23.”竜”を狩れ!”獅子”を蹴散らせ!
辛かった。前の話は辛かった。
もう、書くのを止めようかと思ったぐらい。
(欠番にするとか・・・それで、話、通じるのか?)
なんとか、クリアしたら、
やっと心の安寧が戻ってきた。
空を見上げれば、黒い雲霞のよう。
あれが”竜”空中軍だ。
「想定以上の大軍のようです」
「もしかすると、”竜”全軍かも知れませんね」
「あれと闘うのよ、ラバ、大丈夫?」
佑衣さんの問いに力強く頷く。もう大丈夫。やるしかない。
そんな僕を見て魔来子さんは微笑む。
「では、作戦どおりに。私は敵の背後から襲撃しますので、前方は心置きなくどうぞ」
「森の中を動き回ります。空き地では相手の方が有利になります」
「連絡は無線で。さ、やるわよ!」
三人が頷く。よし!
魔来子さんは荷物を背負うと、見つからないように地上すれすれを飛んでいった。
僕と佑衣さんは森の中で待ち構える。
「あの中に、あの中年ハゲデブ、いないかな?いたらいいのに」
「いませんよ。魔法力を見せつけたいから、単独行動してますよ」
僕は大型の銃を構える。グレネードランチャーというそうだ。
結構な威力があるらしい。
「これでやっつけます。佑衣さんは撃ち漏らしを頼みます」
「あんたが泣くとこ見てたら、腹が据わったわよ。お返ししてあげないとね」
ファインダーの中で敵が大きくなる。竜とそれに跨る兵士。
兜に鎧。腰には剣。手に持った槍や弓矢でいつでも攻撃できる態勢。
間違いない、東の国の正規兵ども。
耳元に魔来子さんの声がはいる。
『用意できました。相手はこちらに気がついていません。そちらのタイミングでどうぞ』
「いけ、ラバ!」
僕は引き金を引いた。
シュコーン。
ちょっと間の抜けたような感じで弾が飛び出していく。
”竜”軍の真ん中に飛び込んでいくと、次の瞬間、そこには火の玉があった。
燃え上がる竜たち、落ちていく兵士ども。吹っ飛ばされているやつらもいる。
たくさんの竜が混乱し、逃げ惑い、ぶつかり合っている。
黒い雲の中に大きな穴が開いている。
「す、すげえ・・・・」
「サーモバリック弾薬。爆風と高熱高圧でやっつけるの。魔来子さんが近づくと危ないから、さっさと全部撃っちゃいましょう」
残りの弾が空中で太陽と化す。
それだけで”竜”軍の大半が壊滅したかも知れない。
混乱しきっている相手に、今度は飛翔した魔来子さんが襲いかかる。
透明な糸の細かい網を相手に投げつける。
引っかかってもがけばもがくほど、絡まれて、地上に落っこちる。
「かすみ網。空飛ぶ奴を捕まえるには一番いいかもね」
あっちの世界は、平和だって聞いていたんですけど、
こんな魔法を持っているなんて、本当は恐ろしい世界じゃないですか?
逃げ出す奴らもいれば、攻撃を避けて、こっちに襲いかかってくる奴らもいる。
そんな連中には、僕の銃が火を噴く。
もう容赦はしない。
あの土まんじゅうを見たときから、僕の気持ちは決まっていた。
こいつらは報いを受けなければならない、
自分たちの行為の報復を受けなければならない、と。
佑衣さんも撃っている。彼女はゴム弾だけど、竜の羽根を引き裂くぐらいの威力はある。
当たり所が悪ければ、鎧甲の兵士だって気絶する。
△ △ △
敵の姿がほとんどなくなった頃だった。
『新手です。地上部隊のようです。南側から接近してきます』
魔来子さんが無線で伝えてくる。
「どんな奴らですか。何に載ってますか」
『この前のリザードが先導して、その後ろ、大型の四つ足の獣がいます』
”獅子”地上軍だ。
こんなに早く来るとは思っていなかった。
もしかすると、こっちに駐留していた部隊かもしれない。
たぶん、”竜”空中軍と同時に襲いかかる予定だったのだろう。
空の方が早めに着いてしまったということか。
そのタイムラグがこっちに有利に働いたみたいだ。
一緒にやってこられたら、少人数のこっちは不利だった。
こっちの世界では”竜”空中軍は無敵。
あっちの世界には、”飛行機”だとか、”へりこぷたー”という、空中兵力があるというけど、
こっちで空を飛ぶものは、魔法使いぐらいで他にないからだ。
一部では”気球”というものがあるとは聞いているけど、風任せに飛ぶだけでは戦えない。
でも、実は”獅子”地上軍の方が恐ろしい。
獅子そのものの巨大さ、そして獅子も鎧装甲を付けていて防御も強いこと。そしてその機動力。
生身の人間が戦って勝てるわけがない。
僕もそう思っていた。今までは。
でも、もう違う。
”竜”空中軍ですら、蹴散らした。しかもこっちは無傷。
佑衣さんや魔来子さんがいれば、無敵。
カガクという魔法が、こんなに強大だなんて思ってもいなかった。
僕の魔法が全然役に立っていないところが、情けないけど。
”獅子”共だって、恐るるに足らず!
「ラバ、一番怖いのは油断。いい、気を抜かないでよね!」
えー、ネタばらし。(笑
ここにでてくる現代魔法・・・じゃなくて、現代兵器は全部実在の物。
グレネードランチャー:XM25 IAWS(Individual Airburst Weapon System)
アメリカ陸軍で採用されているエアバースト・グレネードランチャー。
撃っている弾薬:25×40mm低速グレネード、サーモバリック弾。
佑衣さんが撃っているのは9mm機関拳銃。
1999年に自衛隊が採用した9mm口径の短機関銃。
ラバにはH&K MP5。
ドイツのヘッケラー&コッホ(H&K) 社の短機関銃(SMG)。
(引用:Wikipedia)
爆発の様子とか威力とかは想像ですけど。
うーん、やっぱりこっちの世界の方が、絶対に怖い。(笑




