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File57 光の速度は本当に秒速30万キロか

ニュートリノが光より速く飛んだという実験結果は誤りであったと発表された。SFファンとしてはとても残念な結果に終わった。やはり光はこの世の最高速度で進むのであろうか。実は、これには極めて重要な条件が付いている。「真空中」という条件である。真空以外では、光の速度は秒速30万キロより遅くなる。身近な例はたくさんある。虫メガネで光を集めると焦点を結ぶ。水の中に光が入ると、屈折して水底が浅く見えたりもする。光がレンズや水の中を進むときにその速度が遅くなっている証拠である。こうした水やレンズのように、光の速度を遅くするモノを媒質という。実際、光の速度を自動車の速度くらいにまで遅くする媒質も開発されているというから驚きである。

さて、そうすると困ったことが起きる。宇宙観測である。宇宙観測は基本的にはすべて光によって行なわれている。可視光だけでなく、赤外線や紫外線、電波などいろいろな光が観測に使われている。1光年と言えば、通常は光が1年かかって進む距離と定義されるが、これは宇宙空間が完全無欠な真空ということが前提となる。

しかし、実際には宇宙空間には星やガス、ちりなどが満ち溢れている。それどころか最近では目に見えないダークマターがいっぱい宇宙空間の中にあるのではないかとも言われている。要するに宇宙空間は、全くの真空ではなく、水やレンズのような媒質に溢れている可能性があるのである。

その証拠の一つが、重力レンズ効果という現象で観測されている。遠方の銀河を観測する時、その手前に大きな重力をもつ何かが存在すると、ちょうど虫メガネで光が曲げられたように、銀河から来る光が曲げられてゆがんで見えることがある。そんな重力レンズが宇宙のあちらこちらにあるというから、極端な話、真っすぐ飛んできたはずの遠方銀河の光も、実際はヘビのようにグニャグニャと曲がりながら地球までたどりついたかもしれない。

あるいは、宇宙空間が未知の媒質によって満たされていれば、そもそも宇宙空間を飛んでくる光の速度が秒速30万キロでない可能性もある。ひょっとすると最近発見されたヒッグス粒子を空間から完全に取り除くことができれば、光は秒速30万キロより速く進むかもしれない。


(追記)

このお話に関し、専門家の方より光の速度はこの世の最高速度であり不変であるというご批判をいただいておりますので、筆者の考えをさらに追加しておきたいと思います。

確かに、光の速度がこの世の最高速度であり不変であるということは理論的にも証明されており、間違いのない事実です。ただ、本文でも書いている通り、それには重要な前提条件が付いており、「我々が今現在知っている物理学においては」ということです。

そもそもこのエッセイのタイトルは「不可思議情報の私的考察」とある通り、ひょっとすると我々の知らない物理学、より高度な知的生命体の知る物理学では、答えが違っているかもしれないということを言いたいだけです。

それは学問ではなくSFだと言われそうですが、その通りと答えざるを得ません。ただ、例外があるかもしれないということを一切排除して、盲目的に信ずることは、例えばキリスト教徒がバイブルは絶対であり、キリストの言葉は絶対だと言うのと同じではないかと思うのです。

少し横道にそれましたが、世の異端と言われる物理学者の中には、アインシュタインの相対性理論にすら疑問を持ち、新たな理論を探求している方もおられます。光がこの世の最高速度で進むという話は、光子に質量がなく、ヒッグス粒子も含め、空間中にある一切の粒子と相互作用しない(邪魔されない)ということが必要です。

光が秒速30万キロという測定結果は理論的に計算されたものではなく、われわれの住む現実世界における実験結果によるものであり、それを計測した装置もまたわれわれの知る物理学により作られたものであり、許容できる極微の誤差は認めるとしても、絶対的な信頼性はありません。

本文でも書いた通り、空間中からヒッグス粒子も含め一切の粒子とダークエネルギーと呼ばれる未知のエネルギーもすべて取り除いた状態で計測すれば(実際には不可能ですが)、光の速度は秒速30万キロではないのかもしれません。

また、もし光子に質量があることが判明すれば、たちまち光はこの世の最高速度でなくなるということも付言しておきます。


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