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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第6章 お城
30/50

30.お風呂

 あ・・とうとうやっちまった。

予告編とサブタイトル、変わりました。

「謁見」まで話が行きませんでした。ごめんなさい。


 まだ雪が残る白い頂を越え、竜達は東へ飛んでいく。

ゴツゴツとした岩山が続き、そして一段と高い山の上に大きな城はあった。

二匹の竜はそこへめがけて降りていく。


「佑衣さん、もうすぐ城に着くよ」


 佑衣さんが寝ぼけた声で返事をしている間に、

竜は翼を大きく広げて、着陸の態勢にはいる。

お城の塔の上、狭い屋上に竜は舞い降りる。

僕たちの竜のすぐ後に、魔来子さん達の竜も降りてきた。


 屋上にいた兵士達が慌てて駆け寄ってくる。

僕たちの姿を見ると、ギョッとして立ち止まる。

降り立った佑衣さんが欠伸とともに大きく背伸びをするだけで、

兵士達は後ずさりする。


「そうとう、私たちの噂は広がっているみたいですね」

 魔来子さんが囁いた。


 パヒューン。

不思議な音がして、男が空中から飛び出してきた。

ハゲ、デブ、魔法使いの服。あ、オネクターブじゃないか。


「な、なんですか?予定外の竜の訪問だなんて・・・ゲ!あ、あなた達なんですか!?なんですの?」


「降伏してやったのよ。歓迎しなさいよ」


「おお、魔法少女の佑衣。年増メイドの・・・・・・えっと?」

 だあっ!お約束か?


「魔来子でございます!メイドですが、年増は余計です!!」


「あうう・・・魔来子ね・・・で、ヤーコブまでそろって、降伏ですって?”竜”空中軍を壊滅させ、”獅子”地上軍一個中隊も遁走させたあなた達が降伏?訳が分かりません。勝ったあなた達がなぜに降伏?」

 オネクターブはオロオロしている。わかりやすいな、こいつ。


「その腐った頭を使って、一生懸命に考えなさいな。答えが出るなんて、期待してないけどね」

 佑衣さんがオネクターブを指さす。


「小娘!」

 オネクターブが手にした杖で佑衣さんを指す。こみかめに青筋が浮かび上がっている。


「思い出したわ。佑衣、あんたをこの手で殺してやる約束だったわね。今ここでその約束、果たしてあげる」


 パリッ!

オネクターブの杖が火花を放つ。魔気が杖に集まってくる。

 こいつ、本気だ。ヤバイ。

魔来子さんが佑衣さんの前に立ち、僕は防御魔法を用意する。

僕たちの周りで静電気がパチパチ音を立て、佑衣さんの髪を逆立たせる。

僕の右手に魔力を集中させたとき、一人の男が間に立っていた。


     ◇     ◇     ◇     


「伯爵様・・・・・」

 オネクターブが叫んだ。


 立っていたのはぼさぼさの白髪の長身の男。服装や装飾は立派だけど、やつれたような顔。目にも生気がない。

時折、狂ったような色が混じり込む。

なんていうんだっけ、これ。あっちの世界の映像機械・・・・


「受信状態が悪いBSみたい。もうすぐ、受信できませんって、案内されそう」


 そうそう、それ。佑衣さんのつぶやいてる、それが言いたかったんです。


「・・・おもしろいじゃないか、オネクターブ。降伏してきたというからには、丁寧に扱え。お客様を余のところへ案内しろ・・・」


「はっ!」

 映像は消えた。


「伯爵様の邪魔が入ったから、ここではこれ以上やらないけど、いい?あの約束はまだ有効だからね」

 佑衣さんのところに近づくと、杖で佑衣さんを指す。


「フン、減らず口だったらなんぼでもたたけるわよ。やることやってから言いなさい。大魔法使いなんでしょ!」


「この、この、このー!」

 と言いながらさらに近づいたオネクターブが鼻をひくひくと動かした。


「あんた・・・・臭いわよ。お風呂、入ってる?」

 佑衣さんは真っ赤になった。


「な、なんですって!?し、失礼な!!」


 あー、確かにこっちの世界に来てからはお風呂に入ってないなあ。

魔来子さんもクロエも急に自分の服の匂いをかぎ始める。


「一応、香水でごまかしているつもりなんですが、やはり臭いますかしら・・・」


「クロエはもう、数日間、お風呂入ってないけど、クロエの家、壊したの、あんた達じゃないのー!?ひっどーいーっ!!」

 ぎゃあぎゃあと三人が喚く。


「えーい、うるさいわ!お風呂に行っちゃいなさい!!」


 オネクターブが杖をぐるぐるっと回した。

兵士達がわらわらと飛び出してくると、僕たちを担ぎ上げ、場内に運び込む。


 ドブン、ザバン、バッシャン!

僕たちは巨大なお風呂に突っ込まれていた。

兵士達と入れ替わって、たくさんの女たちが現れて、着ている物を剥がされる。

目の前で佑衣さんがたちまち下着姿にされていく・・・


「い、いやーっ!アホラバ、こっち見るんじゃない!!」

 慌てて反対を見ると、そっちには既にあられもない姿になった魔来子さんが両手で身体を隠してる・・・


「ラバ様、どうか、目を伏せてくださいませ!!」


「あたしの裸なら見てもいいよ、ヤーコブ様!」

 く、クロエ!い、いや、見たいけど、見ちゃいけない!

 見たら、それこそ、佑衣さんがどういう反応を示すのか・・・・考えるだけでも恐ろしい。

必死で目を閉じた僕の手を佑衣さんが引っ張る。


「出てけ、どアホー!!」


 素っ裸で外に押し出された僕に、さっきまで着ていた衣類が投げつけられた。

そしてピシャリと閉まったドア。

 僕が悪いんじゃないのに・・・・でも、ちょっとだけ、嬉しかったりして・・・・


 目の前に現れた足を見上げると、腹の出っ張ったハゲ・・・・オネクターブ。


「あら、ヤーコブの裸、なかなか筋肉質で締まってるじゃないの。意外にあたし好みだわ。どう、男二人のお風呂ってのも、案外いいかも知れなくてよ?・・・・」


 か、勘弁してくれー!



さて、次回の予告。


 お城のお風呂で綺麗さっぱり。気分も一新して、いよいよ伯爵とご対め~ん!

 次回: 第6章 城 第31話 謁見

 刮目して待てっ!

 (サブタイトルは変更の可能性があります。ご了承下さい)


いけいけ、ラバ!どんどん、脱げ!!(笑)

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