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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第2章 私立四葉野黒大場学園(しりつよつばのくろおばがくえん)
7/50

7.悪夢

前の話が結構シリアスになってしまいましたので、反省。

今回はドタバタギャグテイストにチャレンジ。

できるかな?


 村から外れた森の中。僕は草むらの陰に隠れていた。その向こうには追っ手の影。

声高に叫ぶ声。僕を捜しているのか。


「3騎、・・いや、5騎」


 ここで追っ手をまけば、村に帰ることが出来るかも知れない。

そうすれば、みんなの安否が確かめられる。

と、遠くで吠え声がした。


「あれは・・・・・ヤバい!軍用犬だ!」


 フェルゼンシュタイン伯爵の犬ども。

人間を掴まえ、喉頸をかみ切るという噂。

僕は必死で走り出す。気が付いたのか、犬どもの声が一段と高くなった。

倒れた大木をかいくぐり、藪をかき分ける。

でも、犬どもの声がどんどん大きくなってくる。


 くそ、逃げ切れないのか!?

でも、この茂みの向こうに、”門”があるはず。

そこまでもう少しだ。そこまで行けば、あっちの世界に逃げられる・・・・


「きゃあ!!」


 そこに立っていたのは、長い黒髪の若い女性。

大きな瞳をめいっぱい開いて、僕を見つめている。


「ゆ、佑衣さん!」


 どうして佑衣さんがここに?

しかも、何で白い下着姿なんだ!?


「あ、あたし、ラバ君のことが心配で・・・・」


 はあ?今、彼女はなんて言ったんだ?僕のことが心配?

いや、とにかく、今は逃げなきゃ!

後ろの犬の吠え声はどんどん大きくなっている。

その後ろ、追っ手達の声も聞こえる。

僕は彼女の手を取ると、走り出した。

ダメだ、犬の方が速い!これじゃあ、二人ともおしまいだ。


「佑衣さん、これ、もって逃げて!あっちに門がある!」


 僕は彼女に魔法道具の入った袋を投げる。


「僕が奴らを引き寄せる。その隙に門から逃げて!」


「ラバ、だめ!あなたを置いていけない!」


 彼女を置き去りにして、僕は門とは逆方向に走った。

あいつらが僕を見つけやすいように出来るだけ音を立てて。

いざとなったら、声だってあげてやる!

だから、佑衣さん、できるだけ逃げて。


 ガサガサッという音がした。

いきなりズボンの裾が何かに掴まえられた。

僕はつんのめるように倒れる。

獣の体臭が僕に覆い被さってくる。


「こいつら、くたばれ!」


 脚にかみついた奴を蹴飛ばし、かぶさってきた奴ははね飛ばす。

でも、立ち上がったところをさらに別の奴に襲われた。

そいつが僕ののど元に食らいついてくる。

必死になってそいつの牙からのがれようとする。


「ラバ・・・・ラバ!」


 遠くで佑衣さんの声。


(畜生!・・・・佑衣さん、逃げて、逃げてくれ!!)


喉に強烈な痛みが走った!そして、目の前が暗くなる・・・・・・


    ☆    ☆    ☆


 僕は目を覚ました。

ここは・・・・・・こっちの世界。あの家の、僕の部屋。

ほとんど荷物のない、がらんとした部屋だけど、誰にも追いかけられることのない、安全な部屋。


「ゆめ・・・・夢だったのか。でも、なんていう夢なんだ・・・・」


 全身が汗びっしょりになっていた。心臓が激しく鼓動している。


「こっちに逃げてきたときの恐怖の記憶なんだ・・・・」


 いや、少しずつ違う。まず、フェルゼンシュタインの犬の奴らには追いかけられなかった。

兵士どもだけだったから、逃げ切ることが出来た。

それに・・・・・佑衣さんがいるはずがない。

逃げきった後で、こっちの世界に来て出会っているのだから。


「しかも・・・・下着姿、ってのは、どういうことなんだ?」


 思い出すと・・・・・リアルな記憶。肌にピッタリと張り付いた薄い白の下着。

・・・え?ということは、僕は見ている?なぜだ?

なんか、記憶が混乱してるぞ。

夢の中で犬にかまれた首に手を当てる。痛みが走る!夢じゃない!


 僕はそっと首を触った。包帯の感触。首に怪我をしたのは事実のようだ。

でも、犬どもじゃない。あいつらなら、確実に相手の喉をかみ切る!

こんな、包帯なんかで済むはずがない。

これは、首の痛みから、夢で犬を登場させたと思った方がいいようだ。


 そうだ、昨日、こっちの世界へ逃げてきて、佑衣さんと魔来子さんに出会って、

そう、契約をして、ここに住み込むことになって、眠ったんだ。


 じゃ、今朝から思い出そう。今朝は、目覚めたら、目の前に魔来子さんが立っていたんだ。

でも、その魔来子さんは半分透明で、僕は腰が抜けるほど驚いたんだっけ・・・・・・。


 ♡    ♡    ♡


「ラバ様。これは立体映像ホログラムです。

ラバ様が目を覚ましましたら、再生するようにセットしてあります。

私と佑衣様は訓練室で早朝訓練を行っております。お着替えの後、お越し下さい」


 そう告げると、魔来子さんの姿は消えた。

すげー、やっぱり本物の魔法使いは違うなあ。

そう思いながら、僕は魔来子さんが用意してくれた服を着た。

黒いズボン、白いシャツに黒の蝶ネクタイ。

これが僕の制服だそうだ。

シンプルだけど動きやすい。悪くない。

僕は魔来子さんの言う、訓練室へ降りていった。


 意外にラバ君の夢が格好良くて、長話。


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