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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第3章 魔法力
12/50

12.「あっちの世界」

 ああ、笑いが入ってない。

マジな話で終わりそうだ。


 その日の夕食の後。僕たちは紅茶を嗜んでいた。

僕にはミルク、佑衣さんはブランデー入り。魔来子さんにはレモンのティー。

紅茶の甘い香りが食堂に満ちて、ゆったりとしたひととき。


 佑衣さんは昼間の出来事をまだ怒っているようで、あまり僕の方を見ない。

時折目が合えば、フッと横を向いて口を尖らせている。


「さて、ラバ様、これからお話しを伺いたいのですが。あちらの世界のことです。

そもそも、ラバ様はどのような理由でこちらの世界にくることになったのか、

あちらに帰ってどうなさりたいのか、そろそろ教えていただきたいのですが。

仮にお嬢様が魔法少女として、あちらの世界に行くとして、いったいどのような世界なのか、

事前に知識を得とうございます」


 魔来子さんのいうとおりだ。仮に佑衣さんが魔法少女になったとしても、

その力をなんに使うのか、知る権利が彼女にはある。知らなくちゃならない。

 そして、その力を使う”あっちの世界”が、いかに”こっちの世界”と異なるのか。

ほんの少しだけ暮らした僕でさえ、こっちの世界がいかに平和か、よく分かった。

あっちの世界を正直に話せば、彼女は魔法少女になることを断るかもしれない。

だから、今まで話したくなかった。

 でも、もう話さなくちゃいけない時期が来たようだ。

佑衣さんが選ぶことができるために。

 僕はあっちの世界のことを話し始める。

できるだけ感情を込めないで。


♡       ♡       ♡       


 あっちの世界の簡単な絵は、一つの巨大な島。

中央には高原と、それを取り巻く高い山脈。

この山脈のおかげで、中央高原は外からの侵入が出来なくなっていて、独自の文化を持っていた。

それが”村”。


 村と言ってるけど、それなりの人口や町並みができている。

そこの独自文化というのが、”魔法”。

自然が厳しい分、精神面での充実を図ってきた結果がそれだ。


 村の川は南に流れていて、そこにあるのが、ジェロルアンスティツル大公の国。

この国は比較的平和な国で、村と交流がある唯一の国だ。


 村の東にあるのが、フェルゼンシュタイン伯爵の国。

一応、形ではジェロルアンスティツル大公に従っているけど、

こっそり軍事力を強化していたりして、領土の野心が高い。

村の支配を狙っているのも、この国だ。

中心をおさえれば、南にも西にも行きやすくなるから。

もしかすると、魔法の力も欲しがっているのかも知れない。


 西にある国はドニ。

今まではこの三つの国が、村を中心にドーナッツ状に睨み合っていた。

だから、大規模に軍隊が動くことはなかった。

どっかが動けば、残りの国が後ろを衝けたから。

それでも小競り合いはあったけど。


 でも、西に大災害が起きた。

西の国に大きな被害が起きて、戦争なんて出来る状態じゃなくなってしまった。

これをチャンスと思って、東の国が南の国に攻め込んだ。

そして、その魔の手は村にも及んできた。


 空から”竜”空中軍の兵士達が山脈を越えてやってきた。

竜の兵士達は重火器は持っていないけど、剣や槍、弓矢を持っている。


 村も同じような武器で戦ったけど、東の兵士達の方が戦いに慣れていた。

魔法も使ったけど、東の軍勢も魔法で防御してた。

あっちにも魔法使いがいるらしい。

その頃の戦いは一進一退だった。


 そして、東の”獅子”地上軍がやってきて、戦いが不利になる頃、

長老が僕を呼びだし、魔法道具を持たせると、”門”に行くように命じた。

僕はみんなと戦いたかったけど、命令に従った。


 追っ手の兵士達から必死で逃げながら、僕は門に向かった。

”・・・門の向こうは、平和な世界がある。

そこに魔法道具を持っていって、敵に奪われるな。

そして、あっちの世界で、魔法少女を見つけて、こっちの世界に連れ帰れ。

さすれば、村は復活し、前のような平和と繁栄を謳歌するであろう・・・”

この長老の言葉を信じて。


 前にも言ったけど、その後、どうなったかはわからない。

一刻でも早く戻っていって、みんなの安否を確かめたい。

もし、必要なら、復讐を果たしたい。


♡       ♡       ♡       


「三国鼎立状態ですね。一番安定系です」

「武器は剣、槍、弓矢。現代兵器の敵ではないわ。ただ空中兵力は脅威だけど」

「政治体制と言い、イメージは中世。日本史なら新しくて江戸時代初期というあたりですわ」


 佑衣さんと魔来子さんは、額をつきあわせて相談している。

片眼鏡を掛けた魔来子さんが両手の指を動かすと、空中にはイメージの絵ができあがる。

さらに兵力の比較表まで。

 あ、だいたいその地図、あってますよ。

でも、現代兵器って何のことなんですか?


「でも、多勢に無勢という言葉もあります。

あっちで味方がいなければ、最悪この三人で戦うという可能性も考えておかないと」

「魔法少女とはいうけど、どのくらい戦闘能力があるのかしら。

話を聞く限り、どうも魔法の方が、兵器より分が悪そうなんだけど」

 二人は僕の方を振り向いた。


「では、次に魔法についてお話し下さい。いったいどのような魔法があって、それはどうやって使うのか、を」


 あ、それは・・・・・・あはははは。(汗

僕は力無く笑った。



 3章はあっちの世界と魔法の説明が目標。

あと、佑衣さんの揺れ動く心が書けたら、いいな。

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