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4:陛下の隠し子

「アオバ様、今日はご相談がありまして。お時間よろしいでしょうか?」


そう言いながら牛乳ゼリーが固まるのを待っている私に話しかけてきたエイダンさん。ぼーっとしてて足音とか聞こえなかったから目の前に顔がいきなり出てきて手に持った爪楊枝で刺しそうになった。っていうかなんで私がココにいるって分かったんだろう。


「ゼリーが固まるまでの間だったら、時間あるので問題ないですよね。」


「では陛下の書斎まで行きましょうか。」


「ん?」


「はい、ではお手を。」


・・・え?こういう時って差し出された手に自分の手置けばいいってニッキーから言われたような気がする。

恐る恐るエイダンさんの手に自分の手を置くと本当に王様の書斎に案内された。

始めて来たけど、ドアが大きすぎて引いた。一人で開けられるの?このドデカいドア。

エイダンさんがドアの前にいる四人の騎士に声をかけると騎士は声を上げて私とエイダンさんが来たと言い、中からこれまた誰かの声がしてドアが開けられた。


ドアを開けるとまず最初に目に入るのが机に向かって何かを書いている王様とその後ろに立っている二人の騎士。相変わらず眉間に皺が寄っている。


「陛下、アオバ様を連れてまいりました。」


「ご苦労。アオバ、座れ。」


王様がそう言うと私は机と少し離れた場所にあるソファーに案内されたので遠慮なくソファーの真ん中に座ると王様は反対側のソファーに座った。


「単刀直入に言おう、お前に子供の養母になって欲しい。」


「わかりました。」


「嫌がるかもしれないが・・・少し待て。今、なんと言った?」


は?自分で聞いておいてまさか私の返事聞いてなかった訳?こいつ、クソだな・・・


「わかりました。」


同じ言葉をもう一回口にすると今度はなぜかちょっと動揺して眉間の皺が少し薄くなった。


「そう、か。・・・思った以上に返事が早くて助かる。エイダン後で子供のことをアオバに教えてやれ。」


子供を養子に取ることは私にとってのメリットだ。なんせ、王様の子供のうちの一人の母になるから老いても屋敷とか与えられるし国からも金が貰えるとニッキーから聞いた。


「陛下の子供を産むと得するんですよー!」


と何十回も言っていた気がする。そのおかげで餌付け成功したメイド達は「何が何でもアオバ様に陛下とのお子を産んでもらいます!」と磨かれてる度に言われている。


それから数日、王様の子供が離宮に来た。因みに王様の子供達は親によって王様の子供だけが住んでいい離宮内の場所に預けることができるし、側室の隣にある部屋に住まわせることもある。大体の側室は子供を成人するまで預けて成人したら子供を王城に移動させることが多いけど、この子は例の「平民の子」という事もあって私の隣の部屋で生活することになった。


私は今、離宮内の応接間にいる。例の子供を迎えるためにわざわざここに来たのだ。

後ろにはニッキーとエイダンさんが控えている。エイダンさん曰く「陛下の母君の生家なのですが性格に難がある方もついてくるので、付き添い必須です。」らしい。


しばらくして、めっちゃ美形だけどなんか私を凄く見下している雰囲気を隠しもしない女と年を取っている髭ずら無表情の男が入って来た。女の方はどことなく陛下に似てるけど多分従姉妹とかそんなところだろう。その後ろについてきたのは陛下とソックリな、10歳ぐらいの女の子・・・?


一応席を立って軽く膝を曲げて二人が座るのを見て私も座る女の子はエイダンさんが私の隣に座るように促したので大人しく私の隣に座った。それからはエイダンさんと女の腹の探り合い、バチバチバトルが繰り広げられコレが永遠と続くのか・・・とか思っていたら女の人が無表情の男に「いい加減にしなさい」と言われて顔を真っ赤にして部屋を出て行った後に無表情の男がエイダンと私に謝罪した。

無表情の男はどうやら王様のお母さんの兄らしい、さっき出て行った女の人は予想通り王様の従姉妹、女の子は緊張したまんまだけど、女の人が出て行ったときに明らかにホッとした顔をしていた。


エイダンさんと王様の伯父さんの話が終わり、エイダンさんがどこかに消えた王様の従姉妹と王様の伯父さんのお見送りしに行くことになって部屋を出た。部屋に残っているのは私と女の子とニッキー。気まずい、けど、これからこの子のお母さん代わりになるし、なんか話題探して話さないと。


「お菓子、食べる?」


凄くカジュアルに話しかけちゃったけど、大丈夫かな?女の子もなんか混乱しながら「う、うん」とか返事してるし、ニッキーに部屋にあるお菓子を取りに行って貰ってるうちに女の子に名前を聞いたり、いろいろ聞いて相手を知ろうと思ったんだけどやっぱりちょっとびくついてる感じはある。まぁ今日初めて会うし慣れたら普通に接してくれるようになるかな?


コンコンとドアが外から軽く叩かれた後「ニッキーです!入ります!」と聞こえた。早いな。


「入って来てちょうだい。」


そう言うとドアが開く、ニッキーはお菓子を籠ごと持ってきたみたいだ。

お菓子を私に渡すと私はニッキーと、確かアディソン、長いからアディ―って呼んでって言ってたような気がする、その子にも分けた。


「はい、アディ―。私の手作りのお菓子だけど良かったら食べてね。」


「は、はい。」


「ニッキーも、はい、どうぞ。」


「ありがとうございます!アオバ様のぱうんどけーき凄く美味しいですよ!今日はハニーレモンですね!?そうですよね!?」


「あ、う、うん。」


王様の隠し子の前でもキャラ崩さないニッキーちゃんしゅごいな。

アディ―の方を見ると少し引いてる感じはあるけど、慣れて貰わないとね。


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