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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第3章 魔法力
13/50

13.魔法道具

魔法の説明の回・・・のはずなんですが、

誰かさんが不勉強で、説明になりません。(泣)

「え、ええっと・・・・・魔法は、・・・良く知らないんです」


 ああ・・・・バラしてしまった。僕の最大の秘密を。

案の定、二人はあっけにとられた顔で僕を見ている。


「あ、あの・・・・魔法の国の出身者で、その国の期待を背負ってきた人が、魔法を良く知らない・・・

と、今おっしゃいましたか?」


 はあ・・・・・おっしゃいました、いえ、いいました。


「ら、ラバ、お前、このブタ野郎!」

 佑衣さんが立ち上がって罵る。


「お嬢様、お気持ちは理解できますけど、それはあまりにお下品な」


「だめ、そんな上品な言い方じゃあ、こいつに通じない!こんなしょんべん漏らし野郎には!」


 ああ、やっぱり根に持ってるんですね。それ・・・・・


「よくわかんないというおまえが、あたしに魔法少女になれだの、村を助けに行くだのよく言えたわね!

無責任にもほどがある!日本一、いや世界一の無責任野郎!」


「表現は別にして、内容については私も同じ気分でございますわ。ラバ様、一体どのようにお考えなんですか?」


 えっと、まず説明させてください。

村の魔法学校には行ってました。ですから、最低限の魔法なら使えます。

でも、そこで教わったことは、魔法道具も呪文もきっかけに過ぎないということなんです。


「きっかけ・・・・ですか?」


 ベテランの魔法使いになると、道具も呪文もなしで、魔法の発動が可能なんです。

例えば、炎の魔法ですが、簡単なので、僕でも出来るんですけど。

こうやって、掌を上に向けて念じるだけで・・・


 ポッと掌の上に小さな炎が点火する。

 そのとたん、いきなりシュッと四方から白い煙が襲いかかってきた。

たちまち、真っ白になる僕。その煙で炎は一瞬のうちに消える。

なんですか、これは・・・・・対抗魔法ですか・・・・?

風が巻き起こると、白い煙はたちまち消えていく。


「ラバ様、気を付けて発動させてくださいね。

この建物の中では、赤外線センサーが常時監視していて、温度変化に異常があれば、

自動消火システムが起動します」


 はい・・・・気を付けます。僕の知らない不思議な魔法で一杯でしたね、この家は。

で、ですから、魔法道具や呪文はまだ魔法に慣れていない人が速やかに発動できるようにするものなんです。

 それから、我がオッフェンバッフ家というのは・・・・・


「なに、そのオッフェンバッフって?」


「ラバ様の名字ですわ。ヤーコブ・ラバ・オッフェンバッフです」


「あ・・・・・すっかり忘れてた」


 いいですよ。僕の名前なんて・・・・しょんべん垂れでも・・・・・好きなように呼んでください。

うう、話が進まない。

 で、そのオッフェンバッフ家というのは、村の中でも魔法使いの名門なんです。


「その、名門が、魔法を知らんのかい!?」


「ラバ様、言ってることが滅茶苦茶に聞こえますが・・・・」


 つ、つまり、名門ということは、生まれつきの素質が強いので、

特に呪文とか覚えなくても、発動できてしまったんです。

魔法のイメージを脳裏に浮かべるだけで、魔法が使えてしまうんです。

だから、体系的には勉強してないんです。


「つまり、できるものだから、学校での勉強はおサボりになっていたと・・・・・」


 あ・・・・・、そう言われると返す言葉が・・・・・


「お嬢様、出来るからと言って学校を休むとこういう人になるんですよ。ご理解いただけました?」


「わかりましたわ。反省します」


 僕も一緒に反省します・・・・で、でも、こういう事態になるなんて、思ってなかったんです。

村と切り離されて、たった一人で、魔法を使うようになるなんて・・・・


「危機管理能力に甘さがあると表現させていただいてよろしいでしょうか。

どういう事態になるか分からない以上、最悪のケースに備えて用意をしておく、

それは村のように敵が存在する場合、当然のことと考えますが、いかがでしょう」


 はあ・・・・魔来子さん・・・・ぐうの音も出ません。


「とにかく、ラバ様の今までの話をまとめましょう。

お嬢様が魔法を使うと仮定した場合、当然素人ですから、魔法道具を必要とする。

呪文については、ラバ様が不勉強なため、不明ではあるものの、

脳裏に魔法のイメージを浮かべることで発動できるのではないか、

後はお嬢様の資質次第ではないかと私は考えておりますが、こんなところでしょうか」


 す、すげえ・・・・。しゃべった本人がまとめられないのに、しっかりまとまってる。


「じゃあ、ラバ、あんたがあっちから持ってきたっていう魔法道具、見せてよ」


 僕は、あっちの世界から肌身離さず持ってきた、古ぼけた小さな箱を取り出した。

魔法の封印を外すと、蓋を開ける。

その中には光輝く金のリング・・・・ではなくて、

紋章が入った古ぼけた指輪が2個と、アンクレットが1つ。

いかにも年代物ではありそうだけど、ちょっと古めかしい。


「これが・・・・魔法少女の道具なんですか?なんか、期待とはちょっと違いますね。」


 なにを期待していたのか知りませんが、これがそうなんです。

とはいえ、僕も初めて見たものですけど、ちょっとなあ・・・・・


「では、お嬢様、ちょっと試しにつけてみてくださいな」


 佑衣さんもちょっと不服そうな顔をしていたけど、両手の薬指と、左の足首に装着した。


・・・・・・何も起きない。


「やっぱ、呪文が必要なのかなあ?・・・」


「ラバ、やっぱり一度、死んでみる?お前がわからないのに他の誰がわかるかあ!!」



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