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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第3章 魔法力
15/50

15.ひとりぼっち

♪ラァバは喜び庭駆け回り、佑ぅ衣はベッドで一人泣く。

歌になっちゃいました。


 僕の額に絆創膏をあてながら、魔来子さんは言う。


「少しはお嬢様のお気持ち、考えてくださいな。

最初、お嬢様は嫌がったはずです。トラブルを持ち込むなって。

それがどういう風の吹き回しか、やる気が少しでてきたようです。

願い事という言葉に惹かれた感じがしましたけど。

 ところが、今回の件で、自分が魔法少女になれないとわかってしまいました。

その気になっていたところに、拒否通知を受けたようなものです」

 そうですね。そのとおりです。


「ラバ様で例えましょうか。子供の時、家族旅行に行くつもりでワクワクしていたら、

急に親の都合で取りやめになった。どういうお気持ちになりますか?」

 経験ありますよ。怒りましたねえ。泣いて怒って、何かにあたってました。


「どうやって機嫌を直されました?」

 その時はお母さんが慰めてくれて、お父さんも次は行こうなって、言ってくれて・・・


「では、今の失意のお嬢様に、ラバ様は何か、声を掛けられましたか?

 優しい声の一つもありましたか?

 それを素直に受けるかどうかは別にして」


 ・・・・・いいえ。

僕は浮かれまくってました。魔来子さんがすごい魔法使いだって。

佑衣さんのこと、これぽっちも考えてませんでした。


・・・・そうか。彼女のこと、真っ先に考えるべきでした。

彼女の気持ちを思いやるだけの考えがありませんでした。


「やっと佑衣様の尻尾、わかったみたいですね」

 彼女にすまないという気持ちになってきました。

でも、どうやって謝ったら、機嫌を直してくれるんでしょうか。


「それぐらいは、ご自分で解決するように宿題としましょうか。

少しぐらいは自分で考えた言葉でないと、相手は納得してくれませんからね。

ヒントを一つだけ。どんなに不器用でも、心からの言葉なら、きっと相手の心に響きますよ。

それが優しい言葉なら、拒否はありませんよ」

 そう言って、魔来子さんは微笑んでくれた。


   ○        ○        ○       


 とは言われてもなあ・・・・。


 魔来子さんは後であがっていくと言って階下に残った。

僕は佑衣さんの部屋の前。ドアをノックする。

えっと、心からの声を・・・・


「佑衣さん、入るよ。さっきはごめん・・・ブッ!」


 ドアを開けた途端に、飛んできたのは枕。顔面直撃。

佑衣さん、固い枕が好みなんですね。


「お前なんかなあ・・・・どっか行っちゃえ。村でもあの世でも行けばいいのよ。

でも、魔来子は、魔来子さんは、連れてかないでよ!」


 佑衣さんは僕を睨みつけている。

その目が赤いのは泣いてたせいか?


「あの世には行かない。村には行くけど帰ってくるよ、必ず帰ってくるから。魔来子さんも僕も」


「適当なこと、言わないでよ!」

 佑衣さんは絶叫。ギュッと握った拳が震えている。


「都合が悪くなると、みんなそう言うの。父さまも母さまもそう。いつも、次は必ずって、いうの。

でも、その約束が守られたことなんか無かったわ。たったの一回も!」


 そ、それは・・・・・

僕は魔来子さんが話してくれた、佑衣さんの両親のことを思いだした。

待って、待って、待ち続けて、それでもこなかった、佑衣さんが子供の時の話。


「ラバ、お前だってそう。あっちの世界へ行ったら、どうなるかわかんないんでしょ?

剣に刺されたら痛くないの?槍で突かれたら、血が出るんじゃないの?

弓矢で射抜かれたら、死ぬんじゃないの?

 どうして、必ず帰ってくるなんて言えるのよ!!大嘘つき!」


 佑衣さんの目には大粒の涙。

 でも、佑衣さんの言うとおり、あっちの世界はこっちより危険なんだ。

佑衣さんは行かない方がいい。僕は佑衣さんにこっちに残っていて欲しい。


「二人が帰ってこなかったら、あたし、本当にひとりぼっち。

行ったきりだったら、あたし、どうしたらいいのよ!?

あたしを一人きりにして、あんた、嬉しいの!?」


 とうとう、佑衣さんは顔を覆って、泣き始めてしまった。

 佑衣さんの気持ちは分かる。

でも、やっぱり危ない目に佑衣さんをあわせる必要はない。

魔来子さんの魔法力と戦闘力があれば、

いや、僕ですら、不要かも知れない。

僕は・・・・・佑衣さんを危険に曝したくない。大切にしたい。


 そう言おうとしたときだった。

いつの間にかドアのところに立っていた魔来子さんが言った。


「ラバ様、今までのお話、無かったことにしていただけませんか?

お嬢様のお許しが出ない以上はあちらの世界に行くことが出来ません。

 それと・・・・ラバ様も、私同様に契約済みの身ですので、お嬢様のお許しが必要なんですけど、

それをお忘れになっておりませんか?

契約の身である以上、勝手なことはできません」


 ま、また、ここで契約が出てきてしまうんですか!?

でも、確かに僕も魔来子さんも契約の身なんですよね。

てことは村に戻るのは、やっぱり無理なんでしょうか?・・・・





 延々続けた第6話の伏線がここで。(笑

佑衣さんの不安定な気持ちが表現できていたらな・・・


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