『転生姫と宿命の対決』
四月の前半。
やわらかな陽光が、壮麗なる帝都ラーナをあたたかく包み込んでいた。
春の息吹に満ちた後宮の広大な敷地では、満開を迎えた白木蓮が凛とした白い杯を空へと掲げ、早咲きの桜が淡い桃色の花びらを舞わせながら優美な影を落としている。
その一角に位置する「白鷺宮」の池は、文字通り白鷺たちのささやかな楽園となっていた。人為的な手を加えすぎず、ありのままの自然の生態系を残したビオトープ——といえば聞こえは良いが、見方を変えれば半ば放任された、いささか草生い茂る水辺である。しかし、その無骨な青々しさと、白鷺宮の繊細で美しい伝統建築が描き出すコントラストは、どこか浮世離れした絵画のような風情を醸し出していた。
ここは、帝国の気品を体現する二人の少女——内親王シンシアと、三歳になった幼き皇女シェルランテの居館である。
だが今日、その穏やかな春の水辺には、なんとも不穏な空気が満ち満ちていた。池の端で翼を休めていた白鷺たちが、ただならぬ気配を察知して「カァ」と小さく鳴き、心配そうに首を傾げながら二つの小さな影を見守っている。
気配の主は、わずか三歳の皇女シェルランテと、シンシアの飼い鳥である白鷹のフェリスであった。
ふたりの仲の悪さは、白鷺宮の侍女たちの間でも有名だった。前回の「決闘」においては、ヒートアップした二人の暴走に見かねたシンシアが本気でブチ切れ、月華の錫杖『朧三日月』を振り回して、あえなく引き分けという不完全燃焼な結末を迎えていたのだ。互いに腹の虫が納まるはずもない。
春風にポヤポヤと揺れるシェルランテの柔らかい髪。つぶらな瞳をこれでもかと釣り上げ、むっちりとした小さな両足をしっかりと大地に踏みしめている。その小さな手にはクリスタルロッド『東雲杓子』が固く握りしめられ、ふくれっ面は「怒っています」と全身で主張していた。
対するフェリスは、庭石の頂点に降り立ち、鋭い金色のかぎ爪で岩肌をカリカリと引っ掻いている。白銀の羽毛を逆立て、冷酷な猛禽の眼光で眼下の小さな皇女を射抜いていた。
(なんだ? やんのか? おい!)
シェルランテが口をぐっと結んだまま、顎をそらしてフェリスを睨みつける。その背中からは、三歳児とは思えぬ野生の威嚇オーラが立ち上っていた。
(お前。前から気に入らなかったんだよ! ぶっ殺してやんぞ? ああ?)
フェリスもまた、くちばしをわずかに開き、低い威嚇音を喉の奥で鳴らす。ふさふさとした胸の羽を広げ、一歩も引く気はないとばかりに翼を軽く広げて見せた。
実際にふたりがそう思っているのかどうかは、定かではない。しかし、互いの視線が交錯する空気は重く張り詰め、まさに一触即発——いまにもどちらかが飛びかからんとする緊張感が、白木蓮の香る庭園を支配していた。
◇
静寂を破ったのは、幼き皇女の鋭い気合いの一声だった。
「——たぁぁっ!」
先に仕掛けたのはシェルランテであった。 むちむちとした腕をいっぱいに伸ばし、結晶の柄が春光を浴びて輝く『東雲杓子』を真っ直ぐ上空へ振り抜く。大気を切り裂く風切り音が響き渡り、真っ直ぐな一撃がフェリスを襲う——かに見えた。
フェリスは瞬時に危険を察知し、その白銀の翼を大きく羽ばたかせ、足元の庭石を蹴って垂直に飛び立った。
「ふちちっ……ひっかかったな!」
しかし、それはシェルランテが仕掛けた周到なフェイントであった。 幼い身体を駒のようにくるりと旋回させ、振り上げた勢いをそのまま殺さずに『東雲杓子』を折り返す。返しの一振りから放たれたのは、朝日を煮詰めたかのような鮮烈な東雲色の光刃。弧を描きながら空を切り裂き、跳躍したばかりの白鷹の胴体を逃さず追う。
