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魔法少女と呼ばないで  作者: どり
第2章 私立四葉野黒大場学園(しりつよつばのくろおばがくえん)
11/50

11.人形昇天

 なんか、おもらしの多い章になってしまいました。

お食事中の方、申し訳ありません。


 って、そんな奴、いねーよ!

「ねえ、ラバ、やっぱりあたしって変だよね」

 ここは家。部屋に帰った佑衣さんは着替えの最中。

机の上に置かれた僕に話しかけている。

小さくなった僕を人形だと信じ切っている。


 で、でもね、佑衣さん、もう、僕は限界。

下腹部の痛みは限界。妙なプライドが最後の防波堤になっているだけ。

佑衣さんが目を離したら、何とかして、トイレに行きたい。

もう首のことなんかどうでもいい。とにかくトイレ。

でも、どういう訳か、佑衣さんは僕を離さない。

今だって、僕を正面から見つめながら囁いてくる。


「自分と友達を守りたいだけなのに、結局、その友達まで怖がらせてるなんて、あたし、何やってるんだろうね。だから、一人になっちゃうのかなあ。あたしって、何やっても駄目な子だよね・・・」


 白い下着姿の佑衣さん。

くりっとした大きな瞳。愛らしい唇。可愛いな・・・・

僕に余裕があったら、いつまでもこうして見ていたい、そう思った。

でも、もう、ダメだ。イタイ・・・・・・


「なに、これ?」

 佑衣さんが僕を手に取る。

ごめん、もう限界です・・・・

じわっと暖かいモノが下半身を濡らしてる。

佑衣さんの目に不審の影。


「あんた・・・・・人形じゃなくて、もしかしてホンモノ?」

 佑衣さんの目がきつくなった。


「魔来子さん!」

佑衣さんの声に呼応するように、魔来子さんが現れる。

といっても、例の立体映像ってやつだ。半透明に光ってる。


「はい、お嬢様」


「ラバはどこよ?」

 急な質問に面食らったようだ。取り繕った笑顔を浮かべる。


「え、ええっとお出かけかと思いますが・・・」


「すぐに来て、来なさい!」


「は、はい、お嬢様」

 魔来子さんの映像が消える。

ああ、これがカガクなんだ。ホントの魔法なら、あそこからスッと現れるのに・・・・

パタパタっと音がして、魔来子さんが飛び込んできた。


「この人形、これ、何よ!」


「は、わ、私が作りました・・・」


「汗かいたり、おしっこ漏らしたりするように作ったの!?」


「は、はあ?」

 佑衣さんの質問に魔来子さんも面食らっている。


「まさか、こいつ、本物のラバじゃないよね?」


「い、いえ、そのようなことは・・・」

 もう、魔来子さんもしどろもどろ。

 ぼくはもう佑衣さんのなすがまま。


「じゃあ、首引っこ抜いたって、いいわよね!」

 佑衣さんがそう言い放って、僕の首に手をかけたのと、

魔来子さんがその手元に飛び込んできたのと、

僕が悲鳴を上げたのが、同時だったと思う。


 そして、その直後、三人のど真ん中で魔法が解けた。

強烈な首の痛みでぼくは記憶がふっとんでいった・・・・・


   ☆      ☆      ☆       


 そうか、首の傷はそのときの・・・・

ドアにノックがあって、魔来子さんが入ってきた。


「お目覚めになられたのですね。よろしかったですわ」

 手に持ってきたお茶とお菓子の用意を手早くおこなう。


「あの後、覚えがないでしょうけど、大変でしたのよ」


 普通サイズに戻った僕は、佑衣さんにのしかかるように倒れ込んだそうだ。

もう、その時には首の輪っかは吹っ飛んでいたのだけれど、

瞬間的に首を締め付けられた僕は、気を失っていたらしい。

 のしかかられた佑衣さんは、僕をはねのけようともがいていたけど、

すぐに自分の身体を濡らす生暖かい液体に気がついた。


「や、やだ、ラバ、い、いや、いやああーーーー!」


 取り乱した彼女の悲鳴は最後には絶叫になっていたそうだ。

 魔来子さんは気を失っている僕をシャワーできれいにして、

部屋に担ぎ込み、傷の手当てをしてくれたそうだ。


「お気に入りだったのに、この下着、気に入ってたのに・・・」

そのあいだ、放心状態の佑衣さんはそうつぶやいて座り込んでいたそうだ。

その佑衣さんをお風呂で必死にきれいにしたのだそうだ。


「もちろん、下着は全部処分になってしまいましたわ。

こんなことになった下着なんか、二度と見たくないとおっしゃいますので」

 どうしてやろう、ラバの野郎、どうしてやろう、

佑衣さんはそう言っていたそうだ。


「お嬢様にはその後で、たっぷり謝っておきました。もう二度とこのようなことはいたしません。

ラバ様にもよく言い聞かせておきます。お嬢様のプライベートをのぞき見するようなことはさせません、と」


 あ、あれ・・・?

なんか、僕が首謀者のようになっていませんか?

そ、そんな、それだと次、佑衣さんに会ったとき、僕は半殺し、いや地獄を見ることになるんじゃないですか?


「私、考えました」

 な、何か、いい対策あるんですか?


「今度やるときは、是非おむつを着けていただければ、今回のような事態にはならずに・・・」


「絶対にやるもんかー!!」

 せっかくの魔法の力をこんなことに二度と使わない!

こんな事のためにこっちの世界に来たんじゃない!

・・・佑衣さんの下着姿はちょっとうれしかったけど。

できることなら、もっとしっかり見ておきたかったな・・・・


 えー、第2章の学園編、これにて。

有り難うございました。

引き続きまして、第3章「魔法力」をお送りいたします。

なにとぞ、引き続いてのご愛顧を。

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