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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第4章 村(ザ ヴィレッジ)
20/50

20.オカマな魔法使い

おかしい、ほんとにこいつ、おかしい。

書きながら笑い転げている。

これが読者さんに伝わるといいなあ。



 やっぱり、こいつか!


 20mほど先の草地の上に、ふわりと浮かんでる、魔法使い。

そのケバいメーク、つるつるの頭は昔と変わらない。

襟の高い、黒のローブは魔法使いにお馴染みの衣装だけど、

はち切れんばかりに、パンパンに膨れあがってる。


「・・・・お前、そんなに太ってたか?」


「うるさいわねえ。村と違って、今はおいしい物にいっぱいかこまれてるから、ついつい、食べ過ぎちゃうのよねえ。魔法に頼っちゃうと、身体動かすことも少なくなって、どうしても、太り気味で、やっぱ、ダイエットしなきゃダメかしら・・・・・」


 太り気味じゃなくて、完全に肥満体だろ。

 自分に甘い認識も、そのオカマちっく言葉も昔と変わってない。

名前が・・・・・・えーっと、なんだっけ?


「ヤーコブ、あんた、あたしの名前、忘れてるでしょ!」


「ちょっと待て、今思い出すから、ちょっと待て」


 お、お、・・・・・・オネクターブ、オネクターブ・ゾラ!

長老の一番弟子で、魔法能力は優秀だったけど、いかんせん

その性格と、オカマ言葉にみんな辟易してったっけ。


「っほほっほほおお、そう、村で最優秀の魔法使い、オネクターブ様って、呼んでぇ!正確には、村があったころ、なんですけどねえ。ヤーコブ、この意味、わ・か・るぅ?」


 一気に頭に血が上った。さっきの奴らといい、こいつといい、村をいったいどうした・・・・


 ちょんちょん。

服を引っ張られた。振り向けば佑衣さん。


「ごめん、ラバ、なんかお話中みたいなんだけど・・・・」


「はい・・・」


「・・・・あたしも、魔来子さんも、あんたたちの会話が全然わかんないの。あんたたち、二人してわかんない言葉を叫んでるの。このままだと差し障りでそうだから、何とかならない?」


 え?言葉がわからない・・・?

僕とお二人の間は、翻訳魔法で通じてるはずだし・・・・あ、忘れてた。

僕の言葉を日本語に換えることで、会話が成立してる。

つまり、こっちの言葉は日本語オンリーの二人にはわからないんだ。


 僕はオネクターブにちょっと待てと合図した。


「ばかばかん、盛り上がってきたところなのにぃ!」


 そうもだえながらも、待ちの体勢。妙なところで律儀な奴。

僕は改めて、翻訳魔法を二人にかける。

オネクターブにしゃべってみろと合図。


「んもう、一回冷めちゃったら、盛り上げ直すの、大変じゃないのぉ!ヤーコブ、ちゃんと責任とってよねぇん」


 佑衣さんはこっちを見て、げえっという顔。

あ、それならちゃんと翻訳できてますね。


「なによ、あいつ。あんたの翻訳魔法って狂ってるんじゃないの?オカマにしか聞こえないわよ、この中年ハゲデブの言葉」


「翻訳魔法は正常かと思います。この魔法、単に言葉の翻訳にとどまらず、感情や性格、地域性まで反映させて訳しているようです。あの魔法使いはお嬢様のおっしゃるとおり、オカマのようです」


 魔来子さんが肯定してくれた。

 当の本人は怒り狂っている。


「こ、この、麗しきオネクターブ様を、ハゲだのデブだのというのは、許せませんよぉ!」


 オッケー、とりあえず全員の会話は成立したみたいだ。


「オカマというのは許します。もっと言ってちょうだい」


 佑衣さんの顔は、怒っているのか、泣いているのか、何とも言えない表情になっている。


「オカマの魔法使いだなんて・・・・・こっちってどういう世界なの?」


「で、オネクターブ、話を戻すぞ。お前、村について、何か知っているのか?」


「それよ、それ。そうこなくっちゃ。村はもうないわ。壊滅したのよ。いいえ、壊滅させたのよ、この、あたしが!」


「お、お前だって、村の出身者だろう!それが、何だって!?」


「あんな村なんかどうでもいいわよ!この、あたしを、追放したのよ!村一番の、優秀で、美目麗しく、才能豊かな、このあたし、を!!だから、あたしは、村を、壊滅、して、さしあげたの。当然の報いだと思いませんこと?ほーほほっほほおほほほおお、ごほっ」


 こいつが追放されたことは知っていた。

その理由までは知らなかった。関心もなかったし。

おかしな奴だったとは聞いていたけど、ここまで変な奴だったのか。

だから、追放されたのか。

そして、それを逆恨みして・・・・


「で、でも、長老はお前より強い!それに僕の父さんや母さんがいたはずだ。一人では叶わなくても、みんなでかかれば、お前になんか・・・・」


「あたしもそれぐらい、考えますってよぉ。だ・か・ら、先にフェルゼンシュタイン伯爵の東の軍勢に突入してもらったの。軍隊に攻め込まれてオタオタしてる皆さんは、簡単に逝ってもらいましたわぁ。るん。そうそう、今、あたくしは、フェルゼンシュタイン伯爵のところにご厄介になってますわん」


「お、お前、自分の仲間を燃やしたってのか!?」


「あらん、役立たずは口を割る前に葬り去るのは鉄則でしょ?もっとも仲間なんかじゃなくてよ。単なる消耗品。使い捨て。ってポイッ!」


 こいつのせいで、このアホのせいで村は、村はなくなってしまったのか?

みんなは本当にいなくなってしまったのか!?

もう、頭の中がパニックだ!

こいつを、殺してやる!みんなの、弔いを、今する!!



 オカマの魔法使いは、なかなかいないと思って作りました。

どっかにいたら、ごめんなさい。

笑っていただければ、最高です。


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