「クアッ!」
フェリスは動じない。空中で右の翼をあでやかに折りたたむと、流れるような螺旋を描いて華麗に旋回。迫り来る光刃のスレスレを通り抜け、舞い散る桜の花びらとともにその攻撃を難なく回避してみせた。
回避と同時に、猛禽の目が獰猛な光を宿す。 上空で大きく両翼を広げたフェリスが強く羽ばたくと、その白銀の羽毛から溢れ出た光が結実し、無数の鋭利な「光羽」となって降り注いだ。反撃開始である。
空を埋め尽くす光の矢が、鋭い音を立てて地上へと突き刺さる。
だが、シェルランテの姿はそこにはなかった。 光羽が地面を穿つ寸前、彼女の足元の空間がゆらりと歪み、幼い身体は影が消えるようにその場から消失したのだ。神速の空間跳躍——。
「捕まえたぁぁっ!」
次の瞬間、空中で滑空するフェリスの真上。何もない空間が裂け、ふくれっ面のシェルランテが忽然と姿を現した。 上空から落ちる勢いのまま、むっちりとした両手を前へと突き出し、飛翔するフェリスの背中を「むんず」と力任せに鷲掴みしようと手を伸ばす。
「!?」
頭上からの気配に、フェリスの金の瞳が一瞬だけ大きく見開かれた。 しかし、帝国の王笏を守る白鷹もまた、並の猛禽ではない。つかみかかる小さな指先が自らの羽毛に触れる直前、今度はフェリスの体が眩い光の粒子となって空間へと溶け消えた。フェリスが空間跳躍する番となって交わしたのだ。
「あぅっ!?」
空を切ったシェルランテの手は空しさを掴み、そのまま重力に従って落下していく。だが皇女は慌てない。空中で短く東雲杓子を振ると、地面に激突する直前で再び空間を跳躍。軽やかに芝生の上へと転移し、タンと小さな音を立てて着地した。
呼吸を整える暇もなく、ふたりは再び距離をとって対峙する。 上空で静かに降り立ったフェリスと、地上で東雲杓子を構え直すシェルランテ。
舞い散る白木蓮と桜の花びらの中、二重の空間跳躍がもたらした残光が、二人の間に残された緊迫した空気を妖しく美しく彩っていた。
《 登場人物一覧》
【皇家・セレスティア親王家】
• ルシア(ルシア・フォン・セレスティア / 巫女ルナ)
イリアードとセシリアの娘で転生者。
空間や物質の操作・修復・回復、空間跳躍など強大な異能と稀代の軍略を操る。
義賊『六棘の霜華』や『真理の光教団』の巫女「ルナ」として暗躍し、『聖ゲンドラス教国』の聖騎士団長を極秘裏に務め、裏から大陸の歴史を動かす。数年前に帝都の結界を破るために命を落としたが、のちに「シェルランテ」として転生・復活を果たした。宙の属性は冥王星。万物の属性は氷。
• イリアード・フォン・セレスティア
セレスティア親王であり、アルストラーナ帝国軍の総大将。先帝アラリックの腹違いの弟。
「軍神」と称される冷徹かつ無双の武勇を持つ指揮官。愛娘ルシアを溺愛しており、彼女の危機には理性を失い「鬼神」と化す。のちに「大元帥」に就任。第15代アルストラーナ皇帝に即位した。
『紫の憑依』によって人格を失い、セシリアを殺害後、母親のフレデリカの『血肉呪誓』によって、
共に消滅した。
• セシリア・リヴィエール
イリアードの側室(貴妃)でルシアの母。「水明将軍」の称号と軍権を持つ。念話や念動に加え、無から植物・花々を生み出す能力を持つ。ルシアの演出により、ノバージェの民を救う女神『紫苑のヴィオレット(月姫)』を演じた。
聖地エルサ・ルーメンでは初代『神託の聖母』となっている。宙の属性は太陽。万物の属性は花。
『紫の憑依』のイリアードによって、刺殺された。
• リゼリア・リヴィエール
イリアードの正妃(皇后)で、リアムとシンシアの母。「水鏡将軍」の称号を持つ。
