表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第1章 あっちの世界からきた男
6/50

6.両親

これでホントに1章完了。ご苦労様でした。

 一番楽しかったのは、セキュリティシステム考えてた時。(笑

端折ったけど、地下の非常用発電機とか燃料、酸素発生器、地下水貯水システム、免震減震装置。衛星通信システムとかもあるよ(笑


「ご両親でございますか?・・・・・

もちろんご活躍なされておりますが、こちらにはほとんど不在でございます」


 お父さんは世界を股にする、大経営者。簡単に言うと、大金持ち。

お母さんは国際政治家。

佑衣さんが生まれた直後から、お母さんも世界を動き回っているそうだ。

おかげで佑衣さんはビデオメールや写真でしか、二人を見たことがないらしい。


「親子なのに、会ったことがない・・・んですか?」


「はい、ほとんどないと思います。小さい頃から付いている私に、そのような記憶がないのですから」


 魔来子さんがこの家に潜り込んだ(原文のママ)のは、佑衣さんがまだ小さい頃。

身寄りがなかった魔来子さんには、住み込みのメイドというのは魅力的だったらしい。

そして、ちょっと前に生まれた佑衣さんの面倒を見る役になったのだそうだ。

子守りなんて簡単、簡単と嘗めていた彼女は、たちまち後悔することになったそうだ。

 佑衣さんは夜泣きが酷く、また極端に抱っこをせがむ赤ちゃんだったらしい。

寝入ったと思って抱っこから下ろそうとすると、すぐに起きて泣きわめかれたとか。


「内緒ですが、お漏らしも酷うございましたよ。何度と無く、メイド服に被害を被りました」


 それでも彼女は長年、根気よく佑衣さんの面倒を見た。

佑衣さんも魔来子さんのことを、「お母さん」と呼ぶようにさえなったらしい。


「でも、いつかは疑問に思いますよね。

私が本当のお母さんではないことや、本当の両親はちゃんといるのに、どうして会えないかってこと・・・」


 小さい頃はいつか会える、いい子にしていれば、きっといつか会いに来てくれる、

そう思って、佑衣さんは一生懸命にいい子になっていたらしい。

勉強でも運動でも一番。

積極的に学校行事に参加して、クラス委員長も務めるような優等生。

そしてビデオレターで、それを自慢げに報告して、「今度は、いつ会えますか?」と付け加えていたそうだ。


 でも待たされ過ぎた希望は怒りに変化する。

 ある日、佑衣さんは激しい癇癪を起こした。

両親が送ってきた誕生日プレゼントを破壊し、ゴミ箱に投げ捨てた。

おひな様の人形も、クリスマスのぬいぐるみも、玩具も、泣きながら、全部たたき壊したそうだ。

それは彼女なりの不満の吐き方。SOS信号。

 そして、それでも両親と会えなかった彼女は、絶望に陥った。


「もう学校にも行かないで、ずーっとぼんやりしていられました。何もする気がおきないと言って。

そんな、小学生が言う言葉ではありませんでしたわ。

このまま自殺するんじゃないかって、毎日見張っておりました」


 私立女学校だったのも幸いし、出席日数はごまかしが利いたそうだ。

優等生だった過去とお金の力も借りて、エスカレーター式に中学生になった佑衣さんは、

すっかり無関心、そしてやっかいごとには拳で答えるようになっていたらしい。


「私のやり方がまずかったのだとよく悩みました。

確かに小さい頃からサバイバル術や、格闘技、戦闘技術など教えていたのも事実でございますから」


 そ、それかあ。佑衣さんの動きがおそろしく素早いのも、

蹴りやパンチが急所を捕らえるのも、全部魔来子さんのせいなのかあ!


「煙草は教えておりません。飲酒は・・・私も少々、嗜みますので、その影響かも知れません」


 僕は窓の外を見た。

夕方が近くなって、少し赤みがかかった景色に変わってきていた。

あの公園では、両親に手をつながれた子供がブランコのように遊んでいる。

きっと目を輝かして、じゃれているのだろう。

悪戯をして、叱られても、嬉しそうな笑顔を浮かべているのだろう。

佑衣さんにはそんな記憶もない。

あるのは魔来子さんと二人だけの記憶。


 あっちの世界、”村”のことを思い出した。

あっちだって、もちろん、病気や怪我で亡くなる人がいる。戦いだってケンカだってある。

でも、子供だけのところは、村全体の子供として、みんなで面倒を見る。

その子は決してひとりぼっちになんてならない。

村中が家族で、仲間で、友達なんだ。


「素敵な村だと思いますわ」


・・・・村だった、かもしれません。


「佑衣さんには、仲間とか、友達とかはいないんですか」


「あまり、そのような話は最近は聞きません。中学生になってからは、まったく聞いておりません。

友達とかいれば、もう少し違うのかなあとも思いますけど」


「中学校ではどんな様子なんでしょうか」


「さあ、音声モニターは学校内では作動しないようにしておりまして。

他の子のプライバシー保護という理由です。

お嬢様もまったく学校のことはお話しにならないので・・・・」


 ぱっと魔来子さんは表情を輝かせた。


「そうだ、ラバ様、明日、学校へ佑衣様と一緒に行って、様子を見ていただけませんか?

私では目立ちすぎますし、なにより佑衣様が警戒しますので。

ラバ様ならではの良い方法、思いつきましたから」


 な、なんか悪い予感がする。

でも、魔来子さんには逆らえないんでしょうね。きっと、契約書に書いてあるんでしょうね。とほほ。

急にルンルンし始めた魔来子さんを見て、僕はため息をついた。


 そしてもう一つ、夕食の後、部屋に入った僕は、そこにおいてある小学生サイズの服にため息をついた。


「早く大きくなりたい・・・・・・」



 次から第2章に入ります。

書きたいこと、書いてる状態ですみません。

楽しんで書いてますので、一生懸命読んでください。(笑

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