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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第3章 魔法力
17/50

17.前夜

実はこの話、書こうかどうか悩みました。

結局、書きました。その理由。


 魔法の世界(ラバの世界)に現代兵器を持ち込もうとしています。

剣と弓の世界に小火器と無反動砲を持っていったら、

弾切れしない限り圧勝ですよね。

そんな勝負の見えた話、おもろいか?魔法もそこそこやろ?

(いきなり”バルス”がでてこの世の終わりかあ?)

生かさぬよう殺さぬよう。

でも、どうしてそうするのかを、作っておかないと。

という、伏線張りの回みたいなもんです。


 僕は天井を見つめていた。

あばらは折られていないけど、ほっぺたが少し痛かった。

二人がそれぞれ両側のほっぺをつねることで勘弁してもらった。今は。


 いよいよ帰る、そう思うと、なんだか興奮して眠れない。

明日の朝は早起きしないといけないのに・・・


 静かにドアがノックされた。

僕の返事で入ってきたのは魔来子さん。いつものメイド服。


「お嬢様が寝付けないと言うことで、睡眠薬を処方いたしました。もしラバ様も同様でしたら、と思いまして」


 そう言って、薬と水の入ったコップを机に置く。


「それと・・・・・もしよろしければ、少々お話ししたいのですが・・・・」


 薄暗い照明の中、魔来子さんの顔は陰影が深い。

美人なだけに、こういう効果のもとでは怖いぐらいだ。


「お嬢様のことです。・・・・・明日、お連れして本当に良いのでしょうか」


「命の危険のことですか?」


「もちろんそれもございます。

もし、お嬢様が危険に曝されるようなことになりましたら、私は百人でも千人相手でも屠るつもりでございます。お嬢様に指一本触れさすつもりはございません。

たとえ、そのためにラバ様が犠牲になろうとも私の命がなくなろうと、お嬢様が大切でございます」

 魔来子さんは言い切る。


「魔来子さんの気持ちはわかっているつもりです」


「心配なのは、そういう事態に巻き込まれたときのお嬢様の心です。

私から見れば、年端の行かない子供でございます。

そんな子供が他人とはいえ血を流したり、絶命したりするような場所へ行くこと、

そのこと自体がお嬢様にどのような影響を与えるのか。

誤って殺めるようなことでもあれば、お嬢様の心にどのような傷を負わせることになるのか。

できることなら、今からでもこのミッションを無くしたい。私とラバ様の二人だけとしたいぐらいです」


「本当に、佑衣さんのことを心配しているのですね」


「はい。実際に私の子だと思っております。

その子が成長するためであれば、あえて苦労させるということもございましょう。

ですが、危険な目にはあわせたくないという親心でございます。

今までも我慢を教えられてきましたが、また今回も辛い我慢を強いられそうですわ」

 魔来子さんは微笑む。ちょっとやつれた感じがするのは気のせいだろうか。


「でも、ラバ様には感謝の気持ちで一杯でございます」

 え?・・・・てっきり、僕は恨まれているのだと思ってましたよ。

僕が現れなければ、こんなトラブルに巻き込まれてないのですから。


「ラバ様が来てから、お嬢様は変化なさいました。

今までは勉強にしても訓練にしても、その目的がわからないまま、単にやることが目的でしかなかったのです。

でも、ラバ様の目的を聞いてから、お嬢様は自分から打ち込むようになりました。

どこかに自分の存在意義というか、理由というか見つけられたのかも知れません」


「そうなんですか・・・・」


「ですから、ラバ様の世界に行きたいというお嬢様をお止めすることが出来ません。

そんなことをすれば、お嬢様の生きる目標が、また失われてしまいます。

後は、お嬢様を守り抜くこと。これをラバ様にもお願いしたいのです。

 ラバ様と私を比較してみますと、私の方が攻撃に向いているようです。

現代兵器に精通しておりますし、それに魔法の力を付け加えることが出来ます。

私が相手をしている間は、ラバ様はお嬢様をお守り下さい。

 何があっても攻撃より守り。守りがしっかりしておればこそ、私も安心して、攻撃が出来ます。

 どうか、どうか、命がけでお嬢様をお守り下さい。宜しくお願いします」

 いつの間にか、魔来子さんの声は涙ながらになっていた。


「佑衣さんのこと、愛していることがわかりますよ」


「お恥ずかしい・・・・こんなところ、お嬢様には見せられませんわ」

 恥ずかしそうに微笑む。


「こちらこそ、お二人には深く感謝しているのです。

どこから来たかわからないような奴の言い分を信用して僕や村を助けてくれるというのですから。

もしかすると、僕はお二人をだまそうとしているのかも知れませんよ?」

 僕の言葉を聞いて、魔来子さんは笑う。


「あら、一応、人を見る目は持っているつもりですし、ラバ様はそんな詐欺師にも見えませんわ。

あまりにもラバ様は純朴で、無警戒ですし、可愛らしいお間抜けってところですから・・・・」

 ま、間抜け・・・・・ホメ言葉にするにはちょっと・・・・ははは。


「魔来子さんの気持ちは分かりました。佑衣さんを守り抜く決意が固まりました」


「有り難うございます。宜しくお願いいたします」

 そう言って立ち去ろうとした魔来子さんが振り向く。


「そうそう、魔法と言えば、このようなことが出来るようになりました」

 そう言って両手を広げると、まるで羽のようにふわりと動かす。

魔来子さんを取り巻く青い光が強まると、彼女はすっと浮かび上がった。


「・・・・浮遊術だ!トップクラスの魔法使いの技です!」

 優雅に着地した魔来子さん。


「こういう技が不要ならいいのですけれど、全て、あっちにいってからのお話しです。

明日はよい日でありますことを。では、お休みなさいませ」


 彼女はドアを閉めて出ていった。

そう、全てはこれからなんだ。まだ何も手にしてない。

佑衣さんを守り、村を救い、三人無事にここへ戻ってくる。

僕はそう決意して、目を閉じた。



この回の目的。

1.ミッションの明確化。

2.佑衣及びラバの攻撃値を下げておき、ミッションを困難にしておく。

  その理由付け。

3.以上の説明を、魔来子の気持ちから説明する。

できたでしょうか?

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