念話・念視・予知の異能を司り、ルシアの計画の意図を一瞬で見抜くよき理解者。
宙の属性は月。イリアードとセシリア亡き後、
皇太后となって翡翠宮に居を移した。
• リアム・フォン・セレスティア
イリアードとリゼリアの息子でルシアの異母兄(のちに皇太子)。
16歳で初陣を飾り、混戦を切り裂いてグラッデェ皇帝ベグ・バールを捕縛した武功(実際は気絶したベグを縛り上げた)により最年少将軍に就任、聖剣アウレリウスを賜る。シンシアの兄。シェルランテとソリス、オリオンの父。第16代皇帝として即位した。
• シンシア・フォン・セレスティア
『真光の巫女ルークス・ヴェリタス』
イリアードとリゼリアの次女(ルシアの異母妹)。異能を持たない「普通の女の子」として育ち、後宮でココロギの元へ通う。シェルランテを抱き上げた事により、異能の門が開かれて、覚醒を果たした。
『真光の巫女ルークス・ヴェリタス』の称号を持つ。
宙の属性は月。万物の属性は風。第16代皇帝即位に伴い、皇女から内親王となり、水明宮跡地に白鷺宮を建てて、皇女シェルランテと共に移り済んだ。
・フェリス
シンシアが可愛がっている純白の鷹。シンシアの要望によって、ココロギが初めて念創によって制作した生命体。卵の状態で発現した為にシンシアが懐で温めて孵化した。シンシアを鳥と思っているか、自分は人間と思っているかのどちらかである。高慢で我儘で天邪鬼なので、制作者のココロギは失敗作だと思っているが、シンシアはこの貴公子然とした、変な鳥を気に入って可愛がっている。シンシアを守るために命を惜しまない特攻をする為に、ココロギにより試行錯誤した法具が、装着させられている。
シンシアと共に白鷺宮に引越しし、シェルランテと喧嘩してシンシアに叱られた。
・シェルランテ・フォン・アルストラーナ(白鷺姫)
『導光の聖歌姫ディーヴァ・ルクス』
皇太子リアムと皇太子妃シルヴィアの間に生まれた皇女。生まれた直後から強力な念動・念力を発散させ、ルシアの生まれ変わり(転生)としての記憶と意図を秘めている。誕生時に住まいの春宮にて白鷺が住み着いたことから白鷺姫と呼ばれるようになった。教団の称号は『導光の聖歌姫ディーヴァ・ルクス』。宙の属性は天王星。万物の属性は氷。
第16代皇帝即位に伴い、皇孫女から皇女となって、
水明宮跡地の白鷺宮にシンシアと共に居を移した。
【親王家を取り巻く人々・一族】
• フレデリカ・リヴィエール
大一族リヴィエールの長老でイリアードの母(皇太后)。かつて先帝の『御前琴師』であった。街や宮殿を創り出せる突出した異能の持ち主オールラウンダーで、ルシアの最大の理解者。
宙の属性は土星。万物の属性は土。
『紫の憑依』によって人格を失った息子イリアードと共に、『血肉呪誓』を行い消滅した。
• ベルナデット・リヴィエール
完璧主義者の侍女。20歳で結婚し旅立った後、リヴィエール本家に嫁ぎ、リヴィエール商会・リヴィエール銀行を総括するリヴィエール財団の理事として大陸全土をコントロールする。
宙の属性は金星。
• エミーナ・リヴィエール
セシリアとルシアに仕えた元侍女。ルシアの空間跳躍を追える強大な異能を持ち、軍服を纏って戦場に赴き、決死隊の高速艦『ブラッド・エミーナ』にその名を残す。海賊達に『南海の鬼女』と恐れられた。聖ゲンドラス教国にて『神託の聖母』として君臨している。宙の属性は海王星。万物の属性は火。
• ロゼッタ・リヴィエール
リゼリアやセシリアに仕えた元侍女。
• ベルトト・リヴィエール
皇后リゼリアの側近であり、熟練の女官長。セシリアやルシア、リアムの世話をする完璧主義者。ベルナデットの妹で、リヴィエール一族の娘。
