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9:離宮のボスが来た

猿山のボス、職場のボス、家庭のボス。

世の中にはいろんなボスがいると思うけど今私の目の前には側室のボスがいる。そう、私が勝手にトップ3と呼んでいる側室のうちの一人だ。このトップ3の名前だけはしっかり覚えている。


「れ、れ、レイラ様、な、なぜこんなところに。」


権力を目の前にしたアオバちゃん、てんぱるよね。


「あら、私たち側室同士よ。他の人に話すように私にも話してもよくてよ?」


「あ、う、うん。」


私は今カスタードパイと食べるためのチェリーソースを作っている。カスタードパイは石窯の中で焼かれている。

アディーはお勉強しているので甘いものを食べて疲れを取って貰いたくてこれにした。ちなみにその分だけじゃなくてシェフたちの分とメイドたちの分と私の分もあるのでタルト型の耐熱容器六個分と言う量である。


「あ、あの。今日はどのような御用で?」


「そんなにおどおどしなくてもよろしくて?子供達からあなたの作る異世界のお菓子は美味しいと聞いて食べたくなったまでよ。」


「そ、そうなんだ・・・」


・・・誰だ!どの子だ!今度から子供達が来るときに「ママには秘密にしようね」とか言っておこうかな。


「あなた、今何を作っているのかしら?」


「あっこれは、チェリーソースと言う物でして・・・カスタードパイといっしょに食べるとおいしいんですよ?」


そこまで言いレイラ様の顔を見ると首をかしげていた。この世界のデザートと言えば生のフルーツか、焼いたフルーツぐらいしかないからもしかしてデザートと食べるソースの存在自体がよく分かっていないのかもしれない。


「今、窯で焼いているカスタードパイは甘くておいしいんですけど、甘いものをずっと食べると飽きません?」


レイラ様は「そうね・・・飽きるわね。」と言いうんうんう頷いていた。


「そこで、このチェリーソースです。このソースは酸っぱめなので味を変えるのにちょうどいいんです。」


「なるほどねぇ。」


多分納得?はしてくれたけど、目線はチェリーソースにあるレイラ様。

食べたいのかな?

ちょうど出来上がったし。火を止めてきれいなスプーンでソースを掬ってレイラ様の口の前に持っていった。


「味見してみます?」


一瞬目びっくりしたような顔をしたレイラ様が間を開けて頷いてスプーンに口を付けた後「確かに・・・酸っぱいね。」と言いながら今度は石窯を見つめた。匂い的に多分そろそろ焼きあがったかな?窯から取り出すと表面がいい感じに焼けていた。


「ちょっと、これ、焦げてないのかしら?」


「焦げてはないですよ。こうやって色を付けるパイなんですよ。」


「そう。」


めっちゃ疑ってる。すごく疑ってるのがもう雰囲気で分かるのがちょっと面白い。

パイは少し冷めてから食べると言いと言う話をしたら「なぜ?」と聞かれた。正直私もわからないけど適当に「暖かいとパイ生地が固まらない」とか「カスタードが熱でまだゆるゆるだから」とか理由を付けていたけどこれが合っているのか合っていないのかわからない、でも私も正確な理由もわからないし、たぶんレイラ様もその答えがわかってないので騙すような回答になってしまったけどこの世界で真実を知っている人なんていないはずだ。知らぬが仏って言葉とかあるでしょ?そう言う事よ(多分使い方が違う。)


数分後、手で耐熱期の底を触ってみると結構いい感じの温度になったからカスタードパイを切ってソースを横に乗せてレイラ様に「はい、どうぞ。」と言いながら渡す。「頂くわ。」と言い、パイを切って口に入れてから目を見開くレイラ様。


「かすたぁどぱい、ちぇりぃそぉす・・・美味ですわ、美味ですわ!!!」


「ひ、ひぇっ」


気に入ってくれてよかった。まずいって言って切れられるよりはいい。それよりはだいぶマシだけど、ここまで気に入ってくれるのもなんか後々怖い。

興奮してカスタードパイとチェリーソースしか見えていないレイラ様をカスタードパイ目的手でキッチンに来たニッキーに任せ私は三人分のカスタードパイとチェリーソースをトレーに乗せ私の部屋に向かった。


コンコン


ドアをノックして自分の名前を言うとメイドがドアを開けてくれた。メイドの目線はパイのほうにあったので「キッチンにまだあるから全部食べられる前に行ってきな?」というと一礼し、キッチンに向かって走っていった。


「先生、アディーお疲れ様です。休憩にしましょう。」


パイを見せながら二人に見せる。


先生、アディー、私の順番でパイを並べて紅茶も入れて紅茶もこの順番で配り、私が席に着くと先生が声をかけて三人で一時間ぐらい適当に話をしながらパイを食べていた。


この先生の名前は確か・・・マックス先生、どうやら王様を教えていた経験があるみたいで初めてアディーを見たときに王様とそっくりすぎて後ろに倒れこんだオーバーアクションなじじぃだ。


「いやぁ~、アオバ様のデザートは斬新で美味しいですなぁ。」


「母様、これは何ぱい?」


「これはね。カスタードパイでこの赤いのはチェリーソースだよ。」


私がそういうとアディーが「かすたぁどぱい、ちぇりぃそぉす・・・」と口に出す。可愛すぎる。


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