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告白作戦っ!  作者: YUI
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第41話 やばいかも?

「このステーキは3ツ星レストランのシェフが直々に焼いてくれているんだ。予約しても半年待ちの店だから是非食べるといいよ」

「ありがとう」

何か会話が現世のものじゃないんですけど。

「この子に一つあげて」

「はい、かしこまりました」


「どう? 美味しいだろ?」

「本当に美味しい~!」

こんなの食べたことないよ。牛肉ってこんなに美味しかったんだ。この世の中には私の知らない未知な世界がまだまだあるんだね。草壁君、私に未知なる世界を教えてくれてありがとう。できれば死ぬまで教え続けてください。


「あっちにも美味しい海鮮があるんだ」

草壁君て親切だよね? もしかしてこんなに親切にしてくれるのは私だけ? きっとそうだよ。3人の中に気になる人がいるとするとそれは私に決定だね! ・・・・そんなわけないか。


 私はそっと草壁君を見つめた。

「どうしたの?」

「優しいなぁって」

「そうかなぁ?」

「もしかして私のことが好きとか?」

さりげなく探りを入れてみた。さりげなくもないか?


「さあ、どうだろうね」

え? すぐに否定しない! これはもしかして脈あり? ははは、そんなに世の中甘くないよね?


 でも、こうして2人でいられるだけで幸せ。この時間がいつまでも続けばいいのになぁ。

「柚衣じゃねえか」

「中園君。来てくれたんだね」

げ! 琉生。急に現実に戻された。

「中園君も一緒にまわるかい?」

「いいのか?」

「勿論さ」

短い幸せだったわ。


 琉生をどこかへ行かせるには・・・・。私は必死で考えた。で、出た結論は。

『野乃葉ちゃんを捜せばいいのね』

私は2人と会話をしながらも辺りを隈なく探った。

「柚衣ちゃんてフォアグラ食べたことないんだね?」

「え? どうして知ってるの?」

「今、中園君から聞いたんだ」

「ははは」

こら~琉生~! 私の貧乏環境をばらすな! こいついつか殺す!


「はい、どうぞ」

草壁君が何かを差し出した。

「何これ?」

「フォアグラだよ」

「あ~、そうよね。そうよこれがフォアグラだよね。知ってた」

見たことないからわからなかった。


 では一口。パクリ。

「ええーーー! 美味しい!!!」

「気に入ってくれたみたいだね」

草壁君が微笑んでくれている。


「思いっきり貧乏くさい奴だな」

はっ! しまった。感動のあまり我を忘れてしまった。さっきのステーキも美味しかったけど、これもかなり美味しすぎたから。


「こいつトリュフも食べたことないんだぜ」

「何言ってるのよ! そういう琉生は食べたことあるの?」

「あるよ」

「え?」

私と同じような環境のくせにいつの間にトリュフなんて食べたのよ。何か敗北した気分。


「もしかして~やっぱり琉生だ~」

「げげ、野乃葉!」

やった! 野乃葉ちゃんが来た。これで琉生を追っ払える。


「琉生が野乃葉ちゃんと一緒にいたいって」

「おい、何言い出すんだ柚衣!」

「本当~? 嬉しい~!」

野乃葉ちゃんが琉生の腕にしがみつく。

「ちょっと待て!」

これでよしっと。草壁君は思いっきり笑ってる。


「いいのかい? 恋人を友達に取られちゃうぞ」

「琉生なら熨斗を付けてあげるよ」

「柚衣!」

「琉生~あっち行こ~2人っきりに~なれるよ~」

「憶えてろよ!」

と言う言葉を残して琉生と野乃葉ちゃんが去って行った。これを笑ってみているってことは草壁君の意中の人は野乃葉ちゃんじゃないよね? やったー! これで確率は2分の1になったよ。


「あの2人お似合いだね」

「私もそう思う!」

ここぞとばかり大きな声で言う私。

「でも中園君は柚衣ちゃんが好きって言ってたけどなぁ」

「愛するより愛される方が幸せになれるんだよ」

ちょっとしたメッセージを込めて言ったんだけどわかってくれるかな?


「柚衣! 食べてる?」

紗椰ちゃんがまたまた口に食べ物を頬張りながらやってきた。

「柚衣ちゃんは人生初体験のフォアグラも食べたよ」

「ええーーー! 柚衣ってフォアグラ食べたことなかったの?」

そんな大きな声で言わなくてもいいじゃん。


「紗椰ちゃんはあるの?」

「毎日食べてるよ」

「嘘つき!」

「嘘じゃないかもよ」

何? この余裕のコメントは? まさか紗椰ちゃんの家って金持ちなの?


「そうだね。夏上さんの家なら毎日フォアグラぐらい食べられるよね」

「どういうこと!?」

私は草壁君に大きな声を出してしまった。

「あれ? 知らなかったの? 夏上さんの家は由緒正しい家柄で大金持ちなんだよ」

「ええーーー!!!」

嘘よね? そんな話聞いたことなかったよ。家に遊びに行っても‥‥‥総いえば沙耶ちゃんの家に行ったことなかった。

「草壁君の家ほどじゃないけどね」

終わった。完全に終わった。紗椰ちゃんて草壁君のお母さんの条件を完全に満たしてるよ。


 私は呆然として空を飛ぶ来飛行機を見つめるのだった。


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