【聖ゲンドラス教国・真理の光教団】
• ゲンドラス・サイリュン(崔厳)
『真理の光教団』の教祖であり『聖ゲンドラス教国』の教皇。ココロギとアレスの父。ルシアの下僕として神々しい威厳と沈黙で信者を平伏させ、表面上の統治を行う。
• ココロギ(ココロギ・サイリュン / 崔心木 / 四つ葉様)
『至高の光巫女ハイ・プリエステス』
教皇ゲンドラスの実子で、後宮の『四つ葉堂』の巫女。リヴィエール一族の血を引き、空間跳躍や護符生成の異能を持つが、極度のパニックや生理現象で暴走・誤作動させることが多い、気弱で優しい少女。のちに大水没の危機を救う。法具・神器の開発に優れており、失敗も多いが唯一無二のアイテムを生み出す。宙の属性は『大地(地球)』。万物の属性は木。
・ミタマ・サイリュン
真理の光乙女リ・ルミエール。
アレンとエミーナの娘。ゲンドラスの孫娘。
ツルギとは双子の妹。
錦族名は崔御玉
ルシア(シェルランテ)が望んで生まれて来た、生命体。伝説の『紫苑のヴィオレッタ』がモデルとなっており、最も美しくて最も強い女性をイメージされている。『空斬水鏡』と『東雲煌竜』を両手に持って戦う姿はまさに戦乙女である。
宙の属性は水星。万物の属性は水である。
・ツルギ・サイリュン
明光の聖騎士パラディン・レイディアンス。
アレンとエミーナの息子。ゲンドラスの孫。
ミタマとは双子の兄。
錦族名は崔剣
ルシア(シェルランテ)が望んで生まれて来た、生命体。亡国ダラーンの『国士』であり、『至高の騎士』。クラーク・ダナミヤの模倣体である。
聖ゲンドラス教国の聖騎士の理想的存在として、誕生した。その周囲と本人はその事実を知らない。
『竜鱗盾』を掲げ、何人にも負けず、屈せず戦う姿こそが、クラーク・ダナミヤ。そのものである。宙属性は土星。万物の属性は土である。
• ヴォルフラム・フェイ
アンチアルマ大聖堂の枢機卿。元・吟遊詩人かつ一騎当千の凄腕の剣士。ルシアたちと合流・共闘する冷徹な知識人。転生したブランガの手に掛かる。
• スライロ・ハリス
枢機卿。
かつて滅亡したダラーン王国の元大臣(「至高の頭脳」)。ルシアの異能と我儘により、サンブリア大聖堂の司教に据えられる。
• カシアン・ヴァロア
枢機卿。
かつての大遠征に失敗した元宦官(42歳の大提督)。敗戦後に名誉の戦死を装い、ルシアの手配によりシューコルン司教やラーナ大聖堂司教を歴任。
• ジル・オテ(旧名:ジルグード):元オテゲン皇国第4王子。11年前に燕国を占拠(鳳山城を占領・籠城)するもルシアに敗北し、半ば強制的に改心させられて聖ゲンドラス教国の司教となる。転生したブランガの手に掛かる。
• ビー・スー
ディヌイヤ王国から随行した丸盾使いの青年。ディヌイヤ・ラーナ公国の司教。冷静沈着な判断力でルシアの護衛や参謀、ココロギの協力者を務める。
転生したブランガの手に掛かる。
【アルストラーナ帝国皇室・他国関係者】
• アラリック
アルストラーナ帝国。第14代皇帝。イリアードの腹違いの兄で、冷徹かつ厳格な支配者。弟イリアードを非常に好いており、彼を帝都に留めるために「大元帥」の職を新設・授与した。
『紫の憑依』を受けた皇后ロザリアに殺害された。
• シルヴィア・フォン・アルストラーナ
第16代皇帝即位に伴い、皇后となった。
第14代皇帝アラリックの第6皇女で、リアムの正妻(皇太子妃)。シェルランテとソリスの母。
夫と女官エレノアの関係が発覚してから、
リアムに対して心を閉ざすようになった。
・ソリス・フォン・アルストラーナ
