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5:実は寂しい側室様

アディ―を彼女の部屋に案内すると、まず、私の私室にある事を驚かれた。

まぁ、そうだよね。側室の私室って所詮は王様との子作りの部屋だし、子供が隣の部屋に住んでたら子作りどころじゃないと思うんだよね。私と王様の場合、子作り自体してないから問題ないと思うけど。


「ほ、本当にここでいいの、ですか?」


「大丈夫だよ。荷物の片づけはニッキーに任せて、私達は離宮内ブラブラしてよっか?」


そう言い、アディーの部屋を出るとアディーも付いて来た。それからは日が沈むまでアディーに離宮内を案内して私が大体いる場所も教えた。料理長にも「今日からうちに子になるアディーです。」と紹介すると王様とソックリし過ぎてびっくりして一瞬固まってたけど、すぐ片膝を床に付けて頭を下げて自己紹介をしていた。


「アディー、私いつも夜ご飯と朝ごはんは自分の部屋で食べるけど、アディーも一緒に食べる?」


「・・・いいの、ですか?」


「そんなかしこまらないで、一人でご飯食べるの実は寂しかったんだよね。アディーが一緒に食べてくれると嬉しいな?」


いや、本当に一人でご飯食べるの凄く寂しい。最初の二か月ぐらいは別に何とも思わなかったけど、わちゃわちゃ子供達と戯れた後いきなり静かになる部屋で食べる食事は美味しかったけど不思議とどんどん味が分からなくなっていた。子供と食べるお菓子は美味しいのに部屋で食べる料理長が作る一品のデザートは味がしないと感じた。デザート食べながら寂しくて泣いた日とかもあったけど、今思うとこんな年で何泣いてんだよと自分を罵倒したい。恥ずかしい。


私の部屋に入るとアディーの部屋と繋がる扉を見せて鍵はかけてないからいつでも来ていいよ言うと頷いたけど来てくれるかどうかは分からない。


私の部屋に置いてあるダイニングテーブルは四人家族が座るぐらいの大きさしかない。最初はもっとデカいテーブルが置いてあったけど一人で食べるし、場所取るしでこの大きさに変えてもらった。

私たちが座ると料理がどんどん運ばれてくる。それを口にしながらアディーの様子を伺う、アディーはどうやら緊張しているようだけど上品に食べていた。流石王様の子供、私はと言うと日本にいる時みたいに食べている。流石に面を啜るとか、スープの皿に口を付けるとかはする勇気はなかったけど日本でも国外でも当たり前なマナーは守ったつもりでいる。


「おいしい?」


「はいっ。」


元気いいな。

夕飯を食べ終わると今度はお風呂の時間、普通はメイドさんが手伝ってくれるけど、私の場合は王様が来るとき以外は自分で洗っている。他人に隅々まで洗われる屈辱を味わうのはここに始めて来た日と王様がココに来る日だけで十分だ。


「アディーは自分で体洗う?それともメイド呼ぶ?」


「自分で洗います!」


「わかった。お風呂の場所は分かるよね?」


「はい。」


アディーがお風呂に入っている間、私はこれからについて考えていた。


子供、ねぇ?

今まで私が子守をしたことはあるかと言われたらまぁ、ある。主に親戚の子とかシッターとしてのバイトぐらいの経験だけど。小さい子の面倒は肉体的に疲れる、けどある程度自分の意志を持った子供の世話をするのは精神的に疲れる。私が今日から数年母親役をやらないといけないこはもう自分で考えて自分で行動出来て意思のある人間だ。意見の食い違いとか価値観の違いとかもあると思うし、正直母親をやると言っても具体的に何をすればいいのか分からない。

話を聞いてあげる?世話をしてあげる?環境を用意してあげる?褒める?叱る?ご飯をちゃんと食べてるのか確認する?それが全部できたら母親と言うのになれるの?

コレを全部やったからと言ってこの子供の母替わりになることができるのかどうかなんてわからない。そもそも、アディーに母親が必要かどうかなんて周りが決めたことでありアディーが言い出したことではないのだ。これは大人のエゴなのだ。


アディーが浴室から出ると先に入って申し訳ないと謝ってきた。めっちゃいい子じゃん。


「謝らないで。お風呂は入りたい方が先に入っていいんだよ?」


そう言うと遠慮気味に頷くアディー。

まぁ、たぶん女の子だし、ここの側室は大体子供に興味がないから何もやられないと思う。この子が男の子なら今の王太子の母親からちょっかい出されるのかもしれないという心配はあるけど・・・


私とアディーの部屋を繋ぐドアの前までアディーを送り私はベッドに飛び込んだ。ここのベッドは丁度いい、柔らかすぎず硬すぎず、寝っ転がるのに丁度いい。エアコンがあれば完璧だ。この世界何故かエアコンがないので私が布団をかぶることはほぼなくなった。


色んなことを考えていたせいで今日はいつもより早く眠気が襲ってきた。

薄れていく意識の中ドアが開く音が聞こえ私の意識は完全に途切れた。


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