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File43 空中浮遊は可能か

マジックの世界でよく行なわれる出し物である。テーブルの上に横たわる美女が空中に浮き上がり、何も支えがないことを見せるためリングを通したりする。手品であるから当然何かタネがあるはずであり、これでは本当に浮き上がったことにならない。

では、本当に空中浮遊など可能なのであろうか。物理学的にはかなり難しいが、理論上だけであれば不可能なことではない。身近で簡単な例は、宇宙空間がある。国際宇宙ステーションの中では、宇宙飛行士は皆な無重力状態で浮いている。地上にいる人が浮かないのは、地球に引力があるためである。万有引力と言われるくらいだから、引力は万物に働く。地球の引力は、地上だけでなく宇宙ステーションや月にまで及んでいる。でも宇宙ステーションや月が地上に落ちてこないのは、それらが猛スピードで地球を回っており、その際に生じる遠心力と力が釣り合っているためである。ただ、この方法によって地上で空中浮遊するためには、宇宙ステーションより速いスピードで地球を回らなくてはならない。そんなことをすると大気との摩擦で燃えてしまうため、現実には不可能である。

本当の意味で空中浮遊するためには、もう少し手の込んだ方法が必要となる。少し難しい話になるが、物理学では、物体と物体の間に引力(重力)が働くには、力を伝える粒子が必要とされる。これをゲージ粒子といい、重力を伝えるゲージ粒子は重力子あるいはグラビトンと呼ばれている。要は、地球とあなたが目に見えないほどのごくごく小さなボールをキャッチボールのようにやり取りしているので、地球とあなたの間に重力が働いているというのである。とすれば、このボールをなくしてしまえば重力は働かなくなり空中浮遊が可能になると予想される。

残念ながらこれまでのところこの重力子は発見されていない。それで仮にこの重力子が存在しているとして、どうやってそれを消すことができるのか。同じく未発見の反重力子という粒子を使う方法が考えられる。これは、UFOが落ちずに空中に静止浮遊している際に使っているのではないかと推測されている物質である。反重力子は重力子と出会うと合体して消滅すると考えられている。重力子がなくなれば、われわれと地球の間に働いている重力が消えるので、自由に空中浮遊ができるようになるはずである。

ただ、今度は地球が回転していることによる遠心力を考慮しないと、浮遊して止まるどころか宇宙のかなたへ弾き飛ばされてしまうことになる。この調整がすこぶる難しいと考えられるため、結局ゆらゆらと空中に浮かんでお昼寝というわけにはゆかないようだ。



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