第16代皇帝リアムとシルヴィアの息子。シェルランテの弟。
・エレノア華妃
第16代皇帝リアムの側室。皇子オリオンの母親。
元女官。リアムが皇太子時代に手がついて、皇子を懐妊した。側室数十人の最高位に君臨する。女を憚り無く武器に出来る毒婦。
・オリオン・フォン・アルストラーナ。
第16代皇帝リアムの息子。華妃エレノアの息子。
• ルネッタ・リヴィエール
セシリアの実妹で、第14代アラリック皇帝の徳妃。
帝都後宮の「翡翠宮」に住まう。
皇子イスファの母。『紫の憑依』を受けた皇子イスファに噛み殺された。
• ロザリア
アラリックの皇后。没落したシュタインベルク家の出身。紫の異能(黒山羊結社・天信教の暗黒の力)に侵され狂気に陥る。
• イスファ
アラリックとルネッタの間に生まれた第4皇子(4歳)。絵が得意だったが、紫の異能に支配され惨劇を引き起こし、リアムに倒される。
• イスマ
アラリックとロザリアの間に生まれた第二皇子(皇太子、8歳)。異能に狂ったイスファに殺害される。
• アルベール&エレノア
ルミナリア・リヴィエール家。
セシリアとルネッタの両親。アルベールはリヴィエール商会ルミナリア支社長。
• ボロ・ディヌイヤ
南海の覇者であるディヌイヤ王国国王。圧倒的な威厳を持ち、ルシアと旧知の仲であり密約(通商条約)を結ぶ。
• アレス・マクウェン
セレスティア水軍の若き優秀な副官で、特攻艦『ブラッド・エミーナ』の元艦長。エミーナに想いを寄せる。ゲンドラス・サイリュンの息子である事が判明し、聖ゲンドラス教国にて聖騎士団長を務める。
アレス・サイリュン。錦族名は崔亜無
• ヴァレリオ・フォン・ボルゲーゼ
75歳の老将で帝国太尉・征西将軍。ヴェロニカ砦にて敵将を討ち取る。80歳で戦に行くと興奮して、心臓麻痺で永眠した。
・マグナス・クレイン
三公の司徒。イリアードが親王となった際に、父帝が優秀な文官をと与えてくれた。優秀な人物。
イリアードが皇帝として即位した際に、自領から帝都に呼び戻して、最も高位の官職につけた。
・ハリス・クレイン
尚書令でマグナスの息子。父と共に皇帝の親征を止める。
• リョウ・マルディ
ノバージェ共和国の有力金融家で最高執政官ドージェ。莫大な債務で国を支配したが、ルシアたちに倒される。
【敵対組織・その他の勢力】
• エスゲイ・バール
中央高原を支配するバール朝グラッデェ帝国の隻眼の覇王。ベグ・バールの父。前年5月に『六棘の霜華』ルシアによって暗殺された。
• ベグ・バール
エスゲイの次男で、バール朝グラッデェ帝国の皇帝。父の復讐のため50万の大軍を率いてアルストラーナへ侵攻するが、ルシアとリアムに敗れて捕縛される。
• カサル
エスゲイの弟で大将軍。領地を焦土化する暴挙を行うが、ヴィオに首を討たれる。
• カルヴァル
古都ラーナの天信教総主教。ルシアによって権威を失墜させられ降伏する。
• アルノルト
天信教の老総主教。虚無の終焉と「救世主の死」を望み、禍々しい禁忌の術式を行う。ルシアに討たれた。
• アルカディアス
帝国の影で暗躍する『黒山羊結社』の頂点であり、天信教の真の黒幕である初老の男。
《用語集一覧》
【地理・舞台・施設】
• アルストラーナ帝国(オーレリア帝国)
作中の舞台となる強大な大帝国。
• セレスティア親王国
アルストラーナ帝国領内の親王国で、イリアードが治める領地。
• アクアパレス
セレスティア親王領の首都。「水の都」と呼ばれ、運河網が縦横無尽に走る。
• フロスト・ヴァイス城
アクアパレス内にある城で、親王府の拠点(居城)。離宮や本城、広大な庭園を備える。
