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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第6章 お城
34/50

34.幽霊

 落ち着いたと、落ち着いてきたと思います。

無力感はさして違いないけど、何とかならないレベルでない。

♪時は親切な友達ってやつですね・・・・

「佑衣さん、・・・お願い」


「ダメ」

 いや、でも床は石張りだし、ここで寝るのは冷たすぎます・・・・


「佑衣さん、・・・お願いします。どうか、助けて・・・・」


「全っ然、ダメ」

 佑衣さんは自分だけ、シーツにくるまって、ベッドで横になってる。

ベッドもシーツも1枚だけというのが、問題なんです。

魔来子さんは隣のベッドで、もう寝息を立てているし・・・


「絶対に何もしませんから、変なことしたら、部屋から追い出してもいいです。ね、もし、風邪でも引いたら、佑衣さんを護ることが出来なくなるかも知れませんよ。お願いします。どうか、僕をベッドにあげてください」

 やっと佑衣さんはこっちを向いてくれた。


「ほんとにしない・・?」


「しません、絶対にしません。したら半殺しでいいです」


「しないのね・・?」

 そういいながら、佑衣さんは枕元に何か置く。

よく見れば、さっきの食事で使ったナイフ。

いつの間にパクってきたんですか?


「護身用と思ってね。愛用のナイフ、取られちゃったからこれでも役にたつかなって。いい?ラバ。もし、変なことしたら、このナイフがあんたの喉頸、かっきるからね。わかった?」

 わかりました。半殺しなんて甘いことじゃすまないってことですね。

絶対に、一切、なんにもしません。ホントです。


 ようやく背中合わせで僕たちはシーツにくるまった。

柔らかなベッドの感触が有り難い。


 でも、佑衣さん、その、つぶやき、

「つまんない男・・・」

ってどういう意味なんですか?


    ☆         ☆         ☆     


 ヤバイよ・・・・全然寝られない。

佑衣さんの温かい体温が背中越しに感じられる。

これだけ密着してるってのは、初めてなんじゃないですか?

体は疲れているのに、頭は冴えちゃってる。

寝返りしようとしても、佑衣さんの背中で動けない。

心臓だけがむやみに大きく鼓動してる。


 ふと、佑衣さんの手が動いているのに気がついた。

僕の手を探し出すと、ぎゅっと握ってくる。

・・・え、それって佑衣さん、どういうことですか?

もしかすると、そういう意味なんですか!?


「バカラバ、勘違いしないでよ。ドアのところ、気付いてない?」

 佑衣さんが小声で囁く。


 ドア・・・?

そっと見ると・・・青い光がドアの隙間から差し込んできてる。

揺れているように見えるのは、光の持ち主が動いているせいか。

そして、次の瞬間、僕は息を呑んだ。

ドアのところには、青い光と共に、伯爵が立っていた。

ドアは閉まったままなのに。


 伯爵はゆっくりと動きながら、ベッドを伺っている。

顔をのぞき込まれて、佑衣さんの手がギュッと強く握られる。

必死で寝たふりの佑衣さん。でも緊張が手から伝わってくる。

続けて僕。でもすぐに視線は離れていく。


 最後に魔来子さんのベッドをのぞき込むと・・・そこで動かなくなる。

魔来子さんの寝顔を伯爵はじっと見ている。

(ど、どういうつもりなんでしょうか?)

(あたしが知るわけ、ないじゃないの!)


 まるで永遠とも感じられるような時間の後、伯爵は動き始める。

ドアを通り抜けたのか、それともそこで消えたのかわからなかったけど、

青い光が消えると同時に伯爵の姿も消えていた。


 僕が上半身を起こすと、佑衣さんも一緒に起きる。


「いったいあれはなんだったんでしょうか?」

 佑衣さんは僕にぴったりと身を寄せている。


「わかんないわよ。わかるのは、魔来子さんにとにかくご執心ということ・・・」


「そのようでございますわね」

 そう言いながら、魔来子さんもむっくりと起きあがってきた。

わあ、びっくり。魔来子さんも寝たふりだったんですか!


「今夜、きっと今夜はなにかしらあるものと思いましたので、一人で寝させてくださいとお願いしましたが、まさかあのような形で現れるとは思ってもいませんでした。まるで、幽霊でございましたわね」


 幽霊・・・死んだ人の魂のことですよね・・・

「では、伯爵は死んでいるのですか!?」


「まさか・・・少なくとも、昼間はそんな様子ではありませんでした。もっと・・・なんでしょう・・・・生き霊とでも言いますか、何かを私に言いたかったように見えました。それはいったい何でございましょうか・・・・」


「魔来子さんに心当たりはないのですか?」

 しがみついたままの佑衣さんが問いかける。


「伯爵はここでは絶対権力者なんですよ。その彼が、このような形で会わなければならない理由がわかりません。困りましたけど、困っていてもしょうがないので、眠りましょう。お休みなさいませ」

 そういうと、魔来子さんはさっさと横になってしまった。


 僕と佑衣さんは顔を見合わせる。

何という神経の太さ・・・・・信じられない!

たった今まで、幽霊話で悩んでいた人とは思えない。

どっか、羨ましい。


「ラバ、あんた、いつまでくっついているつもりよ?」

 え、これって佑衣さんがしがみついてきたハズ・・・

ど、どうしてナイフなんか持っているんですか?


「半殺しがいい?それとも床がいい?床が良ければ、今からでも床で寝てちょうだいね」

 お、お願いです。そんな、殺生な・・・!?


さて、次回の予告。


 幽霊話に決着?!

 次回: 第6章 城 第35話 ・・・

 ああ、サブタイトル、まだ未定ですぅ!すみません。

 刮目して待てっ!

 (サブタイトルは変更・・・するさ!絶対に)




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