で渡っているかどうかは関係がない。

次に考えられる理由は、大勢でルール破りをすればさすがに警官も見とがめることはできないであろうというもの。大きな交差点でしばしば見かける光景。信号が赤に変わっているにも関わらず、いつまでたってもゾロゾロと渡り続けている人に対して警官が笛を鳴らして警告をしている。本来ならこれは立派な道路交通法違反になるのだが、何十人という数になると、さすがの警官も全員を見とがめるわけにもゆかない。結局、渡った者の勝ちということになる。

ただ、これを突き詰めてゆくと「殺人も皆でやれば怖くない」という恐ろしい話になる。実際、つい最近、路上生活者を集団で暴行して死なせてしまうという痛ましい事件があった。1人なら絶対やらなかったであろうことも、大勢でやるとつい周囲の雰囲気にのまれて一緒になってやってしまう。でも、悪いものは悪い。大勢でやったから大目に見てもらえるほど、法律は甘くはできてはいない。

最後にもっとも説得性のあるのが群集心理。人は、大勢の人がやっていることに同調すると安心感を得られる。一方で、他人と違うことをするには相当の勇気がいる。「裸の王様」では、王様は実際には裸であるにもかかわらず、周囲の人が皆、王様の衣装が素晴らしいとほめたたえていると、誰もおかしいと言えなくなってまった。

赤信号も、皆が渡っていると、信号機が壊れているのではないか、あるいはこの交差点では何か渡ってもよい理由があるのではないか、止まっている自分がおかしいのではないかと疑いたくなる。でも、周囲の皆が間違っていたら、そして実際に車が突っ込んできたら、命を落とすことになるのはあなたかもしれない。

やはり赤信号は皆で渡るからこそ怖いのである。いや、それどころか最近では青信号を渡っていても暴走車が突っ込んで来ることさえある。信号の色に関係なく、自分の安全は自分で確認した方がよさそうだ。

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