• 常緑宮じょうりょくきゅう
フロスト・ヴァイス城内にある本宮で、親王妃リゼリアが滞在する居室。
• ルシア宮
生後6ヶ月のルシアが異能(念創)によって無意識に生み出した、ガラスと白大理石でできた幻想的な小宮殿。
• 蓮花宮れんかきゅう
アクアパレス内にあるフレデリカの居宮。フレデリカの異能によって作られた大輪の蓮が咲く幻想的な宮殿。
• 花の都ルミナリア
300年間戦火を免れてきた花と芸術の都市でセシリアの故郷。表面上の繁栄の裏で深刻な貧富の格差が固定化している。
• エレスティアル山
ルミナリア郊外にある単峰。見栄えの良さから『聖なる山』扱いされ、聖地巡礼に活用される。
• エレスティアル大聖堂
ルミナリアの西にある城を買い取り、ルシアの資金と指示によって改造された「真理の光教団」の本山。
• 帝都ラーナ(白亜宮)
古代文明の発祥地でありアルストラーナ帝国の首都。中央に皇帝の居城である壮麗な「白亜宮」が聳え立つ。
• 翡翠宮ひすいきゅう
帝都ラーナの後宮にて。フレデリカ、ルネッタの居館であった所。イリアードが生まれ育った所でもある。リゼリア、セシリアが宮女見習いとして10歳から15歳頃まで過ごした。
・水鏡宮
皇后の御所。現在はシルヴィアの居館となっている。
・芙蓉宮
華妃エレノアの御所。何故かカラスの群れが住みついており、女官や宦官に危害を加えたりする。
カラス屋敷と影で言われている。
・白鷺宮
亡きセシリアの水明宮跡地に建てられた居館。
内親王シンシアと皇女シェルランテが住んでいる。
白鷺達が引越して来ており、白鷹のフェリスも付いて来た。フェリスとシェルランテが喧嘩をして、
ブチギレたシンシアが朧三日月を振り回した為、
一度、半壊したがすぐにシェルランテの異能の力によって修繕された。
• ガザルカガンド
中央高原におけるグラッデェ遊牧民族の本拠地・交易都市。ガザルカガンド会戦により陥落・焼亡する。
• アシュウェスト
大運河とアシュロン川が交差する物流・交易の要衝。裏社会の「五大商人」が牛耳っており、水底には大洪水で沈んだ天信教の大聖堂が眠る。
• アルヴェリア
かつて未曽有の水害・大洪水によって沈み、長年不毛の湿地帯となっていた禁忌の地。
• ディヌイヤ王国
南洋の果てに存在する、独自の巨石文化と褐色の肌の民を持つ王国。
• シューコルン
大陸中の富や高級香辛料、絹が集まる有数の港湾都市。「金と欲望が渦巻く自由の都」で、南洋・西海貿易の重要拠点。当時4歳のルシアとセレスティア水軍により、帝国領に編入された。現在、ブランガ・オデュヌの支配下にある。
• ノバージェ共和国
複数の島々からなる海の民の国。
古くから漁業、海運、海上貿易の発達が起こり、
共和政と金融業が飛び抜けて発展してきた。
金融・債務取引で繁栄していたが、ルシアの策略により、ハイパーインフレを起こし「裕福なる貧困」に陥り、5歳のルシア率いる、たった200名のセレスティア兵によって、首都ストロロホルムが陥落。聖ゲンドラス教国」へと生まれ変わった。
【組織・勢力】
• 真理の光教団
貧民や被搾取層を救済する名目でルシアが創設した新興宗教。教義の主軸は自力本願であるが、人間の持つ他力本願を巧みに引き込む信仰要素を組み込んでおり、瞬く間に民間に広まって行った。
裏で莫大な富と資金を回収・循環させるポンプの役割を果たしており、礼拝に訪れた信者には、嘆きの壁と真実の岩にてパンと宝石が与えられる。ルシアの考えではあらゆる宝石が無価値に近くなるまで、
この経済ロジックは有効としている。
• 四つ葉のクローバー
