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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第6章 お城
35/50

35.黒の花嫁

 最初は普通に城の花嫁衣装としようとしてたのですが、なんかひねろうと思って。文金高島田の角隠しで走っていくイメージは笑えたのですが、いまいち。

次に思いついたのが、黒のウエディング。なんか魔来子さんのイメージにあうなあと思って採用しました。黒も礼服なので、悪くないぞっと。

長い足に黒のストッキング。いいなあ・・(笑)

「おはよ、ラバ。なんか眠そうね」


 ええ、そうなんですよ。佑衣さん。

結局、ベッドにはあげてくれた。

シーツは無し、佑衣さんの足下でだったら寝てよし、という条件だったけど、

意外に佑衣さん、寝相が悪かったんだ!

寝ている最中に、何回蹴られたことか・・・・

ああ、眠い。


「こちらにお召し替え願います」


 そう言いながら、召使いたちが衣装を持って入ってくる。

彼女たちに押し出されるように、僕は部屋を出た。

しばらくドアの外で待っていれば、思いもかけない佑衣さんの悲鳴。

慌てて部屋に飛び込むと、そこには黒いドレスの魔来子さん。


 全身をすっぽりと黒いドレスが覆っている。

手袋や靴、靴下まで黒。頭の上にも黒いベールがかかっている。


「な、何よ、これ・・・・葬式じゃないの?どういう意味?」


 佑衣さんは呆然としてる。

 あ・・・・そうか、佑衣さん。それはこっちとあっちの世界の違い。

あっちの世界では、黒の服は葬儀用なんですか。


「これは最高級の結婚衣装なんです。こっちでは」

 二人は僕の顔を見る。


「黒が・・・・・ウェディングドレスなの?」


「最高級なのでございますか?」

 そういうと、魔来子さんは生地を調べてる。


「そうですね。この手触り、最高級のシルクにも負けておりません。細やかな細工が入っております。ベテランの職人さんが丹念に作成したものですね」


「驚いた・・・・でも、そういわれれば、色以外はこっちのウェディングドレスと違いはなさそう」


 鏡の前で魔来子さんは踊ってみせる。

軽やかな彼女の動きに、しなやかに舞うドレス。


「まるで何もつけていないような軽やかさでございます。ちょっと胸が窮屈な以外は、サイズもピッタリですわ」


 動きを止めた魔来子さんは、僕たちを見る。

「これがウェディングドレスだということでしたら、ますます伯爵の真意を知らなければなりませんね」

 控えている召使いたちに言う。


「伯爵様はどちらにお見えでしょうか」


「えっと、今の時間ならば、大広間で朝議の真っ最中かと思いますが。伯爵様のご命令は、部屋で待たせろとのことで・・」

 僕たちはその声を聞くと、部屋を飛び出す。

魔来子さんは先頭で黒いドレスをはためかして駆けていく。


「こ、困ります!おやめ下さい!どうか、・・・」

 すっと佑衣さんが動くと、一瞬で相手の間合いにはいる。

のど元にナイフを突きつけている。


「こっちこそお願い。どうか、こっちに手を出さないで。できるかぎり、犠牲は少なくしたいの。お願い、みんな、離れていてちょうだい」

 そう言い放つと、すぐに僕たちに合流する。


「あれで、逃げてくれるといいけど・・・・」


「一応、警告はしたんだから、もし何かあってもしょうがないわよ・・ラバ、そろそろ兵士達がくるわよ。用意はいい?」

 僕は肯く。


 廊下を走って、角を曲がる。その先は大広間のドア。

予想どおり、そこには兵士達が集まっている。

こっちを見つけて走ってくる兵士達。


「ラバ、時間稼ぎ、お願いね」


「佑衣さんこそ、頑張って!」

 僕は兵士達に向かって、魔法を起動。


「・・・・地の神よ、その力をもって、大地に裂け目を穿て・・・・」

 たちまち、床に巨大な亀裂!

立ち止まる兵士達の間を、佑衣さんが当て身を食らわせる。

その前に飛び出した魔来子さんも兵士達をなぎ倒していく。

倒れている兵士達を避けて、僕は二人に追いつく。


「幻影なんですけどね、結構効くでしょ」


「いいわよ、ラバ。少し見直したわ」


「では、いよいよ、入ります」


 魔来子さんが大広間のドアを開けた。

重々しい音と共に、開くドア。

テーブルに座った人々がこっちを向く。

その中には驚くオネクターブの顔もある。


「伯爵様はいずこでこざいましょう」

 見ればテーブルの一番端、一番立派な椅子は空っぽ。


「こ、こいつら・・だ、誰か、捕らえろ!」

 オネクターブの叫び声。パニクっているのだろう、オカマ言葉じゃない。

佑衣さんがテーブルの上に駆け上がる。

一瞬でオネクターブの喉にナイフを突きつける。


「ドアを閉めろ!」

 顔を引きつらせて、オネクターブが魔法の手を振る。

ドアが、ばたんと大きな音を立てて閉まる。ついでに閂までかかる。


「狼藉者が・・・・後でどうなるか、思い知るわよ」


「そんな先のことは知ったこっちゃないわ。伯爵はどこよ」


「さ、さあね・・・・知らないわよ」

 そういいながらも、オネクターブの瞳は、奥のドアを見ている。

やっぱり、わかりやすいなあ。お前・・・・


「魔来子さん、奥のドアの向こうのようです」

 僕がそういったときだった。


「・・・よい、三人を連れて入れ・・・・・」

 伯爵の声がした。


 僕たちはオネクターブを人質にして、奥の部屋に入る。

たくさんの本棚、本。テーブルの上にも、床の上にも本や資料。

テーブルの前には立派な椅子。

その椅子に座っている人物。伯爵だ。

僕たちが入っていっても、身動き一つしない。


 魔来子さんが伯爵のそばに寄る。

伯爵の前に跪き、顔を上げる。

大きく目を見開いた彼女は、叫び声をあげた。


「は・・・・伯爵様!?」



さて、次回の予告。


 第7章に突入!伯爵の因縁、魔来子の思い、様々な思惑がかけめぐり、

 お城は大混乱・・・・?

 次回: 第7章 姉 第36話 未練

 ああ、このサブタイトルでいくのでしょうか!

 刮目して待てっ!

 (サブタイトルは変更する可能性があります。ご容赦下さい)


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