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File59 運命は変えられるか

最近、暴走事故や通り魔事件で命を落とすといいう傷ましい事故や事件が相次いでいる。ああいうニュースを見ると、いつも思うのが、後1分早くあるいは1分遅く現場に差し掛かっていればあの人は死なずに済んだのにということである。たまたま何月何日の何時何分何秒に、その場に行き合わせたために命を落とした。そのわずか数秒前にそこを通り過ぎた人は何事もなく済んでいるのに、である。これはもう運命としか言いようがないのであろうか。

「ファイナル・デスティネーション(最終目的地)」というホラー映画では、航空機事故で奇跡的に生き残った何人かが、その後数週間のうちに次々と悲惨な事故で死んでゆくというストーリーが描かれた。要するに、この人たちは事故で死ぬ運命にあり、いくらそれを回避しようと努力しても、結局、最後は行き着くところに行くことになるということを言っている。

実際、真剣にタイムトラベルを研究している物理学者によると、事故を回避するために過去にタイムスリップしたとしても、過去を変えようとするとパラドックス(矛盾)が生じて、結局その人の存在自体が消滅するという。この手の話は、かの有名な映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」でも描かれており、ご存知の方も多いと思う。

さて、前置きが長くなったが、結論から言うと運命は変えられる。事故や事件に巻き込まれない最も簡単な方法は、生まれてから死ぬまで一歩も家から外へ出なければいいのである。家にいても事件や事故に巻き込まれることはあると反論する人がいるかもしれないが、少なくとも家の外で起きる事件や事故に巻き込まれることはないから、その確率はグンと低くなる。

実際、宝くじも買わなければ外れる心配もない、東大も受験しなければ落ちることはない、山も登らなければ遭難することもない。これらを逆さ読みにすると、宝くじに外れたのはそれを買ったあんたが悪い、東大に落ちたのは受験したあんたが悪い、遭難したのは山に登ったあんたが悪い、ということになる。馬鹿げているように思われるかもしれないが、これらはすべて人の選択により運命が変えられることを物語っている。

すべての物事の結果には必ず原因が存在する。そしてこの「原因→結果」という流れは逆回しができない。これを因果律という。運命が変えられないというのは、突き詰めれば「時間」の流れが一方通行であることを意味している。時間は過去から未来に向かって一様に流れており、タイムマシンでもない限り、前に戻ってやり直すことはできない。

事件や事故に遭った人たちにも、こうした因果律は当てはまる。酷なようだが、事件や事故に遭ったのは、その人の行動にも原因があったからということになる。法律上の責任問題(要するに誰が悪いのかということ)とは全く別次元の話であり、純粋に因果律だけを取ってみれば、間違いなく「その日、その時、その場所」に居合わせた人にも原因(繰り返すが責任ではない)はあった。もしその人が原因を回避していたら、当然のことながらその結果である事件や事故にも巻き込まれなかったはずである。

単純な例を示そう。あなたが車で走っていたら、赤信号を無視して突っ込んでくる車に遭遇した。悪いのは向こうだからと、あなたはそのままその車に向かって突っ込むだろうか。恐らくブレーキを踏んで事故の回避を図ろうとするであろう。その結果、事故が回避されれば、あなたは自らの努力で運命を変えたことになる。

今日の星占いを見て、「交通事故に注意」と書いてあったからといって会社や学校を休む人はいないであろう。これは、あなたがその星占いを心底からは信じていない証拠である。別の言い方をすれば、注意すれば事故は避けられる(運命は変えられる)と思っているからこそ、占いの内容にかかわらず毎日外出し、そして実際何事もなく帰宅している。やはり、運命はちょっとしたことで変えられるのである。


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