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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第5章 クロエ
29/50

29.お城へ行こう!

 今回のお話し。

口先とハッタリと魔法でどこまで通じるのか。

これだけだと、どっかの政治と同じような気がする?

ハッタリで政治できるものなら、やってくださいよ。

      ・・・・

た、楽しんでください!(汗)

 先頭のクロエが持っているのは、太い枝に白い布を付けた旗。

その後ろに魔来子さんがついている。

さらにその後ろに佑衣さんと僕。

なんか、佑衣さんは言いたげなんだけど、僕が話しかけようとするとそっぽを向く。

なんなんだ?


「ね、魔来子様。この白い旗って何の意味なんですか?」


「あっちの世界ではね、これで降伏の合図なんですよ」


「へえー、ヤーコブ様、こっちでの降伏の合図って、何ですか?」


「あー・・・・・・何だろうねえ?」

 僕は頭をかく。


「ラバは何にも知らないんだから」

 佑衣さん、ねえ、本当に僕はなにかしましたか?

何を怒っているんですか?


    ○    ○    ○


 敵の部隊は村のあった場所にあることは、丘の上から見てわかっている。

そこに向かって四人はどんどん坂を下っていった。

昨日の激戦地には、まだくすぶっている残骸も、銃弾の薬莢も転がっていた。

焦げくさい臭い。かすみ網の破片。全部が戦いの余韻だ。


 そこでのっそりと現れたのが敵の兵士。

土を掘る鍬に似た道具を抱えている。

これから穴を掘って残骸を片づけるつもりなのか。


「おい、そこのお前!」

 立ち止まった佑衣さんが声をあげた。

声をかけられた兵士は辺りをキョロキョロ見回している。

まるで声をかけられたのが自分でないことを確認したいみたいだ。


「そこの、キョロキョロしてる、お前だ!」

 ふたたび声をあげる佑衣さん。


 その兵士は諦めたように、こっちを向く。

「お、オラに声をかけたのは、お前か?」


「他に誰がいる。耳が遠いのか、それとも頭が悪いのか?」

 佑衣さんがにらみつけている。


「あー、両方とも悪いだよ。ついでに、顔も悪いだよ」


「それは認める・・・じゃない!おのれ、私を魔法少女と知っての狼藉か!!」


「ま、魔法少女・・・・知ってる。でも、そんな小娘なのか?」


「見せてやる。今、ここで魔法少女の力、見せてやる!雷、落ちろ!!」


 何も起きない、起こるはずがない。

 ゴン!

思いっきり、足を踏まれた。魔来子さんが睨んでる。

 あ、ごめん。僕が悪いのか・・

 佑衣さんが急に言うから、タイミング、外しちゃったよ。

お願い、もう一回やってくれない?


「あー、ちょっと呪文間違えたから、もう一回ね。・・・・雷よ、落ちろ!」


 その声にあわせて僕はこっそり魔法を発動する。

巨大な雷が、背後の大木に落ちる。

轟音と、木の裂ける音に思わず兵士は身をすくめる。


「す、すげえな・・・やっぱ、魔法少女なんだな・・・で、その魔法少女がオラに何の用なんだ?」


「降伏してやるから、フェルゼンシュタインのお城に連れて行け!」


 あ、あの、佑衣さん。それって降伏した者の言い方とは違うような気がするんですけど・・・


「いいんですか?これで・・・」


「いいじゃありませんか。おもしろそうだから、これでやってみましょうよ」

 小声で魔来子さんが答える。くすくす笑いながら。

魔来子さんて、物事をおもしろいの物差しで決める人だったんだ。


 あ・・・もしかして、あの人形の件も、おもしろそうだってことでやったんですか!?


「今まで、そうやって決めてきたんですか?」


「あら、今頃お気づきになったんですの?おっほほほほほ」

 勝てない。魔来子さんには絶対に勝てない。


 佑衣さんの方も勝負がつきそうだった。

「どっちだ!連れて行くのか、行かないのか!?」


「じょ、上司に相談するから、待ってくれ・・」


「ダメだ、お前が決めろ!すぐ決めろ!今すぐ決断しろ!!」


「もう、わめかないでくれ・・わかったよ。言うとおりにするよ・・」

 なんと、佑衣さんの言うとおりになっていた。

竜が用意されて、それに載ってお城に行くことになりそうだ。


「いい、降伏してあげるんだから、丁寧に扱いなさい!粗相があったら、降伏しないわよ!わかった!?」


「わかった。わかったからおとなしく、こいつの背に載ってくれ。後は城までちゃんと案内するから」

 完全に腰が引けている相手。

 どうでもいいから、早く消えてくれ、そんな感じが伝わってくる。


 丁寧に僕と佑衣さん、クロエと魔来子さんがそれぞれ竜の背中にのせられる。

そして竜は一気に大空へ舞い上がった。

 目の下には、一面の森の緑。その中でどんどん遠ざかる茶色い村。

また必ずここに帰ってくるから、そう僕は誓う。


 強い風で佑衣さんの長い髪の毛が舞う。

甘い香りが僕の腕の中の佑衣さんから漂ってくる。

(いい匂いだな・・・・・)

佑衣さんが僕にもたれかかってくる。


「ラバ・・・ちょっと疲れた。休んでいい?」


「うん。佑衣さん頑張ってるから、お城に着くまで僕が護ってるよ」


「ダメよ、それじゃあ・・・お城についても、その後も、ちゃんと護ってよね」


「うん」


 なんか今、佑衣さん、気になるようなこと言ったような・・・気のせいかな・・?

佑衣さんは静かな寝息をたて始めた。

 あっちの竜の背中じゃあ、ぎゃあぎゃあ騒がしい。


「なんで、クロエがヤーコブ様と一緒ではないんですか?あっちがいい!」


「まあまあ、クロエ様は私がお嫌いですか?」


「そんなことないけど・・・・やっぱりヤーコブ様~!」


 ぼ、僕は・・・ヤーコブよりラバの方が慣れちゃったのかなあ。

不謹慎みたいだけど、ずっとこのまま佑衣さんを腕の中に置いておきたいな。

ごめんね、クロエ・・・







さて、次回の予告。


 フェルゼンシュタイン伯爵の城へ乗り込む一行。さあ、そこで見るものは!?

 次回: 第6章 城 第30話 謁見

 刮目して待てっ!

 (サブタイトルは変更の可能性があります。ご了承下さい)


予告編・・なんかおもしろいぞ。(笑)



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