聖ゲンドラス教国および真理の光教団のシンボルで、ルシアが率いる組織の象徴。信仰・希望・慈愛・真理の四つが一つに合わさることで、初めて「完全なる光(聖なる庇護)」が完成するとされている。
• 六棘の霜華ろっきょくのそうか
『六棘の霜華』の紋は寒気にまみれた際、ガラスに浮かび上がる花のような結晶。『寒さ故に咲く花』として、人の悲哀を喜びや幸せに変える象徴とルシアが考えた。義賊の活動や民主に代わり、暗殺する際にこの紋を用いる。
雪と霜の結晶を刺繍したフード付きローブを纏う神出鬼没の義賊。ルシアとヴィオの仮の姿。
• バール朝グラッデェ帝国
騎馬民族グラッデェの征服者ベグ・バールが打ち立てた、中央高原を支配する帝国。
• 黒山羊結社くろやぎけっしゃ
三つの目を持つ黒山羊の銀紋章を掲げ、古代の「原始の力」や呪詛を用いて帝国の影で暗躍する狂信的な秘密組織。リヴィエールの端くれ達が関わっており、天信教の黒幕でもある。
• 天信教
アルノルトやカルヴァルが属する宗教組織。
有史以前から大陸の広範囲に浸透している宗教。
• リヴィエール商会
一族が運営する巨大な商業組織。教団が回収した資金を専属取引で吸い上げ、正規の税として帝国国庫へ還元する仕組みを担う。
・リヴィエール銀行
帝国の中央銀行の役割を兼務する。不景気や財政破綻は富の滞留によって起きる為に、再分配と回収の役割を担っている。
・リヴィエール財団
一族の商業組織と銀行を束ねる中核組織。
リヴィエール本家が理事会を担い運営している。
【血統・能力】
• リヴィエールの血(異能)
リヴィエール一族に発現する超常の力。瞬間移動(空間跳躍)、念動、念視、予知、治癒、無からの生成(念創)など多岐にわたる。
• 念創ねんそう
無から有を生み出し、記憶やイメージ通りの物質や衣服、建造物を瞬時に創造・構成する異能。
異能者の文化水準で物が作られるので、核爆弾やドローンなど想像の出来ない物は作れない。
活版印刷、蒸気機関、薬莢式大砲などは、設計図段階。
【武器・アイテム・特殊設定】
• 短錫杖 / 長柄の錫杖(仕込み剣)
• ルシアとヴィオが携える武器。短錫杖は金環がついた打撃用法具。
• 長柄の錫杖は、柄を捻ると長剣が抜け、柄と石突き部分が強固な鞘となる両手生殺の仕込み杖。
・破邪顕正はじゃけんしょう
『神託の聖母』エミーナの錫杖。ココロギとセシリアが協力して、聖剣アウレリアスと黄金の獅子剣、両方を模して制作した錫杖。四つ葉の象徴らしく緑色のオーラを放つ。
・光華法錫こうかほうしゃく
貴妃セシリアの錫杖。ココロギが黄金の獅子剣を模して製作した錫杖。
・旭日神劫きょくじつじんこう
ココロギの錫杖。ココロギの宙属性が『大地(地球)』の属性であるため、『太陽』の属性でなくても強力な力を発揮できるよう、法華法錫を魔改造した錫杖。
太陽光を集光し倍化して照射する為に、地上にある物質すべてを炭化・気化させてしまう。杖頭が四つ葉の形をしている為に大きなハエ叩きか。布団叩きに見える。
・朧三日月おぼろみかづき
月華の錫杖。シンシアの錫杖。ココロギの失敗作で旭日神劫を作った際に、
属性が真逆の月属性に極振りしてしまって完成した錫杖。未知の武器・神器であるが、
月属性のシンシアと非常に相性が良く、攻守共に多彩な現象を発生させることが確認されている。ただし、シンシアの戦闘時の美意識の為にストロング&アグレッシブなミタマとの手合いでは負けてしまう場面も多い。ただしシンシアの美意識に見合って、この錫杖を振り抜くと光の塵が四散して大変美しく幻想的な光景が見る事が出来る。
