表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/11

3:卑しい大人の思考回路

お菓子作りは私の趣味と化している。今日も、王宮のキッチンでお菓子作りをしているとこの前の子供が他の子供を引き連れてやってきた。


「きょうなにつくるの?」


「今日は蜂蜜バナナケーキだよ。あともう少しで焼き終わるからお友達と手洗って待ってて。待ってる間ジュース出してあげるから。」


そう言うと子供達は大人しく頷いて手を洗いに行った。


「お前は異世界人なの?」


いきなり小さい子にお前呼ばわりされた。ちょっと、親何処だよ。


「お姉ちゃんは異世界人だよ。」


そう言うと興味なさげに「ふぅーん」と返事した子供。なんだこのクソガキ、生意気だな。

小さめのコップを子供分だけ並べて子供達の目の前でレモネードを作った。レモンを数個絞ってそこに砂糖を混ぜて砂糖が溶けきったらスライスしたレモンを数個いれた後にミントをパンと両手で軽く叩いてから入れ、そこに水と氷を入れて混ぜてコップに入れて子供達に渡した。


「おいしー!おねえちゃんありがとう!」


「どうも。」


この子は可愛いな。この子にはちょっと大きめに切ってあげよう。うん。そうしよう。贔屓?当たり前じゃん。作ったの私だし誰にどれぐらいあげるか決めるのも私でいいよね?子供相手に酷いとか思うかもしれないけど、親が教えないなら社会の迷惑にならない程度に教えないといけない人がいるってことだよね。それが私になるのかもしれないって考えるとこれぐらいの意地悪できないとやってられない。


子供達が来ると見かねていつもの倍の量のケーキを作っておいて良かった。

ケーキを爪楊枝で刺して焼き具合をチェックしてから釜から取り出すと子供達のテンションは最高潮。推しのアイドルが登場した時ばりの声援。蜂蜜バナナケーキもまさか異世界でアイドルみたいな扱いされるとは思わなかったんだろうな・・・


ケーキが冷めるのを待っている間、子供達は私と「モンスターって旨いの?」、「おねえちゃんたべたことないの?」、「え?みんな食べてんの?」、「みんなまいちにたべてるぞ!」と、くだらない話をしていたけど皆の目線はずっとケーキのほうにある。


ケーキを軽く触ってみると、まぁまぁ冷めてるからそれを人数分切って子供達に渡した。私に「お前」と言った子供には「これから、お姉さんって呼ばないとケーキあげないよ」って言うと渋々「わるかった・・・これから、おねえさんってよぶ。」と言ったので頭をナデナデしてからケーキをあげたらドヤ顔で「ぼくはできるこなんだからな!」とか言いながらケーキを頬張っていた。私の事を「おねえちゃん」って呼んだ子にはもちろんケーキを他の子よりバレない程度に厚く切ってあげた。


ひとしきりして、子供達が帰った後にいつものようにメイド達が真顔で「ば、バナナと蜂蜜の匂いがします!」、「蜂蜜バナナケーキに違いありません!」、「かすかに!かすかにレモンの匂いもします!」、「は!?まさかのレモネード付き!」と言いながら走ってくる。


メイド達にケーキを切り分けながらさっき、集まってきた子供達の仲で妙に王様とエイダンさんに似てる子供がいたことを思い出した。


「子供だし、お菓子はお偉いさんの子供でも食べたいよね。こういう時ってそっとしておいた方が着やすいと思うし、お偉いさんって色々大変って言うじゃん?その子供も多分大変だし、ここに居る時だけでも休まることができればいいな」


と心の底から思える女に私はなりたかった。実際の所、半分、いや七割がたは


「子供達と仲良くしてればここ追い出されても生活していけるんじゃね?取り敢えず今のうちに恩売って媚びておこうかな!」


とも思っているのである。特別美人でもなく、チートもできるわけじゃない、何処からどう見ても平凡な私が安全な生活、約束された安らかな老後を確保するためには必要な事なのだと思う。


メイド達から妹と他の側室が今朝、髪のとっ掴み合いの喧嘩をしていたと聞いて妹が元気そうで取り敢えず安心した。この離宮での側室トップ3と私が勝手に呼んでる人たちがいるんだけど、この人たちは他国から来た姫様二人に、王様の遠い親戚の公爵家のご令嬢が含まれている。いつも三人で温室でお茶してるイメージが強いしなんかよく三人でキャッキャしてると聞いたことがある。つまりは仲良しという事らしい。


キッチンが忙しくなる前の時間帯に私とメイド達は撤退してニッキーと私は私の私室に戻ってきたけど、ニッキーのマシンガントークは泊らない。


「アオバさま、実はいま城下町で陛下と容姿が似てる少女が確保されて陛下の母君の生家で保護されてるってうわさされているんでって!年はもう10歳、いや12歳ぐらいだと言われてるんです!王太子と同い年なんですよ!誰との子なんです!?誰との子なんです!?」


「さぁ?」


「は!もしや、コレは・・・禁じられた愛!身分差の恋なんですか!?いやー!考えるだけで妄想がはかどりますぅ!」


・・・ニッキーが楽しそうで何よりだ。それより、フラグ立ってない?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