21.「あたしが魔法少女よ!(ウソ)」
僕が拳を握りしめ、魔法力を集中したとき!
「だめだ、あたし、どうしようもなく、こいつ、ダメだ!」
佑衣さんが叫ぶと、彼女の持っていた銃が火を噴いた!
僕は呆気にとられていた。
「あたしは、こいつを生理的に受け付けない!!」
佑衣さんは声高に叫ぶ!
腰のところに当てた銃から連続発射!(後で教えてくれたけど「腰だめの姿勢」だって)
「その意見、異論ございません!」
魔来子さんの拳銃も発砲する。
弾丸を必死でよけているオネクターブ。
いや、防御魔法も効いているのだろう。
「ちょっと止めなさいよ。当たったら死んじゃうじゃないの、死んだら痛いでしょ!」
「お前なんか、百回でも千回でも死ねばいいのよ!この、中年ハゲ、脂性デブ!気色悪いド変態!!」
やべっ!
オネクターブはそんなに甘い奴じゃない!
僕は慌てて防御魔法を唱えた。
キン!
光の壁が周りを囲むのと同時に、その壁にグングニルの槍が突き刺さっていた。
その槍はパッと光になって消し飛ぶ。
「ほほお、ヤーコブ、やるようになったじゃないの。村を見捨てて逃げ出した、弱虫ヤーコブのくせに」
その言葉に、また我を忘れそうになる。
「それより、その女!」
指さす先には佑衣さん。魔来子さんが前に立って、防護している。
「その言葉といい、性格といい、不思議な飛び道具を使うことといい、なによりヤーコブが連れてきた少女・・・・・そうね、わかったわよ。あんたが・・・・・あの、伝説の魔法少女ね!」
は、はあ・・?
いや、魔法少女は実はこっちの年上の魔・・・・・グフッ、痛てぇ!
佑衣さんの肘鉄と魔来子さんの踵が僕を痛めつける。
「ふ、ふ、ふ、ばれちゃあしょうがないわね。さすが、大魔法使い。そうよ、あたしが魔法少女よ!恐れ入ったかぁ!!」
大威張りで自慢する佑衣さん。
嘘つきだ、佑衣さん、あんた、大嘘つきだあ!
(はったりと言ってください)
小声で魔来子さんが抗議。
「さっさと負けを認めて、そこにひれ伏しなさい!命ぐらいは助けてあげてもいいわよ。犬扱いぐらい、してあげる。1分たったら、縛り首だけどね!」
「おだまり、お黙り、お黙り-!!」
茹で蛸のように真っ赤になったオネクターブ。
「小娘、この、あたしに対して、えらそうな口をきいたことを絶対に後悔させてあげるわ。あんたは必ず、あたしの、この手で、殺してあげる」
そう言ったときだった。
柱時計の鐘の音のような、ぼーんという大きな音が響いた。
いきりたっていたオネクターブが急に落ち着く。
「残念ね。今、ここで決着付けてあげようと思ってたんだけど、邪魔が入ったわ。フェルゼンシュタイン伯爵のお呼び出しなの。すぐに行かないと、ご機嫌が悪くなるから、これで消えるけど、いいこと教えといてあげる。
これから、フェルゼンシュタイン伯爵の”竜”空中軍がやってくるわ。うまく逃げてよね。あたしがとどめを刺す前にやられちゃうなんて、許さないから」
それだけ言うと、風の音とともに姿が消えた。
「なによ、あいつ・・・・・」
そう佑衣さんがつぶやいたとき、消えたはずのオネクターブが舞い戻ってきた。
「ほーほほほほほほほっっ、あたしとしたことが!お名前、聞き忘れましたわ。ヤーコブはわかっていますから、その魔法少女と年増のおばさん、お名前教えてくださいませ!決して、呪いなんかかけませんから」
「魔法少女の名前は佑衣、年・・・・じゃない!そのメイドの魔来子さんだ!」
危ない、あぶない。危うく地雷を踏むところだった。
もう既に魔来子さんの銃口が僕を睨んでいる。
「おばさんでも許せませんが、年増は完全に犯罪です。あなたの方が、はるかに年上でございます!」
「おほほほほほほおほ、熟した中年の魅力と言ってちょうだい。腐る直前が一番おいしいってね。では、アディオス・アミーゴぉ!」
「腐れ中年デブハゲー!!」
佑衣さんの叫びは、オネクターブが起こした風の音にかき消されていった。
佑衣さんはヘタヘタッと座り込んだ。
「疲れた。あいつの相手は、すごく疲れる・・・・」
「ラバ様、名前教えてよかったのでしょうか。本当に呪いをかけられるとか・・・」
「本人がかけないって言っているので、大丈夫でしょう。そう言うところでは嘘はつかない奴なんです。自分の能力に絶対の自信があるので、嘘をつく必要なんかないと思っている奴なんです。」
僕は落ちている荷物を拾った。
「でも、”竜”空中軍がくるのは間違いないでしょう。それまでに村をこの目で確認したいのです。時間がないと思いますが、お願いします」
アクセス数減少傾向。見なきゃよかった。
ちょっと意欲なし。
気分が立ち直ってなかったら、ごめんなさい。