この錫杖に人体が叩かれると、血も出さず光の屑と共に雲散霧消する。
・空斬水鏡くうざんすいきょう
ミタマのクリスタルロッドの短錫杖。当初、風属性のシンシアがこの錫杖を愛用していたが、東雲煌竜の完成と朧三日月の完成(?)を経て、ミタマが使う事となった。
ミタマ自身は水属性であるが、東雲煌竜と合わせて、どんな属性の敵にも対応できるようになった。両手生殺で使用し、繋ぎ合わせると長柄の東雲水鏡となる。
・東雲煌竜しののめこうりゅう
火属性のクリスタルロッド。ミタマとツルギが使用している。
・東雲杓子しののめじゃくし
シェルランテが東雲煌竜を見て、ココロギに作ってもらったクリスタルロッド。
一見、幼女が喜びそうな、光るだけのクリスタルロッドに見えるが、秘密がありそうである。
・竜鱗盾りゅうりんじゅん
殉教したビー・スーが愛用していた丸盾を、ココロギが改良した盾。
念を込めた翡翠を無数に埋め込んであり、それが龍の鱗に見える。
最強の盾を目指して作られた。
・雷丸らいまる
『恐ろしき危機が訪れた時の為の雷丸いかづちまる』
通称『雷丸らいまる』
思い切り吹くと雷攻撃できる笛。
• 聖剣アウレリウス
オーレリア皇帝直属の伝説的な名剣。真の英雄としてリアムに授与される。
• 黄金の獅子剣
大元帥イリアードが携える大刀。真の力を解放すると眩い黄金の闘気を噴出させる。
・彩雲懸珠さいうんけんじゅ
ココロギが『東雲杓子』を見て思いついた。
中央に水晶を配置したペンダント。
異能者を見つける為に異能者が近くにいると、
様々に発光するアイテムである。
• 神秘札・護符
ココロギやルシアが異能の力でその場で作る紙片。受け取った者の悩みを解決する注意書きや治癒・保護の奇跡をもたらす。
• 紫炎石しえんせき
黒山羊結社が人工的に生み出した物質。強力な結界の展開や他者への精神憑依を可能にする。
• 心木こころぎ
『真理の光教団』の教義において、世界や生命の魂をつなぎ止め、心(感情・意思)を巡らせる大樹・世界樹を指す言葉。
• ブラッド・エミーナ
セレスティア水軍の新鋭高速艦。3本の斜めマストと高い機動性を持ち、特攻隊長エミーナの名が冠されている。
• 紫苑のヴィオレット(月姫)
100年前に姿を消したとされる帝国の伝説の影。
• 月下氷人(la personne de glace sous la lune)
古書に記載されていた「人と人、国と国との縁を結ぶ仲人」を意味する概念・計画。
• 聖都クリスタルヘイム
聖ゲンドラス教国の首都。ディヴァイン湖と霊峰セイクリッド山の麓に、
碁盤の目状に築かれた超巨大都市。
【その他・技・術】
・神隔膜ディヴァイン・シェル・メンブレン
ココロギが編み出した異能の技。
シェルランテに『味噌玉子粥』作っている時に、玉子を割っていながら着想した。
卵殻膜。「この薄い膜に包まれて、中身が新鮮に保たれる!」という事で。聖なる力で包み込み縛り上げる技である。これにて魔王ブランガ・オデュヌと皇帝イリアードを仕留めた。
・真闇月蝕
イクリプス・オブ・アブソリュート・ダークネス
シンシアの錫杖『朧三日月』の技。
絶対的な暗闇をもたらす技。
・血肉呪誓
サクリフィシャル・ブラッド・パクト
自らの命と身体を代償にし、願いを叶える異能の極意。フレデリカが使用し、イリアードと共に消滅した。
・臨界崩壊
ソウル・イグニッション
魂を燃やし尽くし、魔力を核融合させ、あらゆるものを消滅させる絶対的な破壊波を生み出す。
ルシアが『紫の結界』を破壊する際に行った。
・極光
ココロギの錫杖。
旭日神劫よる技。
聖なる光によって全周囲の敵を吹き飛ばす。




