18.間抜け者の罠
第4章、突入~~~!(パチパチパチ)
な、なんと、あっちの世界編です。
よくぞ、ここまで続いてくれました。
よく頑張ってるぞ>作者
読者も少ないのに。(自虐の笑)
僕は倒れ込んでいた。もう、残された力はほとんどない。
・・・・って、荷物が重すぎる。門をくぐるときに全部持たされたせいだ。
後ろを振り向いた。門はまだ開いている。
ゆっくりとこれを閉める。ほんの少しだけ隙間を残して。
この隙間をまた広げて、向こう側に帰らなきゃいけない。
一緒に来た佑衣さんや魔来子さんと共に。
前を見る。彼女たちはもう歩き回って、辺りをうかがっている。
僕も周りを見る。霧の中。
想定どおりに周りは濃い霧に包まれていた。
霧の向こう、ようやく朝日が昇ろうとしていた。
「確認します。荷物は全部そろっていますね。武器、弾薬、医薬品。食料、飲料、医薬品、衣類、テント、寝袋・・・」
僕がやっとのことで持ち込んできた荷物を魔来子さんが確認する。
その魔来子さんはいつものメイド姿。
でも、白いエプロンはアラミド繊維のケブラー49というもので出来ているそうだ。
さらにその中には金属プレートを強化プラスティックで固めてあって、矢も通さないらしい。
佑衣さんの制服も同じ素材のものだ。
頭にはヘアバンド。でも透明なだけでヘルメットを被っている。
カガクという魔法で、僕の耳元の小さな機械から二人の会話が聞こえてくる。
『周りは特に異常なし。見張りがいる様子はないわ』
『門の存在が相手にばれてないのでしょうか。ここには必ず見張りがいると予測していたのですが』
僕もそう思っていた。相手に追われながら、この門に逃げ込んだのだから。
魔来子さんの予想では、この門の周りと、村には絶対に見張りが置いてあると言っていた。
取り逃がした僕が戻ってくるのは、その二つで間違いないからだ。
『とにかく注意しましょう。罠がある可能性が高いと思われます』
『了解』
でも、僕は罠どころではなくなっていた。
感じていた立ちくらみが段々酷くなって、めまいを起こしていた。
思わず膝をつく。僕の中に世界が押し寄せてきて、一気に弾けていく。
予測はしていたけど、こんなに酷い気分になるなんて・・・・
「ラバ、ラバ!どうしたの!?」
佑衣さんの声が酷く遠くに聞こえる。
魔来子さんが佑衣さんを押しとどめているのが見える。
後、あと、もう少しだから・・・もう少し待ってて。
力をコントロールするコツを思い出す。
力で身体全体を取り巻くようにしたら、光が僕を覆って・・・ほら、もう終わりだ。
「ラバ、・・・・・・本当に貴方なの?ラバ?」
僕は立ち上がると、顔にかかる髪の毛を手で払う。
「はい、僕はラバです。本当の姿はこれなんです。お嬢様」
そう言って、佑衣さんを見下ろす。佑衣さんは呆然と僕を見上げている。
そうなんですよ。佑衣さん。これが本来の姿。
身長175cmってとこですか。魔来子さんより少し高いぐらい。
長身細身。髪の毛はここんとこ切ってなかったので、結構長くなってる。
服だって小学生サイズは卒業。膝までの長い黒のローブ。高いカラー。
魔法使いの正式衣装。
「案外いい男ですね。ラバ様は。意外といっては失礼ですが」
「いやあ、魔来子さん。魔法力が十分にあるので、なんか自信も湧いてきますよ」
力を感じているせいか、どんな敵がやってきても一撃で倒せるような気がする。
自信満々。そう、まさしく、そのとおり!
おかげでなんだか、佑衣さんも大人しく見える・・・・
ゲシッ!
「ゆ、佑衣さん、な、何を!?」
佑衣さんの履いているSWATコンバットブーツが僕の脛を蹴った。
あまりの激痛に座り込む。
「フン、イケメンになったからちょっとは変わったかと思ったけど、全然変化ないじゃん。びっくりさせないでよね。いい、あんたがどうなろうと、ご主人様はあ・た・しだからね!」
わかってますよ。わかってますから・・・・・蹴る前に言ってくださいよ・・・・・・
☆ ☆ ☆
僕も持ってきた防弾ベストとヘルメットを着用する。
荷物を背負い込む。小学生サイズではきつかった荷物も、今の僕には軽いものだ。
その間に偵察に行っていた魔来子さんがふわりと着地する。
もうすっかり飛翔術をマスターしているようだ。
「やはり、何カ所かに罠が仕掛けてありました。一部は発見して逆に仕掛けておきましたけど、この調子だともっと隠されていそうです」
「でも見張りがいないところを見ると、罠だけ仕掛けて撤退したじゃないですか。敵がいないのならさっさと村へ行きましょう」
もうここには用はない。一刻も早く、僕は村へ向かいたかった。
「ラバ様、そう簡単ではないですよ。冷静に対応しましょう」
そういう魔来子さんの声を振り切るかのように、僕は一歩前に踏み出した。
「ぎゃあああ・・・・・・」
・・・・やっぱり魔来子さんの言うことをよく聞いておけば良かった。
ひっくり返った世界を見ながら、僕はそう呟いた。
『でしょう、ラバ様。これからはご注意下さいね。もうしばらくお待ち下さい。今、縄を切りに行きますから』
僕の足首にからみついた縄が、木の上の方まで僕を釣り上げていた。
そう、あっさり僕はワナに引っかかってしまったのだ。
ようやく地上に降ろしてもらった僕に、魔来子さんはさらに絶望的なお知らせ。
「これで、相手にもこちらの存在を知られたと思った方が良さそうです。罠に獲物がかかったという知らせがあったはずです。まもなく、敵がやってくるわけです」
すみません、すみません。
僕が油断したばっかりに、お二人にご迷惑をおかけます。
佑衣さん、そんな冷たい目で見ないでください!
「間抜け者の罠にひっかかるあんたって、ほんっとのバカね!」
ともあれ、本当にここまで来るとは。
お読みいただいた皆さんに深く感謝です。
これから、ラバ以上のお馬鹿キャラとか、三角関係キャラとか用意してます。
(書ききれるか自信はないですけど)
楽しみにしていて下さい。
(自分で自分にプレッシャーかけてどうする!?)